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『ラジオ』は滅びゆくメディアなのか? 改めて“存在意義”を検証

 近年のインターネットやスマートフォンの普及により、老舗メディアであるラジオの聴取者離れが顕著であり、経営自体にも危機感が高まっている。だが、その“存在意義”自体は薄れているのだろうか? ORICON STYLEでは、ラジオの必要性や存在意義について意識調査を実施。リスナー側の見解はもちろん、演者側にとっての存在意義についても考察してみた。

大半のユーザーがラジオの存在意義はなくならないと考えていることが分かった

大半のユーザーがラジオの存在意義はなくならないと考えていることが分かった

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■「ラジオは今後も生存していく」に96.5%がYES、震災で汎用性の高さを改めて実感

 先ごろ、20年以上に渡り放送されている『ナインティナインのオールナイトニッポン』から矢部浩之が“卒業”を発表し、大きな話題を呼んだことは記憶に新しい。これは潜在的なリスナー、青春時代に愛聴していた元リスナーの反応が大きかったことを意味している。

 ネットの普及による娯楽の多様化、特にYou Tubeなどの動画共有サービスが浸透したことは、ラジオメディアにとって多大な影響を及ぼしたことは紛れもない事実であるが、意外にも“ラジオを聴く習慣”という点においては、まだまだ高い数値を保持している。今回、「あなたにはラジオを聴く習慣がありますか?」という意識調査を実施したところ、全体の60.3%がYESと回答。この結果は、特定の番組を毎週聴くという習慣が無くなったとしても、通勤や通学途中、家事や育児中に“ながら聴き”するリスナーが多く存在することを裏付けている。

 さらに、「今後も『ラジオ』というメディアは生存していくと思いますか?」という調査に対しては、96.5%がYESと回答。大半のユーザーが新たなメディアが誕生、普及しようともラジオ自体の存在意義は決してなくなることはないと考えているようだ。YESと答えたユーザーの主なコメントとしては、「何かしながら身近に聴けるから」(埼玉県/30代/女性)、「音声だけのメディアは必要だと思う」(石川県/40代/男性)など、前述のように日々、生活に追われる中で“聴覚だけ”という汎用性の高さを利点に推す声が強い。

 また、「貴重なライフラインとして重宝された事実があるから」(青森県/10代/女性)、「電池で聴けるから手軽だし、やっぱり災害時とかにネットがつながらない、停電してテレビが観られないことはあってもラジオは聴けるから、必要だと思う」(福岡県/10代/女性)など、先の東日本大震災を経て、改めてその存在意義を実感したというコメントも多く占めた。

■リスナー以上に深い、演者側の“ラジオ愛”

 ラジオを重要なメディアだと位置付けているのは、何も一般ユーザーだけではない。演者側であるタレントにも、ラジオに対して特別な想いを抱いている者が非常に多い。ラジオのギャランティはテレビなどに比べても非常に安価なのは周知の事実。だが、先のナインティナインにしても、例えどんなに売れっ子になろうが、決してラジオ番組を降板しなかった。だからこそ今回の矢部卒業の報は多くのリスナーを驚かせた。

 現在、第一線で活躍する芸人たちも、多くがラジオを介して“笑いの洗礼”を受けてきた。最も大きな影響を及ぼしたのは1981年〜90年まで放送された伝説の番組『ビートたけしのオールナイトニッポン』だろう。爆笑問題や浅草キッドなどは熱狂的なリスナーであったことを公言しており、両コンビに至っては「いかに番組が好きか? いかにビートたけしを愛しているか?」で互いに譲らず、近年まで犬猿の関係が続いたほど。また、先の“矢部ANN卒業”を本人の意思とは知らず、降ろされたと勘違いした爆笑・太田光がニッポン放送を痛烈に批判したことも、ラジオ愛溢れる勘違いだった。

 爆笑問題は現在2本のラジオ番組を持ち、有吉弘行やおぎやはぎ、オールナイトニッポン枠でいえばオードリーなど、人気芸人の多くがレギュラーラジオを継続、ラジオに対する愛着を明かしている。やはりテレビほどの制約がなく、ある程度好きなように話芸を発揮出来ることが最大の要因なのだろう。もちろん芸人だけでなく、アーティストにも、山下達郎や福山雅治などの大物ミュージシャンも、自身の番組を継続させているし、吉田拓郎、中島みゆきなど、テレビには滅多に出演しないアーティストも、ラジオならば積極的に出演する傾向が強い。一連のスタンスから、“ラジオの灯を消してはならない”という思いは、リスナー以上強いのでは? と思えてくるほどだ。

 聴取者離れを防ぐため、民放ラジオ局は独自のアプローチの音楽ライブや各種イベントを開催。さらに、ネットを経由してスマホやパソコンで、好きな時間にラジオ放送を楽しめる「ラジコ(radiko)」は、活路の一つになりつつある。今という時代に即したラジオの利用法、今という時代だからこそ、その存在価値を高める施策や挑戦を今後も各ラジオ局に期待したいところだ。

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【調査概要】
調査時期:2014年9月1日(月)〜9月7日(日)
調査対象:合計1000名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代、20代、30代、40代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査

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