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駅伝シーズン到来 青山学院・原監督と和田正人が語る指導者と選手の関係

 10月8日に開催される「第30回出雲全日本大学選抜駅伝競走」を皮切りに、今年の駅伝シーズンが開幕する。駅伝・マラソンは日本人が愛してやまない競技。これまで数多くのスター選手が誕生してきたが、そのなかでも東京五輪で銅メダルを獲得した円谷幸吉と、メキシコ五輪で銀メダルを獲得した君原健二の2人は、多くの人々にその名が知られている名選手だ。そんな、ライバルであり友人でもあった2人の数奇な運命を題材にした舞台『光より前に〜夜明けの走者たち〜』が、11月14日から紀伊國屋ホールで上演される。この作品で、特別監修を務めた青山学院大学陸上競技部長距離ブロック監督・原晋氏と、自身も箱根駅伝に出場経験があり、本作では円谷のコーチ・畠野洋夫役で出演する和田正人に、作品のことや長距離選手の日常、育成方法などについて聞いた。

写真左より、和田正人、原晋氏(青山学院大学陸上競技部長距離ブロック監督)

写真左より、和田正人、原晋氏(青山学院大学陸上競技部長距離ブロック監督)

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■選手はストイックに長距離と向き合っている。

【和田】今回の舞台で脚本・演出を担当された谷賢一さんが、青山学院の合宿に1泊2日で参加したんですが、その練習が修行僧みたいだったと言っていました。素人から見ると、長距離の練習って、なかなか異常な空気感があるらしいです。僕はそれが普通だと思っているから違和感ないんですけどね。

【原】初めてだとそう感じるかもしれませんが、他大学のチームからは、ものすごく調和が取れて見えるようです。指導者と選手の関係がフラットで、明るい雰囲気を醸し出していますからね。

【和田】僕がやっていた時代(2000年と2002年に日本大学で箱根駅伝出場)とは、指導者と競技者の関係性とか空気感がまったく違いますよね。

【原】それでも選手たちは、ストイックに長距離と向き合っている。私生活からストイックにやらなければ、パフォーマンスが発揮されないというのが、長距離にはありますから。

――そういう意味では、『光より前に〜夜明けの走者たち〜』の主人公、円谷幸吉の時代はさらに厳しかったわけですね。

【原】当時は戦争という時代背景を背負って、競技に向き合っていた時代かもしれないですね。

【和田】東京五輪が昭和39年です。

【原】スポーツではなく体育。その体育の源流は軍事教練ですから。他の競技よりも、そういった雰囲気が色濃かったと思います。

【和田】特に円谷さんは自衛隊員で、指導者も教官になるわけですから、完全なる縦社会。上の言うことは絶対という感覚。今を生きている僕らには想像できないですよね。一度銅メダルを取れたからと言って、「国を背負う、国民を背負う」ところまで思いを馳せることはできないと思うのですが、それは自衛隊という組織にいた人だったからなのかなと思います。

――そうした時代を生きた円谷と君原の物語を、監督は今の選手たちにどのように観てもらいたいですか。

【原】押し付けるつもりはないですね。時代の流れ、社会の変化のなかで、スポーツ指導者と選手の関係性は、変わっていかなければならない、というのが持論なので。ただ、こういう歴史が(日本の陸上界には)あったということは伝えたい。長距離というのは、私生活も含めて厳しい訓練を要求される。そのウエイトが、円谷さんの場合は9割以上占められていた。今はそれが下がって来ていますが、ゼロにはなっていないわけですから。

■陸上選手はグラウンドに集合した雰囲気でわかる

――監督はこの作品のなかで、どういう監修をされたのですか。

【原】陸上競技の精神的な部分ですね。ものの考え方とか、競技と向き合う姿勢といったところはアドバイスさせていただきました。たとえばグラウンドで選手が集合したときの雰囲気も、陸上選手はきっちりしている。競技特性によって、集まる行為そのものも雰囲気が変わるんです。そういう振舞いの部分の話などをしました。技術的なことは、体のラインの作り方など、諸動作を軽くアドバイスさせていただきましたが、走りの専門家(和田)がいますから。

【和田】今回はドラマと違って舞台なので、走る表現をどこまでやるのか、というのがあります。でも、舞台だからと言って、走ることを手抜きするとランナーの気持ちが理解できないから、宮崎秋人(円谷幸吉役)と木村了さん(君原健二役)の2人は、毎日トレーニングをしていると言っていました。

【原】長距離には、途中きつくなるタイミングがあるんですね。でも、きついときも毎朝起きて、また走ろうという気持ちになれるか、ということだと思うんです。舞台の上で本当に走るわけではないけれど、そういう心構えを作ることはできるのかなと思います。

【和田】その心構えができれば、円谷のセリフのひと言に対する理解も深まると思いますしね。

【原】今は何でも手に入る世の中ですが、それを我慢して1つの競技に向き合っている姿が、体からにじみ出る。日本人がマラソンや駅伝を好むのは、演出でもなんでもない、その人そのものが出る競技だから。それに、走るという行為は誰に教わるものでもなく、人間の成長の過程のなかにあるもの。それを追求するのが長距離なので感動するんじゃないですかね。

【和田】本当にそう思います。ただ走るというシンプルな競技ですが、なぜ走るのか? その答えは1つではないと思うので、生きていくうえで大きなメッセージに気付いてもらえたらいいのかなと思います。

関連写真

  • 写真左より、和田正人、原晋氏(青山学院大学陸上競技部長距離ブロック監督)
  • 青山学院大学陸上競技部との記念撮影に応じる和田正人
  • 原晋氏(青山学院大学陸上競技部長距離ブロック監督)とともに舞台への意気込みを語る和田正人

提供元:CONFIDENCE

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