関東地区では2ヶ月に一度の聴取率調査週間に、各局がしのぎを削り、特別企画などを実施する“スペシャルウィーク”を止めると発表したTBSラジオが、番組制作支援用の独自分析ツール「リスナーファインダー」の運用開始を発表。“データドリブンな放送局”を目指し、番組制作から改革を行っていく。
■自局の聴取ログデータを1分単位で可視化
昨年末に“脱・聴取率”を掲げたTBSラジオが、早くも次なる一手を打つ。それが1月29日より試験運用を開始した、ラジオリスナーをリアルタイムで可視化するデータダッシュボード「リスナーファインダー」だ。
同局では以前より、radikoを通じて、ラジオ番組を聴取する自局リスナーのログデータをリアルタイムで可視化するプロジェクトを推進。今回、運用を開始する「リスナーファインダー」は、PeopleDriven DMPをベースに電通が開発したもので、radikoでリスニングされている自局の聴取ログデータを1分単位で可視化する。
リアルタイムでは、放送中の「聴取者数の推移」や「番組累計聴取分数」、さらに同番組の“前週比”なども表示される。また、事後分析用では、さらに詳しく1分単位での「番組聴取者流出・流入者数の推移」のほか、「合計聴取者数」や「聴取者数の地域データ」、さらにはアンケートを基にした聴取者の生活情報や消費傾向などのプロファイルデータも分析・検証することが可能になる。
今後は、編成局内やスタジオ副調整室などにこれらの調査結果を常時表示するモニターを設置。番組制作者はこれまで以上にリスナーの動きを意識しながら放送することができる。
TBSラジオ代表取締役社長・三村孝成氏は、「17年以上、聴取率1位を続けてきたが、SIU(セットインユース ※ラジオの受信機台数)は一貫して減少を続けており、このまま聴取率争いをしていてもラジオ全体の価値向上に繋がらない」と、「リスナーファインダー」の開発・運用に至った背景を説明。
「特に若年層のノンリスナーの獲得には、radikoの強みであるタイムフリーや、SNSで共有する“シェアラジオ”を活発化させることが必要。そのためには、2ヶ月に1度、しかもたった1週間だけ、さらに調査の1ヶ月後に発表される聴取率調査データではなく、リアルタイムでリスナーの動きを検証できるデータを基に番組制作する必要がある」と今回の狙いを語る。
一方で、三村社長は「あくまでも番組制作支援ツールであり、このデータを、広告クライアントを含め、外部に発表することはない」と強調する。
「今回のツールは、ビデオリサーチを中心とする聴取率調査を否定するものではない。聴取率は広告取引のカレンシーとなるもの。これまでと同様、我々もラジオ界の一員として、よりよい調査になるように日々、研究に協力してきたい」(三村氏)
■データドリブンな番組制作をしているラジオ局に
また、今後の運用については、制作現場の声を聞きながら、例えば「このコーナーが良くシェアされた」とか「この言葉がたくさんつぶやかれた」など、分析項目を日々、ブラッシュアップしていきたいと語り、「ディープラーニングのように使い込んでいくことで精度の高い支援ツールになっていく」と展望を示す。
「今までは他局との比較で勝ち負けを決めていたが、そこからは何も生まれない。これはあくまでもラジオのノンリスナー獲得を目指して運用していくもので、今後は、過去の自局の番組との戦いになっていく。現在は前週との比較だが、データがたまっていけば、1年前の週末など、比較・分析できる項目も増えていく。このツールによって、よりクリエイティブなアイデアが出てくることが期待できる。今後は聴取率の数字ではなく、このツールに代表されるように、“データドリブンな番組制作をしているラジオ局”であることをアピールしていきたい」(三村氏)
ラジオには、思春期の大半を捧げたリスナーや、パーソナリティの“行ってらっしゃい!”の声に背中を押されて部屋を出るリスナー、日中の手仕事の時間、ずっと寄り添っているリスナー、先日の出来事や打ち明け話を、“聞いて聞いて”と投稿するリスナーたちが、今も間違いなく存在する。
ラジオの魅力は一対一の関係性であり、このメディアから得られる温もりを“隣の人”に話したいと思っているリスナーは多い。このツールは既存のラジオリスナーの満足度を高めるだけでなく、これまで以上に、ラジオの魅力が“伝わっていく”一助になるだろう。ラジオ業界をけん引するTBSラジオの挑戦が、どのように番組を変え、業界に追い風を吹かせていくか、4月の本格運用後の動向が大いに期待される。
■自局の聴取ログデータを1分単位で可視化
昨年末に“脱・聴取率”を掲げたTBSラジオが、早くも次なる一手を打つ。それが1月29日より試験運用を開始した、ラジオリスナーをリアルタイムで可視化するデータダッシュボード「リスナーファインダー」だ。
同局では以前より、radikoを通じて、ラジオ番組を聴取する自局リスナーのログデータをリアルタイムで可視化するプロジェクトを推進。今回、運用を開始する「リスナーファインダー」は、PeopleDriven DMPをベースに電通が開発したもので、radikoでリスニングされている自局の聴取ログデータを1分単位で可視化する。
リアルタイムでは、放送中の「聴取者数の推移」や「番組累計聴取分数」、さらに同番組の“前週比”なども表示される。また、事後分析用では、さらに詳しく1分単位での「番組聴取者流出・流入者数の推移」のほか、「合計聴取者数」や「聴取者数の地域データ」、さらにはアンケートを基にした聴取者の生活情報や消費傾向などのプロファイルデータも分析・検証することが可能になる。
今後は、編成局内やスタジオ副調整室などにこれらの調査結果を常時表示するモニターを設置。番組制作者はこれまで以上にリスナーの動きを意識しながら放送することができる。
TBSラジオ代表取締役社長・三村孝成氏は、「17年以上、聴取率1位を続けてきたが、SIU(セットインユース ※ラジオの受信機台数)は一貫して減少を続けており、このまま聴取率争いをしていてもラジオ全体の価値向上に繋がらない」と、「リスナーファインダー」の開発・運用に至った背景を説明。
「特に若年層のノンリスナーの獲得には、radikoの強みであるタイムフリーや、SNSで共有する“シェアラジオ”を活発化させることが必要。そのためには、2ヶ月に1度、しかもたった1週間だけ、さらに調査の1ヶ月後に発表される聴取率調査データではなく、リアルタイムでリスナーの動きを検証できるデータを基に番組制作する必要がある」と今回の狙いを語る。
一方で、三村社長は「あくまでも番組制作支援ツールであり、このデータを、広告クライアントを含め、外部に発表することはない」と強調する。
「今回のツールは、ビデオリサーチを中心とする聴取率調査を否定するものではない。聴取率は広告取引のカレンシーとなるもの。これまでと同様、我々もラジオ界の一員として、よりよい調査になるように日々、研究に協力してきたい」(三村氏)
■データドリブンな番組制作をしているラジオ局に
また、今後の運用については、制作現場の声を聞きながら、例えば「このコーナーが良くシェアされた」とか「この言葉がたくさんつぶやかれた」など、分析項目を日々、ブラッシュアップしていきたいと語り、「ディープラーニングのように使い込んでいくことで精度の高い支援ツールになっていく」と展望を示す。
「今までは他局との比較で勝ち負けを決めていたが、そこからは何も生まれない。これはあくまでもラジオのノンリスナー獲得を目指して運用していくもので、今後は、過去の自局の番組との戦いになっていく。現在は前週との比較だが、データがたまっていけば、1年前の週末など、比較・分析できる項目も増えていく。このツールによって、よりクリエイティブなアイデアが出てくることが期待できる。今後は聴取率の数字ではなく、このツールに代表されるように、“データドリブンな番組制作をしているラジオ局”であることをアピールしていきたい」(三村氏)
ラジオには、思春期の大半を捧げたリスナーや、パーソナリティの“行ってらっしゃい!”の声に背中を押されて部屋を出るリスナー、日中の手仕事の時間、ずっと寄り添っているリスナー、先日の出来事や打ち明け話を、“聞いて聞いて”と投稿するリスナーたちが、今も間違いなく存在する。
ラジオの魅力は一対一の関係性であり、このメディアから得られる温もりを“隣の人”に話したいと思っているリスナーは多い。このツールは既存のラジオリスナーの満足度を高めるだけでなく、これまで以上に、ラジオの魅力が“伝わっていく”一助になるだろう。ラジオ業界をけん引するTBSラジオの挑戦が、どのように番組を変え、業界に追い風を吹かせていくか、4月の本格運用後の動向が大いに期待される。
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2019/01/29