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松坂桃李、後輩・菅田将暉への想い明かす「自分にないものをたくさん持っている」

 2016年はドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)での童貞教師役や、石田衣良氏の小説が原作の舞台『娼年』での男娼役など体当たりの挑戦を見せてきた松坂桃李。最新主演作であり、人気ボーカルグループ・GReeeeNの名曲「キセキ」誕生秘話を描いた映画『キセキ ―あの日のソビト―』では、ジン(GReeeeNのプロデューサーJIN)役を演じ劇中では歌声も披露。30歳を目前に、より多彩な役柄に向き合っている松坂に現在の俳優業について語ってもらった。

歌が苦手で“歌シーン”はNGにしていたと明かす松坂桃李(写真:RYUGO SAITO)

歌が苦手で“歌シーン”はNGにしていたと明かす松坂桃李(写真:RYUGO SAITO)

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◆父親とケンカした学生時代がフラッシュバックした

――昨年9月の前回のインタビューで、『キセキ ―あの日のソビト―』について「撮影が終わってから気づいたことがあった」とおっしゃっていました。どんなことに気づいたのでしょうか?
【松坂桃李】 ジンが将来のことで父親と口論になって家を出ていくシーンは、自分にも似たようなことがあったなと完成作を観て改めて思ったんです。ただ、僕の場合はジンのように「これがやりたいんだ!」という強い想いがあって家を出たわけではなくて(笑)。この仕事に就いたあと急に忙しくなってしまって、大学を休学しなきゃいけなくなったんです。それを父親に話したら「ふざけるな!」と怒られ、「いやいや、決まっちゃったんだから仕方ないじゃん」と僕も言い返して。で、「出ていってやるよ!」と勢いでタンカを切ってしまったんですけど、それが劇中のシーンとフラッシュバックしたというか。僕にも似たようなことがあったなぁと気づかされました。

――今作で兄弟役を演じた菅田将暉さんは事務所の後輩であり、これまでにも何度か共演されています。松坂さんにとって菅田さんはどんな存在ですか?
【松坂桃李】 才能あふれた役者だと思いますし、菅田と芝居することで受ける刺激もあります。彼は役者以外にも歌を歌ったり洋服を作ったりしているクリエイティブな人間なので、一緒にいるとおもしろい部分がたくさん見えてくるんです。僕は歌えなければ洋服も作らないので、菅田に対して自分にないものを持っていると思えます。だからこそ共演したときに刺激を受ける部分も多いですし、タイプが違うからこそ共演する確率が高い。似ていないから今作で兄弟役もできたので、それはとてもラッキーなことだと思っています。ただ、ガッツリ共演するのはオリンピックのように4年に1回で十分ですけど(笑)。

――今まで歌う芝居はNGにしていたぐらい歌が苦手とお聞きしましたが、ジンがステージで歌うシーンはすごく様になっていましたよ。
【松坂桃李】 ありがとうございます。今作のお話をいただいたときに「ジンはプロデューサー役なので」と聞いてお受けしたんです。準備稿には歌うシーンが無かったはずなのに、決定稿を読んだらハイスピードのライブシーンが追加されていて驚きました(笑)。

――台本に書かれていたらやるしかないですしね(笑)。今後も歌うシーンに挑戦していただきたいです。
【松坂桃李】 そう言っていただけるのはすごく嬉しいんですけど、劇中で歌うのは今作が最初で最後かもしれません(笑)。

◆今年は「これは大変だな……」と思えるような大勝負の仕事も決まっています。

――2016年は舞台『娼年』で男娼の役を演じたり、ドラマ『ゆとりですがなにか』でコミカルな役を演じるなど幅広い作品に出演されていました。お仕事を受ける際に以前と変わった点はありますか?
【松坂桃李】 変わったというよりは、3年ほど前から自分に対して高いハードルを課すようにしていきたいと思うようになったのが大きいかもしれません。以前と比べてマネージャーと仕事に関して話し合う機会が増えましたし、色の違う作品にどんどん挑戦していきたいと思っていたタイミングで、ちょうど幅広いお仕事の依頼をいただけたので、ありがたかったです。

――だからこそ今回の歌うシーンにも挑戦することができたり?
【松坂桃李】 そこに関してはマネージャーにうまく丸め込まれた感じはありますけど(笑)。

――新しい面を見せていくことで、周りが抱く松坂さんへのイメージがどんどん変わっていくのを肌で感じることはありますか?
【松坂桃李】 イメージは後からついてくるものだと思うので、まずは自分がどうなるかわからないという領域でやってみることが大事かなと。例えば『娼年』のお話をいただいたときも、「男娼という役をやる自分が全く想像つかない。どうすればいいのかな」とある種の不安や緊張感がありました。でも、未知の領域だからこそ全力で取り込むことができますし、自分のなかの新たな引き出しを見つけたり、持っていなかった引き出しを作ることが楽しく感じられるんだと思います。

――どんどんハードルを高くしていきたいと?
【松坂桃李】 そうですね。演じている姿が自分で想像できる範疇の役だと甘えが出てしまう性格なので、そうならないためにも常に高い位置にハードルをもっていかないといけないと思っていて。どうなるのか想像つかないほうがやりがいを見い出しやすいんだと思います。

――2017年はどんな年になりそうですか?
【松坂桃李】 20代最後の年なので、やらせていただくお仕事すべてが自分のなかで勝負の作品になると思います。まだ詳細はお話できませんが、「これは大変だな……」と思えるような大勝負のものも決まっています。2017年もみなさんに応援していただけるように全力でがんばります!
(文:奥村百恵)

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