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東映アニメーション社長、業界の現状に疑問「ヒット数が少ない」 利益は二次利用の成功が鍵

 東映アニメーションが6日、新たな試みとして『東映アニメーション 100年アニメプロジェクト』を始動することを発表した。オリジナルのアニメ企画を広く一般から公募し、企画の募集を通じ、次世代のオリジナルアニメや優秀なクリエイターの発掘が目的で、創立60周年を経た同社にとって、アニメ企画の一般公募は初。それにあわせて、高木勝裕社長のインタビューも公開となり、『ドラゴンボール』『美少女戦士セーラームーン』などの人気作品の裏側や、昭和、平成、令和と変化し続ける業界の現状を赤裸々に語っている。

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 同プロジェクトは、年齢、性別、経歴などを問わずオリジナルのアニメ企画を一般募集。アニメの企画を募集する3種類のコースとクリエイター&製作プロデューサーを募集するコースの全4種類となっている。

 アニメの企画募集は、これまでにアニメや映像製作の経験がない未経験者でも挑戦し易いアイデア重視の「コースA:だれでもアニメコース」、アニメなどの映像製作経験者を主な対象とし、企画の完成度を重視する「コースB:プロでもアニメコース」、『一休さん』を自由な発想でリメイクする「コースC:みんなでリメイクコース」。どのコースも大賞を受賞すればテレビアニメやWEB配信、劇場公開など企画にあわせたメディア展開をしていく。

 今回のプロジェクトについて同社の木勝裕社長は「いま社内でも多くの企画が出ていますが、それ以外にも、これまで弊社になかったような新しい視点の企画が生まれることを期待して、外の人の力を借りていこうと考えました」と説明。

 同社は『ドラゴンボール』『ワンピース』『プリキュア』など長く愛され続けているアニメを世に送り出している。『長く続くアニメの定義』について「それは私も知りたいところですが。ひとつ言えることは時代にあった作品を作り続けること。同じタイトルの作品でも、その時々の価値観や時代背景を考慮して柔軟に対応していくことが大事だと思います」と主張。

 また、業界の現状を「本音を言えば、世に出ていく作品数に対してヒット数が少ないと感じています。制作にお金のかかるアニメ作品からどうやって利益を出していくか。それには作品の二次利用を成功させるかどうかが鍵になります」と明かし「厳しく言うなら、制作側が満足のいく作品ができたとしても、世間の目に触れる機会がなければ自己満足で終わってしまう。確かに技術の進歩によって、個人でもアニメ制作ができる時代にはなりました。しかし、多くの人を巻き込むことで作品はできあがっていくものだと考えています」と分析する。

 現在、多くの人に愛されるアニメについて「大ヒットにつながる作品に共通するのは、どのような層にも受け入れられる内容です。アニメに興味のない人たちでも『ちょっと見てみようかな』と思わせる、間口の広い作品が求められています」と伝え「私が東映アニメーションに入社したころは『アニメは子どものもの』というのが常識でした。それが時代とともに視聴者層が広がっていきます。性別ごとにターゲットを分けた『男女別作品』も、いまでは少なくなりました。アニメの社会的地位は大きく変わりましたね。昔と比べ、劇場公開作品が増えたことにもあらわれていると思います」と語った。

 また、長年アニメ業界に居て驚いたこともあるそうで「私が入社して間もないころに、鳥山明先生原作のアニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』がヒットしました。それ以前は、ヒロインは金髪で目がぱっちり、きれいな服を着ているのが“お決まり”でした。ところが本作の主人公・則巻アラレは紫色の髪にメガネ、カジュアルな帽子をかぶっている頭身が低い女の子。当時の常識から外れた見た目でしたが、いざ放送してみると作品がヒットし『これが当たるのか』と驚きを隠せませんでした」と振り返った。

 同プロジェクトはコースごとに審査した上で大賞には賞金100万円、優秀賞には50万円、奨励賞には30万円を贈呈。募集期間はコースA、B、Cが9月30日午後3時までで受賞発表は2020年4月23日を予定。クリエイター&製作プロデューサー募集コースは7月1日から8月31日まで募集。

関連写真

  • インタビューに応じる東映アニメーションの木勝裕社長 (写真:東映アニメーション提供)
  • 東映アニメーションの新たな試み「100年アニメプロジェクト」 (画像:東映アニメーション提供)
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