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『ロックマン』『モンハン』のハリウッド映画化にかかる期待

 先ごろ、ゲームメーカーのカプコンを代表する『モンスターハンター』『ロックマン(英題:MEGA MAN)』のハリウッド映画化が立て続けに発表され話題を呼んだ。世界で人気を誇る同シリーズの映画化は初の試みであり、両映画とも、異なるアプローチながら実績のあるスタッフ陣も発表され、期待も膨らんでいる。だが一方で、“ゲーム映画”のヒット作は過去を振り返ってみてもほんの一部。この人気シリーズがハリウッドで映画化される“意義”を考えてみよう。

30周年記念で日本では10月4日に発売開始された『ロックマン11 運命の歯車!!』

30周年記念で日本では10月4日に発売開始された『ロックマン11 運命の歯車!!』

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■タイトル数、販売本数ともに日本を代表するゲーム2作がハリウッドで映画化決定
 
 カプコンの企業HPでシリーズ別の公式販売本数(※売り上げではない)を見てみると、1番のヒットは123タイトル・8400万本の『バイオハザード』。続いて41タイトル・シリーズ累計4900万本の『モンスターハンター』、3番手は90タイトル・4100万本の『ストリートファイター』、4番手が『ロックマン』で137タイトル・シリーズ累計約3200万本をセールス。今回はカプコンの販売本数2番手・4番手のゲームがハリウッド映画化となる。(※2018年6月30日時点)

 『ロックマン』は1987年にファミリーコンピューターで第1弾を発売。難易度の高い硬派なアクション性により人気を博し、『ロックマンX』『ロックマンゼロ』『ロックマンエグゼ』『流星のロックマン』など時代ごとに変化し続けて、今年30周年を迎える。10月4日に発表された映画化はメモリアルな取り組みの一環かと思いきや、翌日5日に立て続けて『モンスターハンター』の映画化も発表された。『モンスターハンター』は2004年にPlayStation 2で発売を開始したシリーズ。実写版では、異なる世界出身の2人の主人公が、協力してモンスターと対峙する物語が描かれるという。広大な世界でモンスターをハンティングするアクションゲームであり、オンラインゲームの発展に貢献したタイトルでもある。

 今年は任天堂が誇るスーパースター『スーパーマリオ』のハリウッドCG映画化が発表されたが、カプコンのタイトルも続く形だ。相次いで世界で人気の日本のゲームがハリウッドで映画化となるのだ。

■ゲーム映画最大の成功を経験したカプコン、分かれ目は“ゲームの世界観”

 テレビゲームの映画化作品は実は過去にも行われている。『ときめきメモリアル』(1997年公開)といった懐かしいものもあれば、2016年にはPS3で人気を博した『アサシン クリード』、カプコンのタイトルでは2015年に『デッド・ライジング ウォッチタワー』が映画化されている。邦画でも『弟切草』(2001年)、『SIREN』(2006年)など、ヒットゲームの映画化事例は意外にも多い。

 しかしながら、実写・CG作品においてヒット作は希少。そのなかでも最大のヒット作品といえば、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の『バイオハザード』だ。ミラ主演のシリーズは全6作と続き、日本累計興行収入が200億円を突破。シリーズ化が進むごとに興行収入が増える稀なケースで、“ゲーム原作映画化作品”では歴代最高の成果となった。

 一方で、ゲーム映画の元祖とされる1993年に公開された『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』と『ストリートファイター』(1994年)いずれも結果は振るわなかった。それどころか、両者ともにB級映画の代表のような扱いをされてしまっている。不振に終わった作品に共通するのは、元となるゲームの世界観と大きくかけ離れていたことが挙げられる。実写化となればゲーム通りの設定とはいかないことを鑑みても、設定、ストーリーともに、ゲームファンはがっかりしたものだ。

■本気がうかがえる、ゲームの“世界観”を守る必勝の布陣

 今回、ハリウッド化が発表された2作の戦略を考えてみよう。『モンスターハンター』は、『バイオハザード』シリーズのポール・W・S・アンダーソンが監督・脚本を務め、『バイオハザード』シリーズに関わってきたドイツの映画製作会社によって制作される。日本での配給を東宝が担当する。『バイオハザード』の実績は先述の通りで、ヒットが大いに期待できそうだ。

 『ロックマン(MEGA MAN)』は、別アプローチのチャレンジとなる。制作は『猿の惑星』シリーズなどを手掛けた米チャーニン・エンターテイメントが担当。監督と脚本は『パラノーマル・アクティビティ』の3と4を手掛けたタッグが、プロデューサーはドラマ『HEROES』で好演したマシ・オカ氏(本名:岡政偉)が務める。

 ここでのキーマンはマシ・オカ氏だろう。主にアメリカで活動する俳優であり、デジタル視覚効果アーティストなど多彩な顔を持つ。日本の漫画・お笑い好きを公言しており、自らもゲーム開発会社「メビウス・デジタル」を設立。ゲームへの造詣も深いことがうかがえる。そういった日本文化への理解があるマシ・オカ氏がプロデュースすることで、ロックマンの世界観を構築していくという戦略なのだろう。こうした布陣から今回の2作品のハリウッド映画化は、カプコンの“本気”がうかがえる。

■コンテンツ豊富なゲーム作品は映画業界にとっては宝の山?

 カプコンは、「当社では、ワンコンテンツ・マルチユース戦略に基づき、豊富なオリジナルゲームコンテンツを活用した映像化に積極的に取り組んでいます。(中略)当社は、今後も映像メディアの持つ高いプロモーション効果を最大限に活用し、ゲームコンテンツのブランド価値を高めてまいります」と発表。マリオのハリウッド化を発表した任天堂も、公式発表で「ゲーム以外の形においても任天堂IP(知的財産)を積極的に活用していく」としている。

 日本ゲーム業界のリーディングカンパニーのタイトルが相次いでハリウッド映画化され、これを機にゲーム映画の縮図が変化することも十分にありえるだろう。他メーカーも含めた“ゲーム原作”に映画業界がさらなる注目を集める。また、カプコンだけでも、映画と親和性のありそうなタイトルは豊富にある。

 『鬼武者』シリーズは、ニンジャ・サムライが大好きな外国人にウケそうだし、『魔界村』はプリンセスを助けに魔界に赴く王道ダーク・ファンタジー映画に。格闘ゲームの『MARVEL VS COPCOM』は、『アベンジャーズ』や『ジャスティス・リーグ』のようなお祭り映画になりそうだ。いずれもゲーマーおなじみのタイトルであり、映画化となれば大いに注目されることになるだろう。人気ゲームは良質な映画のコンテンツになるはずで、その球数も実に豊富だ。日本を代表するゲームのハリウッド化は、ゲームの世界感を存分に感じられる作品になることを期待したい。

提供元:CONFIDENCE

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