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バカリズム、発想力の源は“疑い” マルチな才能開花も「弱点だらけ」

 「僕ですか…割といい声はしていると思います(笑)。松任谷由実さんに『声がいい。声は大事だよ』とほめてもらいました」。こう語るのは、6日から開幕して7月29日まで、東京・上野の森美術館で行われる展覧会『ミラクル エッシャー展 奇想版画家の謎を解く8つの鍵』のナビゲーターに就任し、音声ガイドに初挑戦したバカリズム。マルチな分野で活躍しているバカリズムに、版画家として唯一無二の作品を制作してきたエッシャーと自身の共通点、ネタ作りの出発点、テレビへの思いまでを聞いた。

バカリズム (C)ORICON NewS inc.

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■エッシャーのストイックさに感嘆 型破りな手法に共感も「無条件に納得していることを疑いたい」

 20世紀を代表する版画家のひとりであるエッシャーは、実際にありそうで現実に存在し得ない風景や、ひとつの絵の中に重力が異なる世界が存在するなどといった「ありえない世界」を描いた作品で今なお世界中の人々を魅了。今回のオファーを受けた時の心境を聞くと「もともと、おもしろい絵を描く人だなという印象がなんとなくあったのでうれしかったです」と顔をほころばせ、エッシャーの性格についても次のように話す。「いろいろとお話を聞くと、けっこう変わり者で社交性がなくて人と会うのが嫌いだったと言っていて、(自分と)似ている部分もあるんだなと思ったりして。だからこんな絵になるんだという部分で親近感がわきました」。

 しかし、作品をつぶさに見ていくうちに、「オレはここまでじゃないなと」と気づいたという。「エッシャーの人物像や言葉にも共感できる部分もありましたけど、それにしてもここまでの作品に対する執念はないなと思うくらい、偉大な人だと思いました。作品を見ていると仕組みとかをずっと考えちゃいますし、細かいところまで描いてあるので想像力がかきたてられますよね。それが、ただ発想にまかせて描いている訳ではなくて、緻密に計算されているので、数学の分野の方からも評価されていたというのも納得できます。僕はそこまで計算できなくて、面白ければいいやと思っちゃうタイプなので、ここまではできないです。エッシャーは本当に完璧主義者だったんだと思います」。

 脚本のみならず自身で原作・主演を務めたドラマ『架空OL日記』が顕著だが、バカリズムが描く世界にも、エッシャーのような「実際にありそうで現実に存在し得ない風景」を感じ取ることができる。「(エッシャー)本人に聞いてないからわからないですけど、こうなったら面白いというのと同時に『こうであったっていいじゃん』と思っているところを感じます。『逆に。こうじゃないとなぜ言い切れるの?』という考え方とか、ちょっとそれはひねくれていることになるんでしょうけど、そういう感覚というか、気持ちはものすごくわかりますし、そういうことを考えながら描いたんじゃないかなと思いました。『確かに、こうなったって誰も何も迷惑かけないし』っていう、型破りな手法とか構図とか、ものすごく共感できます。みんなが何か無条件に納得していることをすごく疑いたくなるというか、そういうところは自分のネタの出発点にもなっていると思います」。

■主戦場はテレビ「番組のクオリティーを最優先」 数年間“休みなし”の多忙も淡々

 この言葉を聞いて、ふと思い出したのが今年4月4日に放送されたフジテレビ系バラエティー特番『バカリズムのそこスルーする?』。日本の放送文化の質的な向上を願い、テレビ・ラジオの番組、関係者に贈られる「ギャラクシー賞4月度月間賞」をこのほど受賞した同番組の「よくよく考えてみるとおかしい状況にもかかわらず、気付かないでいる様子を『スルー』と呼び、バカリズムが世の中にあふれる『スルー』の中からテーマをひとつ選び、フリップを使って疑問に感じることを説明する」という内容は、まさにエッシャーが描いてきた世界観ともぴったり重なる。この日のインタビュー中に発した「僕の主戦場はテレビなので」という言葉が気になって、バカリズムに“テレビ観”を聞いてみた。

 「笑い声が起こることはやらないといけないので、ライブとは違って、テレビで披露する時は、その辺はある程度は気を使います。やっぱり、テレビに出たくて上京してきたので、テレビに出してもらえるんだったら、自分の色を失わない程度であれば、いくらでも直しますよ。ライブとは違って、たくさんの人が見てくれますので。ライブでは、ある程度は自分の決定権で進められますけど、テレビはいろんな人がかかわっていますから、その番組のクオリティーを上げることが最優先なので。そのためには時には自分を殺さないといけないですし、その場に応じて対応していかないといけないなと思います」。

 そんなテレビの世界で快進撃が続いている。『架空OL日記』では優れた脚本作家に贈られる『第36回(2017年度)向田邦子賞』(主催:向田邦子賞委員会、東京ニュース通信社)を受賞、大喜利No.1を決める『IPPONグランプリ』では4回目の優勝を果たし、同大会における最多優勝者となった。さらに、音楽番組『バズリズム02』内の企画でアーティストとのコラボを行ったり、小出祐介Base Ball Bear)、夢眠ねむでんぱ組.inc)とともに出演する『アイキャラ』シリーズで生まれたキャラクター『ひらがな男子」で2.5次元舞台の脚本に初挑戦するなど、まさにマルチな才能を発揮している。

 気になる現在のスケジュールを聞いてみると「仕事行って、夜帰って、寝て、また仕事行って…の繰り返しですね。何年もずっとそうで、休みは基本的にないです」とあっさり。テレビでの仕事に加えて、単独ライブも毎年開催しており、まさにスキのない活躍だが、こう謙そんする。「全体的にムラがあるし、集中力とかもその日によって違うし、弱点だらけですよ」。これから、どんな世界を見せてくれるのか楽しみで仕方ない。

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  • バカリズム (C)ORICON NewS inc.
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