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ジェニーハイは「世間との距離感を埋めるもの」 川谷絵音らメンバーが個性派バンドを分析

 5人組バンド、ジェニーハイの1stミニアルバム『ジェニーハイ』が、オリコン週間デジタルアルバムランキング(10/29付)で初登場1位を獲得した。ジェニーハイは、ドラムとベースをお笑い芸人の小籔千豊くっきー(野性爆弾)、キーボードを作曲家の新垣隆、ボーカルを中嶋イッキュウ(tricot)、ギター&プロデュースを川谷絵音ゲスの極み乙女。indigo la End)が務める個性派が揃いに揃ったバンド。番組企画からスタートし、ランキング首位に立った今、同バンドの目指すべき道とは? メンバーに話を聞いてきた(今回、くっきーのみ多忙のため欠席)。

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■「バンド活動はいいものですね……ラップ以外は」(新垣隆)

――BSスカパー!の社会派ドキュメントバラエティ『BAZOOKA!!!』の知名度を上げるために始動したプロジェクト。皆さん、それぞれの仕事が多くある中での活動ということで、“いま日本一忙しいバンド”なんじゃないかと思います。これだけのタイトなスケジュールの中で作っていくというのは大変だったのでは。

【中嶋イッキュウ】私がtricotのアメリカツアーで5〜6月にかけて日本にいなかったので、帰国した翌日からすぐジェニーハイのレコーディングでした(笑)。でも、tricotだけで忙しくするよりも、別のことがあったほうが息抜きにもなるし、いろいろとフラットに考えられるので良かったなと。アメリカのホテルで深夜にランドリーを回している時に、デモを歌って練習していたのを思い出します。

【新垣隆】自分にとって、理屈抜きに楽しいものを作れる場を持てるということが、嬉しかったです。バンド活動はいいものですね……ラップ以外は。

――新垣さんがラップに挑戦した『ジェニーハイのテーマ』ですね。ラップの楽曲が決まったのは、いつ頃のことですか?

【新垣隆】「ラップをしようかなと思っている」というようなアイデアを今年3月頃には伺っていたんですけど……「まさか!」と。

【小籔千豊】いや今日、取材これで3本目とかですけどね、ガッキー(※新垣隆氏の呼び名)、今の「まさか!」が一番声デカかったですね(笑)。よっぽどの事態やったんでしょうね。

【川谷絵音】“5曲のミニアルバム”だとちょっと少ない感じだけど、6曲だったら結構あるように感じられるかなと。ラップだったらすぐ録れるから追加したんですよ。

――新垣さんは作曲家でもあるので、川谷さんから曲が来た時に、ご自身でアレンジを加えて、というようなことはなかったんですか?

【新垣隆】全く無いですね。自分は、初めてバンドというものに入り、メンバーに寄っかかっているような気持ちでやっていますし、一緒にやっているのがとにかく楽しいという。

【小籔千豊】いや、でもこのクラスの方がバンドに入ってくるっていうのも普通、無いでしょうからねえ。僕ら、だいぶラッキーです。バンドとしての“オンリーワン度”もガッキーがいることにより、だいぶかさ上げされているわけで。

【川谷絵音】正直、まだまだ新垣さんを最大級には活かしきれていないと思うんです。というか、限界点がわからないので「一体どこまでやっていいのやら」というところもあるし。まあ新垣さんのラップの限界点は見えた、と言えるのかもしれませんけど(笑)。ピアノに関してはまだ全然奥行きがあるわけで。

■変な5人ですよね。出会いのみでここまで来た(小藪)

――あまり決め込むことはなく、さまざまな挑戦を楽しんでやってみようぜ、というモードなんですね。それこそジェニーハイのスタンスって言葉で説明し難いな、とも思っていまして。

【川谷絵音】普通だと“こういう曲をやるバンドです!”みたいな方向性が必要なのかもしれいですけど、ジェニーハイの場合、みんながすでに存分に色があるから、それだけで成り立ってしまう。僕は、ゲスの極み乙女。もそんなバンドだと思ってきたけれど、さらに進化形だなという風に思ってますね。

【小籔千豊】変な5人ですよね。でも、ホンマに流れ流れてというか、出会いのみでここまで来てます。『BAZOOKA!!!』でバンドやろうって言った時は、こんなことになるとは思ってもなかったし。

【川谷絵音】そこに関しては、ここにいるミュージシャン3人(川谷、新垣、イッキュウ)が、意外と似ていることが大きいんじゃないかって思っていて。

――似ている、というと?

【川谷絵音】みんなミュージシャンなのに『BAZOOKA!!!』っていうバラエティ番組に出て、新垣さんは『ダウンタウンDX』も出ていて、「これはやりたくない」みたいな決めつけが全然無い。プライドが高くないっていうか、“面白いと思ったこととりあえずやってみる”ことは、似ているんじゃないかなって。

ジェニーハイにはゲスの極み乙女。の「幻影」が見える(川谷)

――川谷さんはプロデューサーおよびギターとしてジェニーハイに所属する以外にも、幾つものバンドで並行して活動していますよね。ジェニーハイとは川谷さんにとって、どんな場所だととらえていますか?

【川谷絵音】「自分と世間との距離感を埋めるもの」ですかね。このメンバーのおかげで、僕もキャッチーに見られるし、「こういう曲がウケるんだ」というのをあらためて理解する機会にもなっているのかなと。バンドって運命共同体なので、お互い気遣うし、思っていることを伝えあうので……いい意味でも悪い意味でも、ずーっと重いタイヤを引いている感じなんです。でもジェニーハイに関しては、それぞれ独立しているからそういう感覚は無くて、普通にただただ楽しくできています。あとは自分が歌わないっていうのは大きい。責任感がそこまで無い(笑)。

――“P(プロデューサー)として”のほうが楽しさだけで進めていける、ということでもあるかもしれませんね。

【川谷絵音】今に限った話じゃないですけど、どんなにいい音楽を作ろうと世に知られなければ意味が無いじゃないですか?僕はバンドで紅白歌合戦も経験して、わりといろんな世界を見たんで、“ちゃんと売れる”ってことを知れた。上から言うのもあれですけど、ジェニーハイのみんなにいろんな景色を見てもらいたいなと思います。今、ゲス(の極み乙女。)が波に乗った時の「幻影」みたいなものをジェニーハイに見ているので。

■20年後にはラップの王になりたいです!(新垣)

――忙しい中でも続いていくジェニーハイですが、今後の目標は?

【川谷絵音】普通にライブをやりたいですね。でも曲数がまだそんなにないからワンマンはできないので、とりあえず新しい曲を増やしつつ、これからもう少しライブができたらなあという感じです。

【小籔千豊】ま音楽番組とかも出られるものならばもちろん出たいですよね。とはいえ、急に海面に上がったら浮き袋が口から出そうなんですけど(苦笑)。やっぱ僕ら、売れることばかりに目を向けたないというか。ふわーっと1位を取って仲悪くなりたないという。

――バンドあるある、でしょうか(笑)。

【小籔千豊】北海道でフェス出たときに、打ち上げでみんなとごはん食べて楽しくて、これがずっと続いたらいいなと思ったんですよ。くっきーもイッキュウさんもガッキーも、みんな“控えめボーイ控えめガール”だし。なんか、いい感じにできたらいいなと。最初は紅白だったけど、今は明確に「仲悪くなりたない」という目標に変わりました(笑)。

【川谷絵音】全然なんでもなかった人たちが急に売れた時に仲悪くなる、というのはあると思うんですけど、僕らみたいなちょっと特殊なバンドは、もうそういうのもないのかなと思います(笑)。というか、小藪さん65歳までジェニーハイやりたいって言ってましたよね?

【小籔千豊】そうです、僕いま45歳ですけど、20年は続けたい。ガッキーも僕の3つ上なので68歳までがんばっていただいて。一番年長者がピアノという座り仕事でよかったですよ(笑)。その時に、「ああ、めっちゃドラムうまなったな小藪」とお客さんに思ってもらえたら嬉しいです。あとは「おまえ3枚目のアルバムからやろ?俺、1枚目の時からライブ観てたわ」って自慢してもらえるとか「今は子どもと来てます〜」みたいなお客さんがいて「この子(ジェニーハイの)J太郎ていうんです」て20歳くらいの子が親と一緒にライブ来るのとか……素敵な夢ですよね。

【新垣隆】(きっぱりと)私は20年後にはラップの王になりたいです。

【中嶋イッキュウ】立派な展望ですね。手に持ってるラップの歌詞の紙はかなり分厚くなってるかも(笑)。

(文・鈴木絵美里/写真・飯岡拓也)



関連写真

  • ジェニーハイ(くっきーは欠席)
  • 中嶋イッキュウと新垣隆
  • 小藪千豊と川谷絵音

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