NHKの2017年前期連続テレビ小説『ひよっこ』で主演を務めた有村架純。その放送が9月30日に終了し、出演した映画『ナラタージュ』の公開（10月7日）を見届けた後、「デビューして以来、7年目になりますが、初めて長期の休みをいただきました」。さらに、NHKの紀行番組のロケとして、「行ってみたかったカナダに行くことができました。海外旅行としても最長の10日間。ゆっくり自分の気持ちと向き合うこともできました」。今月大みそかには2回目の『NHK紅白歌合戦』紅組司会という大仕事が控えている中、カナダの旅のみやげ話を聞いた。

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　先日、約4ヶ月ぶりに更新した公式ブログに「昔は、自分の内にある熱い気持ちや思いを口にバンバン出していたけれど 最近はなんだかそれが恥ずかしい、と思うようになってしまって。そして、怖いとも思うようになりました。そう思っていることが恥ずかしいのになぁ。と思いつつ、臆病な自分が、中途半端に思えてもどかしい」とつづっていたが、そのような思いをブログで公表したこと自体に、彼女の心境変化みたいなものを感じる。

　そのきっかけの一つは、カナダロケにあった。旅の日程は10日間。巨大瀑布「ナイアガラの滝」、世界で一番美しい島と呼ばれる「プリンス・エドワード島」、さらには歴史と文化に彩られた「ケベック地方」にまで足を延ばした。

　「カナダに行って、自分の気持ちを開放する仕方を忘れてしまっていることに気づいて…。でも、それが1日、1日、過ごしていくうちに、固まっていたもの、自分の中にたまっていた毒素みたいなものが柔らかくなって、溶け出していったような気がして。現地で出会った人たちとおしゃべりしたり、逆に本当に感動したときは言葉にならなかったり、本当の自分を出せたというか、デトックスしてすごくリフレッシュできました。自分の毒をカナダに置いてくる、という言い方はどうかと思いますが（笑）、でも日本には持ち帰らないと決めて、過ごしていました」。

　周りの目を気にして、本当の自分が出せなくなってしまう。誰にでも起こりうること。ましてや多くの人の目にさらされる芸能人。自分と向き合うことを恐れずに、そのことを包み隠さず話してくれたところに、有村の人間性、誠実さがうかがえる。

　自分を開放して、自分と向き合って、自分でも意外な一面を発見したという。「見知らぬ人に、英語で話しかけるなんて、自分にできるかな？と思っていたんですが、意外とたくさん話せました（笑）。自分でも驚きました。英語といっても、自分の知っている単語を使った程度（笑）。でも、何を言っているかは理解したいと思って、一生懸命、話を聞くようにしました」。

　一番印象に残っていることを聞くと、プリンス・エドワード島で出会ったクランベリー農家の夫妻について話し始めた。

　「フランクさんという方で、72歳なんですけど、とっても元気で、なんというか、負のオーラをまったく感じさせない方でした。笑顔が伝染するっていうのは、本当だなって。自分のやりたいことをして、振り回されず、軽やかに生きている感じがしてすてきでした。奥さまも、またすてきな方で、かっこいいんです。旦那さんが突然、就いていた仕事をやめてクランベリー畑をはじめると言い出した時、自分はフランクさんについていこうと思ったといったお話を聞いて、楽しかったです。一緒にクランベリーの収穫体験もしました」。

　カナダの旅の模様は『有村架純　カナダ大自然の旅』と題し、NHK総合で16日（後7：30〜8：45）放送。番組用に、自撮りムービーにも挑戦し、「一日の締めコメントを言うのが新鮮でした（笑）。編集された映像を観ましたが、本当に素が出ていると思います。楽しい時って、自分はこういう顔をしているんだ、というのが客観的に見られて面白かったです。いろんな表情を切り取ってくださっているので、視聴者の方にも楽しんでもらえたらいいな、と思います」とアピールしていた。

　番組を観れば、話題のフランク夫妻のこともわかると同時に、人との出会いを、縁を大切する有村のパーソナリティーも見えてくる。番組の担当プロデューサーも「観ていただいたら、ますますファンになると思うし、『ひよっこ』などの出演作品を観ていない方もファンになっちゃうんじゃないかな」と太鼓判。有村にとっても次のステップへ進む、ターニングポイントとして忘れられない旅を共有できる。