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【ガンプラビフォーアフター】“幻”のZガンダム4号機、“漏れ電”トールギスに込めた「ガンプラは自由」の精神

 今年、『機動戦士ガンダム』が40周年を迎える。世界規模の人気を誇る日本を代表するポップカルチャーだが、その礎となったもののひとつに1980年代前半の「ガンプラ」ブームがある。ここでは、“ガンプラは自由”の精神の元、ガンプラ発展に貢献してきたモデラーたちをフィーチャー。2014年開催の『GBWC(ガンプラW杯)』で世界大会2位を受賞したヨシさんと、2015年度日本大会優勝のロクさんにインタビューを実施。ガンプラ製作の真髄を聞いた。

【左写真】MSZ-006-4 ゼータキュアノス(ゼータガンダム4号機)製作:ヨシ【右写真】「トールギスA(アレス)〜闘神〜」 製作:ロク(C)創通:サンライズ

【左写真】MSZ-006-4 ゼータキュアノス(ゼータガンダム4号機)製作:ヨシ【右写真】「トールギスA(アレス)〜闘神〜」 製作:ロク(C)創通:サンライズ

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■ガンプラによって得た“仲間との共感”「世界大会2位に押し上げてくれた」(ヨシ)

 ガンプラ界のトップランナーとして活躍を続けるヨシさんに、モデラー人生のターニングポイントとなった作品を聞くと、「2014年開催の『ガンプラW杯』に出場した際の『天翔ける麒麟 〜バイアラン・カスタム試作2号機〜』です」と即答。この作品をきっかけに、自分の人生が大きく変わったのだという。

「『ガンプラW杯2013』で、日本代表のシュンさんが日本人で初めて世界チャンピオンになった事に感銘を受け、『自分も一歩でもその世界に近づいてみたい』と思って初めてコンテストに参加したのがこのバイアランでした」

 では、ヨシさんが『ガンプラW杯』で得たものとは何なのだろうか? そこには、ガンプラを通じて出会った仲間との存在があるのだそう。特に、2014年大会では、作品に込めた想いに“共感”した人たちの応援が追い風となり、世界大会2位という結果に結びついたとも。ガンプラを通じて人と人とが繋がり力が生まれる…。そう肌身で感じさせてくれた本作品は、「自分にとって格別な存在」だと強調した。

 人生さえも激変させるガンプラの魅力。ヨシさんはそれを「好きな技法で描ける“自由帳”のような存在」だと表現する。特に「公式外伝:ガンダムビルドダイバーズ GIMM&BALL'S WORLD CHALLENGE」企画で手掛けた“ゼータキュノアス(ゼータガンダム4号機)は、『ガンプラW杯』元日本チャンピオンとしての「全力」と「アイデア」を注ぎこんだ渾身の作品。ヨシさんは「ゼータキュノアスで表現したことのように、これからも自分らしく楽しく製作を続けて、ガンプラを通じて生まれる出会いを大切にして行きたい」と、目を輝かせて語った。

■ガンダム作品を“拡大解釈”して楽しむのが自分流(ロク)

 2015年『ガンプラW杯』日本大会優勝の実績を誇るロクさんにとって、 “自分らしい”造形技術は「シルエット」なのだという。そのシルエットは、漫画やアニメで見られる、腰を入れて胸を反らしたポーズ(S字立ち)を意識したものであり、ロボット然としたものではなく、人体表現としての意識が感じられる。

 また、『ガンプラW杯』歴代日本チャンピオンたちが制作したゲスト機体が登場する「公式外伝:ガンダムビルドダイバーズ GIMM&BALL'S WORLD CHALLENGE」の作品からは、突き抜けた表現で個性も発揮している。

「一見、天使の羽根に見えて、実は“悪魔的”なトンデモビーム兵器が付いたウエポンベイや、高機動バーニアまで有した多目的ユニットを製作しました。圧倒的な破壊力を有しながらも、優雅さと神々しさを出したいと苦心しました」

 そうした“独創的なアイデア”については、近年のガンプラ界の情勢も影響しているのだろう。実際、ロクさんも「『ガンプラW杯』世界戦の作品で、海外勢と日本勢の違いを痛感した」のだという。海外勢はガンプラをあくまで素材として扱い、自由奔放な世界観で製作。一方、日本勢の場合は“ガンダムの世界観”の中から製作される方が大半だと感じたようだ。

 世界にファン層を広げるガンプラ界において、今後はますます“自由な発想”が求められていくのではないか? そんなロクさんが着想したのが、『ガンプラW杯』日本大会で優勝した「トールギスA(アレス)〜闘神〜」だ。

「トールギスを自分流に“拡大解釈”して、スタイリッシュかつ力強い作品に昇華させられました。装甲から余剰エネルギーが光って見えるオリジナルの“漏れ電”はもちろん、ガンプラパーツで高機動バーニア等を製作した点もポイントです。現在『ガンプラW杯』でミキシング作品が増えてきたと思いますが、その先駆けになれたのではないでしょうか」

 トップモデラー2人から共通して感じる「ガンプラは自由」への想い。今後、自由な発想から生まれる“新しいガンプラ”に期待したい。

(C)創通・サンライズ

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