女優の上白石萌音が27日、東京・渋谷のNHKでアニメ『アニ×パラ〜あなたのヒーローは誰ですか〜』第6弾「視覚障害者柔道」の試写会に出席。若年性緑内障で視野のほとんどを失ってしまった主人公・光（ひかり）の声を担当した上白石は、このアニメではじめて視覚障害者柔道のことを知ったといい、「ひとりの少女の挫折と、這い上がっていく強さ追体験し、私も力をもらいました。競技の魅力が多くの方に伝わることを願っています」と話していた。

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『アニ×パラ』は、2020年東京パラリンピックを控え、パラスポーツやパラアスリートの魅力をオリジナルストーリーのアニメーションで紹介していくシリーズ。第6弾は、幼いころに柔道が大好きになり、高校でも柔道部で練習に打ち込む日々を送っていた光が、視野のほとんどを失ってしまい、絶望的になっていたところで、視覚障害者柔道に出合うというストーリー。わずか5分の作品の中でフィーチャーされるのは、柔道の精神でもある「自他共栄」。上白石もこの言葉に多くの気づきがあったという。

「視覚障害者柔道では、『自他共栄』がより重視されると、アフレコ前にうかがいました。見えないからこそ相手との信頼関係が大事になる。劇中に登場する柔道の先生も『見えないからこそ、相手を感じなさい』と。それは、視覚障害者柔道だけでなく、すべてにおいて大事なのではないか。見えないところを想像して、感じて、ことばを発したり、行動したり。見える私たちはもっと見ようとしないといけない、と思いました」。

　さらに、アニメーションが持つ“力”にも改めて感動。「視野の90％を失うって、どういう感じなのか、想像が及ばないことを表現できるのはアニメーションならでは。視覚障害者柔道を知る上でも大きな助けになるのではないでしょうか。アニメーションでパラリンピックの魅力を描く意図がわかった気がして。アニメーションってやっぱりすごいんだなぁって」と語った。

　ストーリーを手がけたのは、『帯をギュッとね！』や『とめはねっ！鈴里高校書道部』の漫画家・河合克敏氏。試写会に同席した河合氏は、2016年リオデジャネイロパラリンピックの視覚障害者柔道で銅メダルを獲得した廣瀬順子選手に取材するなど、精力的に取り組み、10分以上になる絵コンテを作ってしまったそう。

「廣瀬選手のことは、リオの時に試合を見ていて、かわいいなぁと思っていたので、取材で会えたのは役得でした」と鼻の下を伸ばし、「実際にお会いしたら、すごく自然体。高校は柔道の強豪校で、最初は重量級だったそうなんですが、練習がハードでどんどんやせてしまい、階級が下がっていくとともに、成績も落ちてしまったらしいんです。階級を戻せばよかったんじゃない？と言ったら、『せっかく、やせたんですから』って。そういう女の子としての魅力を描きたいな、思いました」。初稿では、視野を失い、柔道をやめてしまった光が、体重が増えてしまったことに驚くシーンがあったそうなのだが、尺の都合でやむなくカット。それでも完成した作品には大満足な様子で「東京のパラリンピックで視覚障害者柔道を応援してもらえたらうれしいです」と、願っていた。

　同アニメは、BS1で3月3日（後6：44〜）に初回放送の予定。その後、BS1、総合、Eテレで随時放送。アニメ映像、選手の競技映像、アーティストの歌唱映像を組み合わせた「テーマ曲バージョン」は3月下旬より放送開始予定。

■番組ホームページ
http://nhk.jp/anipara
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