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桐谷美玲、若年女性限定人気から脱却させた“知的ゆるカワ”路線

 主演映画『ヒロイン失格』が興収20億を越えるヒットとなった桐谷美玲。今年上半期のCM起用社数ランキングでも上戸彩に次ぐ2位の10社と、トップタレントのポジションを築いている。ただ、もともとティーン女子の圧倒的支持を受けつつも、ドラマや映画の代表作は思い浮かばない。男性にはイメージがボンヤリしたところもあった。彼女はいつの間に、これだけの存在になったのだろう?

桐谷美玲がなぜいま人気?男性層を惹きつけた知的美人イメージと親近感のギャップ

桐谷美玲がなぜいま人気?男性層を惹きつけた知的美人イメージと親近感のギャップ

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◆女性若年層から絶大な支持を受ける一方…

 桐谷は高1のときに、堀北真希や黒木メイサらが所属する女優系事務所にスカウトされて、映画でデビュー。ドラマ出演も当初から続けていた。一方、2006年からファッション誌『Seventeen』(集英社)の専属モデルに。スレンダーなスタイルにネコ目の顔立ちで女性読者の憧れの的となり、表紙に30回以上登場。連載をまとめた『美玲さんの生活。』もベストセラーになった。ナチュラルなたたずまいが“ゆるカワ(ゆるくて可愛い)系”としてもてはやされる。『Seventeen』卒業後も、『non-no』(集英社)で今年6月号まで専属モデルを続けていた。

 だが女優業では、多くのドラマや映画に出演しながら、インパクトを残す作品に出会えずにいた。連ドラ初主演作で秋田出身のホステスを演じた『女帝 薫子』(テレビ朝日系)を始め、村上龍のベストセラーを改編した『13歳のハローワーク』(テレビ朝日系)や観月ありさ主演の人気作『斉藤さん2』(日本テレビ系)などでも目立つ役だったが、思いのほか話題にならず。10〜20代前半の女性の人気は抜群な反面、それ以外の層の知名度は極端に落ちる存在だった。すべてが整っている分、印象が焼き付く個性の強さに欠けていたかもしれない。女性羨望の超細身も男性受けは意外と良くない。

◆男性層にウケた“知的美人”のモテ要素

 そんななか、2012年から報道番組『NEWS ZERO』(日本テレビ系)の火曜キャスターとなる。この番組では月曜キャスターを嵐の櫻井翔が務め、アイドルの顔と別な慶応大卒の知性派イメージを押し出すことに成功したが、桐谷も千葉有数の進学校からフェリス女学院に入学した才女。仕事が多忙で2年の休学を挟みながら、今年3月に7年かけて卒業している。

 『NEWS ZERO』では「桐谷美玲 my generation」というコーナーを担当。同年代の若者の間で話題になっているものごとや活躍している人を自ら取材。落ち着きのあるレポート、飾らないコメントは、モデルや女優業では見えなかった彼女の一面を引き出し、“知的な女子大生”とのイメージが高まった。

 従来から支持していた女性層には、さらに一段階上の憧れに。そして、知的でも“ゆるカワ”な雰囲気でツンとしたところがなく、男性にも“可愛くて知的”“女子大生”というモテ要素の高さで人気が広がった。彼女のイメージ作りに『NEWS ZERO』の仕事は非常に大きかったと思う。好感度のバロメーターでもあるCMも増えていく。三村マサカズ(さまぁ〜ず)と共演したサッポロビール『極ZERO』や、最近のジェットスター『サイテー篇』などのCMをよく見掛け、さらに認知度が上がる好循環に。

 もとから公言していたサッカー好きやゲーム好き、スリムながらよく食べることも、男性ファンに親近感を生んだ。25歳で女子高生を演じた『ヒロイン失格』はシャレのようなノリも感じられ、あれだけのヒットは関係者も予想外だったかも。だが、知的美人の彼女が劇中でヘン顔をしまくる飾り気のなさ、その美人イメージとのギャップも、結果的にさらに好感度を押し上げたといえるだろう。
(文:斉藤貴志)

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