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桐谷健太、歌手活動の原点は父 一曲入魂で「世界が明るくなれば」

 俳優の桐谷健太が、きょう30日公開の映画『ターザン:REBORN』で主人公・ターザンの日本語吹き替え声優に挑戦。従来のイメージの常識を覆す“英国貴族のイケメンすぎるターザン”という難しい役どころを、声に抑揚をつけて巧みに表現している。ORICON STYLEではこのほど、桐谷にインタビューを行い、実写声優に初挑戦した感想、今年上半期最大の配信ヒット曲となった「海の声」をはじめとした歌手活動のルーツなどに迫った。

歌手活動の原点を語った桐谷健太 (C)ORICON NewS inc.

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■ターザンに親近感? 声優業の奥深さを実感

 今回のオファーを受けた時の心境を聞くと「ターザンって聞いた時に『あっ、いけそう!』って思った。わからないですけど、いけるんちゃうかと。自分と重ねあう部分があったのかもしれないですね」と満面の笑み。周りの反響や、幼少期の原風景からターザンに親近感を覚えていたのだという。「声優の話をすると、いろんな人に『ターザンっぽいよね』って言ってもらえたので、そこは自信になりました。あと、子どもの頃からなんですけど、自然のある場所に行くのが好きだった。ターザンは『自然が我が家』みたいなところがあるので、ちょっと違いはありますが(笑)そういった意味でも、違和感がなかったですね」。実写声優初挑戦を飾るにふさわしい、桐谷のイメージにぴったりの役だった。

 今回の映画で特徴的なのは、しばらくは「英国貴族」として暮らしていた主人公が「ターザン」として野生へと戻るというギャップの描写。その振れ幅を“声のみ”で表現するため、桐谷はスタッフも気付かない“ある工夫”をしていたという。「英国貴族の時とジャングルに戻ってからの感覚っていうのは、だんだん野獣感を取り戻していくところなので、自分の中で意識的に変えていきました。わかりやすく言うと、英国貴族の時は靴を履いていたんですけど、ターザンになった時は裸足で録音をやりました。何が変わるかわからないですけど、自分の気持ち的に、そういう気分だったんですよね」。画面では伝わらない部分にもこだわって、これまでにない“ターザン像”を見事に作り上げた。

 もちろん、声優業ならでは“奥深さ”も実感した。「声優さんって、マイクから動けないですから。でも、当然すごく動いているシーンを録ったりとかしますよね。これが、お芝居の場合だと、自分の動きとともに出たりする言葉が答えになったりするんですけど、声優は絵に合わせて言うものなので、独特の困難さ、今まで経験したことない面白さがありましたね」。

 その上で、こちらをまっすぐ見つめて“熱く”語りかけてくれた。「主役のターザンを、自分に“憑依”させて言うっていうことを大切にしました。人の演技に魂を吹き込んでいくっていうのは、経験したことがなかったので、その“間”を合わせたり、緻密だけど大胆にいかないといけないという、両方を持っておかないといけない難しさと面白さがありましたね。自分らしさというのは勝手に出てくるだろうから、オレだけのターザンになったらイカンということは常に気をつけていました」。桐谷健太としての演技を求められる映像の世界とは打って変わって、意識的に“個”を消すことの面白さを声の世界から学んだ。

■歌手活動の原点は父 歌う時はいつでも全身全霊

 最近では「歌手」としての顔でも注目を集めている。その原点を聞いてみると、声を弾ませた。「音楽がずっと身近にありました。オカンもオトンもアニキも、みんなギター弾くことができたし、オトンなんかはシャンソンが好きで、よく歌ってくれていましたね。やっぱり、地の声も“ひとつの楽器”なので、それで今勝負できているのは、楽しいなって思いますね」。モダンな父の“英才教育”を受けて、幼い頃から音楽の素養を自然と身に着けてきた。

 本格的に歌手活動を始めてみて、気づいたことがある。「お芝居をやる場合は、自分の中にどんどん入っていって、役のフィルターを通して感情を出したり、その役になるっていう感じです。歌の時は、自分のまんまでいいっていうか、中に入っていくっていうより、スコーンって突き抜けていって、開いていく感じ。それだけに、言葉にして軽く聞こえるとアレなんですけど、歌う時には全身全霊で思いを乗っけるというのを心がけています。カッコつける必要もないし、思いっきり歌うっていうだけです」。どんな時でも“一曲入魂”で、リスナーの心に響く歌を届けている。

 そんな桐谷の気持ちが全面にあふれ出たのが、今月18日放送のフジテレビ系音楽特番『FNSうたの夏まつり〜海の日スペシャル〜』での歌唱シーンだ。震災の影響で海の楽しみ方を知らないまま育っている、岩手県大槌町の子どもたちに歌のプレゼントをするためにやって来た桐谷だったが、未だに被害の痕が残る町内を目の当たりにすると大粒の涙を流した。その後、震災の傷が癒えていない被災地の人たちに、新たに海との関係を考えるきっかけになればとの思いで歌ったのが「海の声」。桐谷の“まっすぐな思い”に心を動かされた視聴者の中には、改めて歌詞の内容に注目する感想も多く「ただの恋歌じゃなかった」や「鎮魂歌のようにも聞こえた」などの声が相次いだ。

 同放送の反響について、桐谷は「そういうことを言っていただけるのは、やっぱりうれしいです」と感謝しながら、歌手活動への思いを明かした。「音楽の世界ってスゴいなと思いました。3〜4分で一気に世界を変えたり、空気を変えたりするっていうところがすばらしいなって思います。役者をやりながら、歌の方もやらせてもらえるという経験もめったにないですから、そこはすごくありがたいですし、やるからには、思いっきり楽しんで、何かちょっとでも世界が明るく楽しくなればいいなっていう気持ちですね」。映像だけでなく、声の分野でも、ターザンさながらの桐谷の大暴れが期待できそうだ。

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