昨年12月17日、フジテレビ系で放送された『Cygames THE MANZAI 2017』で、ウーマンラッシュアワーが披露した漫才が良くも悪くも話題に。原発から沖縄の基地問題まで際どい時事問題を織り込んだ風刺ネタに、「漫才がアートになった瞬間を見た」と絶賛の声が挙がる一方、「自分の政治観を漫才で押し付けるな」など批判の声も。ORICON NEWSでは、この騒動について一般視聴者への意識調査を実施。賛同する声も多く聞かれたが、同時に問題点も浮き彫りになった。
◆沖縄の米軍基地問題など、政治批判を踏まえた漫才を展開
当の漫才では、村本自身の出身地である原子力発電所のある福井県大飯町や小池百合子東京都知事、さらに沖縄の米軍基地について語り始めた。日本政府が在日米軍に9,465億円の思いやり予算を払っていることに触れ、村本が「アメリカに思いやりを持つ前に」、相方の中川パラダイスが「沖縄に思いやりを持てー!」と絶叫した。漫才自体は、その地域に愛を持つことで「◯◯へようこそ」という内容が基本軸だったが、特に賛否両論の意見が噴出したのはこのくだりだった。
◆一般ユーザー1,000人に調査、「良いと思う」は全体の38.2%
今回ORICON NEWSでは、この騒動に対する意見を10代から50代の男女に調査。計1,000人の一般ユーザーの賛否の割合は以下のような結果となった。
【お笑いのネタで政治・外交を扱うことについての賛否】・良いと思う……38.2%・良くないと思う……12.9%・どちらともいえない/わからない……48.9%
「良いと思う」と回答した一番の理由は、「興味を持つきっかけや問題提起になるから」。個々の意見としては、「考えるきっかけを与えるのは良いこと」(東京都/20代/男性)、「政治ネタなどを盛り込んで、もっと若い人たちに政治に関心を持ってもらった方がいい」(愛知県/30代/男性)などが挙がった。
ほか、「風刺芸だから」「表現の自由だから」という理由で「良いと思う」とした人も多い。「アメリカのコメディアンは時事問題などもどんどん発言しているので」(大分県/40代/女性)と、海外と比較した意見もあった。映画評論家・在米ジャーナリストの町山智浩が「アメリカのテレビでは、11時のニュースの後、多くがお笑いショーに。その日にあったニュースをダイジェストでトークショーにする」(TBSラジオ『たまむすび』での発言)とコメントしているように、確かに欧米では政治や社会情勢を風刺ネタが多い印象がある。
◆ネット時代、否定派は海外からの受け取られ方に不安
次に「よくないと思う」の意見。これには「勉強不足の上、英雄気取りで恥ずかしい」(福岡県/20代/女性)、「他国の人から日本人はそう思っているのかと思われたら困る」(岡山県/20代/男性)、「インターネットが普及し、日本以外でも観ることができる。どう捉えられるかわからないので避けた方がいい」(神奈川県/30代/女性)、「茶化しているように聞こえる」(神奈川県/50代/女性)など厳しい声も挙がっている。
◆賛同派も“条件付き”、思想の偏りや真偽に疑問も
調査結果としては、「良いと思う」が「良くないと思う」を上回り、今回のネタは一般視聴者に好意的に受け止められているように思える。しかし、誰もが諸手を上げて賛同しているわけではなく、“条件付き”の回答をしたユーザーが多く見られたのも確かだ。その点は、「わからない/どちらともいえない」と回答したユーザーも同様のように思われる。
「やること自体は良いが、芸人としての思想が強く働いているのが問題」(兵庫県/30代/男性)、「広く注意喚起や議論のきっかけにできるという意味では良い。ただ本人の不勉強や、他者の虚偽捏造を真に受けてスピーカーになった場合はしっかり罰するべき」(福岡県/男性/40代)など、やるからには芸人自身に責任を求めるシビアな見方もあった。村本はこれまでも、SNS等での過激な発言で炎上、ネットニュースで取り上げられることも多かっただけに、そういった先入観も影響しているのかもしれない。
◆脈々と続く時事ネタの系譜、求められるのは面白さと責任
一方、まったく異なる方向からの意見も。「芸能人だから言ってはいけないとは思わない。ただ漫才やバラエティ番組は、そういった社会問題を考えないで観たい」(兵庫県/20代/男性)、「上手く笑いに変えられず、ただ政治批判するネタならやめた方がいい」(静岡県/20代/女性)との声も。ネタに求めるのは面白さであって、風刺や政治問題ではない。これもまた、視聴者の素直な意見なのである。
日本で時事ネタを確立したのは、「青空一門」領袖の漫才コンビ、コロムビア・トップ・ライトだったといわれる。その後も、爆笑問題をはじめ、ザ・ニュースペーパー、ナイツ、10代目鈴々舎馬風ファミリーのロケット団など多くの芸人が時事ネタを扱っている。
これまで系譜や今回の調査結果を見ても、お笑い芸人が社会情勢や政治・外交問題を取り上げることが、一概に否定されているわけではない。ただ、老若男女多くの視聴者に影響を及ぼすだけに、発言に責任を持ち、なおかつネタとして面白いものが求められる。お笑いに目が肥えた視聴者も多い現代、この点さえクリアできれば、風刺漫才を受け入れる土壌はすでに整っているのだ。(文/衣輪晋一)
【調査概要】
調査時期:2018年1月16日(火)〜1月19日(金)
調査対象:合計1000名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代、20代、30代、40代、50代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
◆沖縄の米軍基地問題など、政治批判を踏まえた漫才を展開
当の漫才では、村本自身の出身地である原子力発電所のある福井県大飯町や小池百合子東京都知事、さらに沖縄の米軍基地について語り始めた。日本政府が在日米軍に9,465億円の思いやり予算を払っていることに触れ、村本が「アメリカに思いやりを持つ前に」、相方の中川パラダイスが「沖縄に思いやりを持てー!」と絶叫した。漫才自体は、その地域に愛を持つことで「◯◯へようこそ」という内容が基本軸だったが、特に賛否両論の意見が噴出したのはこのくだりだった。
今回ORICON NEWSでは、この騒動に対する意見を10代から50代の男女に調査。計1,000人の一般ユーザーの賛否の割合は以下のような結果となった。
【お笑いのネタで政治・外交を扱うことについての賛否】・良いと思う……38.2%・良くないと思う……12.9%・どちらともいえない/わからない……48.9%
「良いと思う」と回答した一番の理由は、「興味を持つきっかけや問題提起になるから」。個々の意見としては、「考えるきっかけを与えるのは良いこと」(東京都/20代/男性)、「政治ネタなどを盛り込んで、もっと若い人たちに政治に関心を持ってもらった方がいい」(愛知県/30代/男性)などが挙がった。
ほか、「風刺芸だから」「表現の自由だから」という理由で「良いと思う」とした人も多い。「アメリカのコメディアンは時事問題などもどんどん発言しているので」(大分県/40代/女性)と、海外と比較した意見もあった。映画評論家・在米ジャーナリストの町山智浩が「アメリカのテレビでは、11時のニュースの後、多くがお笑いショーに。その日にあったニュースをダイジェストでトークショーにする」(TBSラジオ『たまむすび』での発言)とコメントしているように、確かに欧米では政治や社会情勢を風刺ネタが多い印象がある。
◆ネット時代、否定派は海外からの受け取られ方に不安
次に「よくないと思う」の意見。これには「勉強不足の上、英雄気取りで恥ずかしい」(福岡県/20代/女性)、「他国の人から日本人はそう思っているのかと思われたら困る」(岡山県/20代/男性)、「インターネットが普及し、日本以外でも観ることができる。どう捉えられるかわからないので避けた方がいい」(神奈川県/30代/女性)、「茶化しているように聞こえる」(神奈川県/50代/女性)など厳しい声も挙がっている。
◆賛同派も“条件付き”、思想の偏りや真偽に疑問も
調査結果としては、「良いと思う」が「良くないと思う」を上回り、今回のネタは一般視聴者に好意的に受け止められているように思える。しかし、誰もが諸手を上げて賛同しているわけではなく、“条件付き”の回答をしたユーザーが多く見られたのも確かだ。その点は、「わからない/どちらともいえない」と回答したユーザーも同様のように思われる。
「やること自体は良いが、芸人としての思想が強く働いているのが問題」(兵庫県/30代/男性)、「広く注意喚起や議論のきっかけにできるという意味では良い。ただ本人の不勉強や、他者の虚偽捏造を真に受けてスピーカーになった場合はしっかり罰するべき」(福岡県/男性/40代)など、やるからには芸人自身に責任を求めるシビアな見方もあった。村本はこれまでも、SNS等での過激な発言で炎上、ネットニュースで取り上げられることも多かっただけに、そういった先入観も影響しているのかもしれない。
◆脈々と続く時事ネタの系譜、求められるのは面白さと責任
一方、まったく異なる方向からの意見も。「芸能人だから言ってはいけないとは思わない。ただ漫才やバラエティ番組は、そういった社会問題を考えないで観たい」(兵庫県/20代/男性)、「上手く笑いに変えられず、ただ政治批判するネタならやめた方がいい」(静岡県/20代/女性)との声も。ネタに求めるのは面白さであって、風刺や政治問題ではない。これもまた、視聴者の素直な意見なのである。
日本で時事ネタを確立したのは、「青空一門」領袖の漫才コンビ、コロムビア・トップ・ライトだったといわれる。その後も、爆笑問題をはじめ、ザ・ニュースペーパー、ナイツ、10代目鈴々舎馬風ファミリーのロケット団など多くの芸人が時事ネタを扱っている。
これまで系譜や今回の調査結果を見ても、お笑い芸人が社会情勢や政治・外交問題を取り上げることが、一概に否定されているわけではない。ただ、老若男女多くの視聴者に影響を及ぼすだけに、発言に責任を持ち、なおかつネタとして面白いものが求められる。お笑いに目が肥えた視聴者も多い現代、この点さえクリアできれば、風刺漫才を受け入れる土壌はすでに整っているのだ。(文/衣輪晋一)
【調査概要】
調査時期:2018年1月16日(火)〜1月19日(金)
調査対象:合計1000名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代、20代、30代、40代、50代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
2018/01/25