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新海誠監督「パソコンがなければ、映画は作っていない」

 『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』などで知られるアニメーション作家の新海誠監督が10日、東京・アップルストア銀座でトークショーを行った。最新作『言の葉の庭』(5月31日公開)の見どころのみならず、「そもそも僕は初めから、制作動機として“技術”がありました。パソコンがなければ、映画は作っていない」などと告白。定員オーバーの100人を超えるファンが集まり、普段なかなか聞けない貴重な話に聞き入っていた。

 デジタル技術を駆使し、作品ごとに新たな表現に挑戦し、その世界観を広げてきた新海監督。短編『彼女と彼女の猫』を制作した1999 年当時のMacintoshと比べて「パソコンのスペックはこの10年間で本当に上がった。だけど、制作のスピードは一向に上がりません」と苦笑い。生みの苦しみは常に伴うものだが、「ソフトをはじめとする便利なツールのおかげで、アニメの設計図であるビデオコンテは作るのが楽しくなりましたね。『作ることを楽しくしてくれる』というのが、僕が技術に求めるところです」と話した。

 最新作は、万葉集の一篇から始まる“孤悲”の物語。雨の季節に日本庭園で出会った、靴職人を目指す少年と歩き方を忘れた女性――。歳の離れた男女の出会いと心の触れ合いを、現代の東京を舞台に描く46分の中編ドラマ。

 新海監督は「絵としての見どころがたくさんあって、“発明”と言えるような表現技術も盛り込まれています。今回の作品は“雨”がテーマだから、デジタル技術で雨を作っています」とアピール。

 劇中では地雨、夕立、天気雨、豪雨…と主人公たちの心の変化や揺れそのもののような、さまざまな雨が丁寧にアニメーションで表現されている。「キャラクターは最初に紙に書くんです。それで『1カットに100枚だとさすがに多いな』となると、カット毎の枚数を減らしていく。それなのに、デジタルで作った雨は10万粒あったりするんです。『もう2万粒足すか』とか言ったり(笑)」と、技術が向上してきた今だからできる映像表現への飽くなきこだわりも語っていた。

 アニメーション作家として独自の道を進む新海監督は「僕は、今あるものをどういう風に噛み砕こうか、という気持ちの方が大きいんです。将来どうなるかを考えてもしかたない。『次回作がどうなるか』ということをよく聞かれるけれど、『言の葉の庭』が公開してみないと、次にどこに進むかはわかりません。Twitterでもメールでも、観ていただいた方に声を上げてもらえれば、次に進む道が明確になっていくと思います」と心境を語り、「とは言え、『良いものができた』という今の満足感を抱えたまま、人生を終えたい気もしますけどね」と充実した表情を見せていた。



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  • アップルストア銀座でトークイベントを行った新海誠監督
  • デジタル技術を駆使した独自のビジュアル表現について語った新海誠監督
  • 新海誠監督最新作『言の葉の庭』は5月31日公開 (C)Makoto Shinkai/CoMix Wave Films

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