新陳代謝の激しい芸能界でも、特に入れ替わりが激しいのが“おバカ枠”。『クイズ!ヘキサゴンII』(フジテレビ系)のヘキサゴンファミリーをはじめ、多くのタレントが同枠から巣立っていったが、現在、その独特すぎる言語感覚でバラエティを席巻しているのがモデルでタレントの滝沢カレンだ。不思議な日本語を連発し、要約必須なその発言内容に番組の進行が“渋滞”を起こしてしまうことも多々。だが視聴者はそれがツボにハマっているらしく、SNSを中心に「じわじわくる」、「クセになる」など多くの絶賛の声が寄せられている。
◆『さんま御殿!!』を機に飛躍 さんまもタジタジとなった不思議な日本語
滝沢カレンは1992年生まれの24歳で、父がウクライナ人、母が日本人のハーフ。小さい頃になりたかった職業は花屋。その後バレリーナを夢見て、やがてファッションモデルを目指すように。そして2008年に雑誌『Seventeen』(集英社)のモデルオーディションでグランプリに選ばれ、同年専属モデルとして活動開始。現在は『JJ』(光文社)の専属モデルとして活躍している。
彼女の最大の特長は、生まれも育ちも日本なのに「日本語が苦手」というキャラクター。母がロシア語の通訳で、周囲に日本語がカタコトの外国人が多かった影響から摩訶不思議な日本語を身に着けてしまったらしいが、昨年5月に放送された『人気者から学べ そこホメ!?』(フジ系)では、アナウンサーを育てる学校に通って頭に詰め込みすぎた結果、こうなってしまったとも明かしている。
滝沢カレンの魅力が発掘され、彼女が一躍注目を浴びるきっかけになったのが、2015年6月に放送された『おどる!さんま御殿!!』(日本テレビ系)だ。滝沢は同番組で元カレと別れたエピソードを話し、「別れ際」を「別れ“の”際」と独自の表現。そしておそらく「一回もない」と言いたかったところを「一回ぽっちもないです」と話し、言い直しはしたのだが、結局「一回こっきりもないです」と摩訶不思議な表現の連発。さすがの明石家さんまも思わず座り込み、「ごめん、カレンちゃん、何を言ってるの?」とタジタジになっている様子が放送された。この後、彼女は多くのバラエティ番組に出演し始めることになるのだが、この頃の様子を、メディア研究家で多くのエンタメ記事を手掛ける衣輪晋一氏は「その独自の言語感覚に放送直後、視聴者は騒然。その後も彼女が出演するたびにSNSはお祭り騒ぎになっていました」と振り返る。
◆滝沢カレンによる、“いい意味で”散らかった名言の数々
「例えば、彼女がナレーションを務める『全力!脱力タイムズ』(フジ系)では、お店を『なだたる文豪たちが訪れていた』の部分を『なだたる“ごうもん”たちが』と読み間違え(2016年10月放送)。さらに天丼を紹介するのに、『“いい意味で”散らかっているこの具材たちが、(器から)はみ出ているのがいいですね』と、褒めているのかけなしているのか分からないシュールなナレーションを披露し、SNS上では『混乱の極み(笑)』、『初めて神ってるという言葉を使うが、滝沢カレンのナレーションが神ってる!』などのコメントであふれました。この“いい意味で”は、実は彼女がよく発する言葉のひとつで、昨年12月放送分でも、かき氷が作られていくVTRで『量をはかっているのかというくらい、適当。…いい意味で』と発言。彼女はとにかく『いい意味で』を付ければなんとかなると思っているフシもあり(笑)、これは今もSNSで視聴者にツッコまれるお約束になっています」(衣輪氏)
そのほか、彼女の“珍発言”をもう少し紹介すると、昨年12月放送の『アリよりのアリ』(TBS系)では理想の彼氏について「ノリの軽い亭主関白な人」と矛盾の多すぎる発言。同じく12月放送の『中居正広のミになる図書館』(テレ朝系)では、東京大神宮前の門構えを「この門どころが」と、『水戸黄門』(TBS系)の助さん格さんばりに紹介し、SNSはツッコミと賞賛の嵐に。さらに昨年末に彼女が写真系SNSサイトに投稿した長文では、「世界には時差があって、世界中が一斉に新年を迎えられない」などという内容を語った後に「ようは、小さいことは気にするなというお話ということですね」とまとめ、コメント欄には「なるほど、わからん」、「(寧ろ)哲学的」などの声が寄せられ、拡散されてネットニュースになるなどした。
◆“ポスト・ローラ”としても注目、その一生懸命さが“予測不可能”な展開を生む
そんな滝沢だが、現役モデルであり、ハーフということもあって、普通にしていればいわゆる“美人“。美形から発せられる言葉とのギャップも魅力となっており、“おバカ”タレントのなかでも異彩を放っている。とくにほかの“おバカ”タレント、“ハーフ”枠と違うのは、同枠のタレントたちにありがちなキャピキャピ感や、周囲と微妙に噛み合わない高いテンション、強い自己主張などがないこと。だからこそ、発する言動とのコントラストが新鮮で興味深く、彼女を唯一無二の存在にせしめている。
「“おバカ”タレントでモデル、“ハーフ”枠と言えば、ハリウッド映画に進出したローラさんも同様。2人の境遇は似通って見えますが、ローラさんがマイペースでキャラ性が強く、最近は貫禄すら漂わせるのに対して、カレンさんは、彼女の言葉を借りるなら、“いい意味で”テンパった、たどたどしい言動がウリ。実際、今年2月に放送された『火曜サプライズ』(日テレ系)でも『さんま御殿』出演時は、“膝から汗をかくほど”に緊張していたことを明かしています(笑)。また分かりやすく少ない語彙で物事を伝えるローラさんと違い、カレンさんは実は語彙が豊富であることも特長的。難しい言い回しや知的な言葉、丁寧な言葉を使おうとして、こんがらがっている印象です。この一生懸命さが今の彼女を形作っている一面があり、バラエティ慣れをして緊張もしなくなった時が正念場になるかも。ですが、ご自身で萎縮してしまわない限り、小さくまとまることはないでしょう。ちなみに、ローラさんとカレンさんの違いは、カレンさん本人が前出の『ミになる図書館』で語ったところによれば、『生まれも育ちも違うので“画期的な”違いがある』そうです(笑)」(同氏)
芸能界における“ハーフ枠”からいち抜けし、ワールドワイドな活躍を始動させたローラに代わる存在“ポスト・ローラ”の最右翼となりつつある滝沢カレン。将来は番組MCも視野に入れているようなのだが、もしそれが実現するなら、間違いなく今まで見たことのないMCとなるだろう。彼女のトーク同様、何が飛び出すか“予測不可能”で“画期的”な彼女の未来を温かく見守りたい。
(文:中野ナガ)
◆『さんま御殿!!』を機に飛躍 さんまもタジタジとなった不思議な日本語
滝沢カレンは1992年生まれの24歳で、父がウクライナ人、母が日本人のハーフ。小さい頃になりたかった職業は花屋。その後バレリーナを夢見て、やがてファッションモデルを目指すように。そして2008年に雑誌『Seventeen』(集英社)のモデルオーディションでグランプリに選ばれ、同年専属モデルとして活動開始。現在は『JJ』(光文社)の専属モデルとして活躍している。
彼女の最大の特長は、生まれも育ちも日本なのに「日本語が苦手」というキャラクター。母がロシア語の通訳で、周囲に日本語がカタコトの外国人が多かった影響から摩訶不思議な日本語を身に着けてしまったらしいが、昨年5月に放送された『人気者から学べ そこホメ!?』(フジ系)では、アナウンサーを育てる学校に通って頭に詰め込みすぎた結果、こうなってしまったとも明かしている。
滝沢カレンの魅力が発掘され、彼女が一躍注目を浴びるきっかけになったのが、2015年6月に放送された『おどる!さんま御殿!!』(日本テレビ系)だ。滝沢は同番組で元カレと別れたエピソードを話し、「別れ際」を「別れ“の”際」と独自の表現。そしておそらく「一回もない」と言いたかったところを「一回ぽっちもないです」と話し、言い直しはしたのだが、結局「一回こっきりもないです」と摩訶不思議な表現の連発。さすがの明石家さんまも思わず座り込み、「ごめん、カレンちゃん、何を言ってるの?」とタジタジになっている様子が放送された。この後、彼女は多くのバラエティ番組に出演し始めることになるのだが、この頃の様子を、メディア研究家で多くのエンタメ記事を手掛ける衣輪晋一氏は「その独自の言語感覚に放送直後、視聴者は騒然。その後も彼女が出演するたびにSNSはお祭り騒ぎになっていました」と振り返る。
◆滝沢カレンによる、“いい意味で”散らかった名言の数々
「例えば、彼女がナレーションを務める『全力!脱力タイムズ』(フジ系)では、お店を『なだたる文豪たちが訪れていた』の部分を『なだたる“ごうもん”たちが』と読み間違え(2016年10月放送)。さらに天丼を紹介するのに、『“いい意味で”散らかっているこの具材たちが、(器から)はみ出ているのがいいですね』と、褒めているのかけなしているのか分からないシュールなナレーションを披露し、SNS上では『混乱の極み(笑)』、『初めて神ってるという言葉を使うが、滝沢カレンのナレーションが神ってる!』などのコメントであふれました。この“いい意味で”は、実は彼女がよく発する言葉のひとつで、昨年12月放送分でも、かき氷が作られていくVTRで『量をはかっているのかというくらい、適当。…いい意味で』と発言。彼女はとにかく『いい意味で』を付ければなんとかなると思っているフシもあり(笑)、これは今もSNSで視聴者にツッコまれるお約束になっています」(衣輪氏)
そのほか、彼女の“珍発言”をもう少し紹介すると、昨年12月放送の『アリよりのアリ』(TBS系)では理想の彼氏について「ノリの軽い亭主関白な人」と矛盾の多すぎる発言。同じく12月放送の『中居正広のミになる図書館』(テレ朝系)では、東京大神宮前の門構えを「この門どころが」と、『水戸黄門』(TBS系)の助さん格さんばりに紹介し、SNSはツッコミと賞賛の嵐に。さらに昨年末に彼女が写真系SNSサイトに投稿した長文では、「世界には時差があって、世界中が一斉に新年を迎えられない」などという内容を語った後に「ようは、小さいことは気にするなというお話ということですね」とまとめ、コメント欄には「なるほど、わからん」、「(寧ろ)哲学的」などの声が寄せられ、拡散されてネットニュースになるなどした。
◆“ポスト・ローラ”としても注目、その一生懸命さが“予測不可能”な展開を生む
そんな滝沢だが、現役モデルであり、ハーフということもあって、普通にしていればいわゆる“美人“。美形から発せられる言葉とのギャップも魅力となっており、“おバカ”タレントのなかでも異彩を放っている。とくにほかの“おバカ”タレント、“ハーフ”枠と違うのは、同枠のタレントたちにありがちなキャピキャピ感や、周囲と微妙に噛み合わない高いテンション、強い自己主張などがないこと。だからこそ、発する言動とのコントラストが新鮮で興味深く、彼女を唯一無二の存在にせしめている。
「“おバカ”タレントでモデル、“ハーフ”枠と言えば、ハリウッド映画に進出したローラさんも同様。2人の境遇は似通って見えますが、ローラさんがマイペースでキャラ性が強く、最近は貫禄すら漂わせるのに対して、カレンさんは、彼女の言葉を借りるなら、“いい意味で”テンパった、たどたどしい言動がウリ。実際、今年2月に放送された『火曜サプライズ』(日テレ系)でも『さんま御殿』出演時は、“膝から汗をかくほど”に緊張していたことを明かしています(笑)。また分かりやすく少ない語彙で物事を伝えるローラさんと違い、カレンさんは実は語彙が豊富であることも特長的。難しい言い回しや知的な言葉、丁寧な言葉を使おうとして、こんがらがっている印象です。この一生懸命さが今の彼女を形作っている一面があり、バラエティ慣れをして緊張もしなくなった時が正念場になるかも。ですが、ご自身で萎縮してしまわない限り、小さくまとまることはないでしょう。ちなみに、ローラさんとカレンさんの違いは、カレンさん本人が前出の『ミになる図書館』で語ったところによれば、『生まれも育ちも違うので“画期的な”違いがある』そうです(笑)」(同氏)
芸能界における“ハーフ枠”からいち抜けし、ワールドワイドな活躍を始動させたローラに代わる存在“ポスト・ローラ”の最右翼となりつつある滝沢カレン。将来は番組MCも視野に入れているようなのだが、もしそれが実現するなら、間違いなく今まで見たことのないMCとなるだろう。彼女のトーク同様、何が飛び出すか“予測不可能”で“画期的”な彼女の未来を温かく見守りたい。
(文:中野ナガ)
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2017/03/04