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『ニコニコ静画』で課金サービス〜独自通貨採用で「量より質」の勝負へ

 電子書籍市場に本格参入したドワンゴが、これまで無料で画像や電子書籍を閲覧できた『ニコニコ静画(電子書籍)』をリニューアルし、約3万冊ものコンテンツを有料配信する課金サービスを始めた。大きな特徴は、ニコ書券という独自の通貨を採用したこと。コミックとライトノベルに重きを置いたラインナップで、「量より質」で勝負をかける。

 09年からイラスト・画像投稿サイトとして成長してきた『ニコニコ静画』が今年10月24日、『ニコニコ静画(電子書籍)』にて、提携先124社・書籍数約3万冊の有料コンテンツの配信を開始した。電子書籍市場に本格参入する布石となったのは、昨年11月に角川グループホールディングスの電子書籍ストア『BOOK☆WALKER』と連携し、無料のWEB漫画雑誌『角川ニコニコエース』を創刊したこと。以来、無料コンテンツを提供してきた同サイトが、いよいよ有料コンテンツの配信に踏み切った形だ。

 「今の出版界では、売上を上げるのは単行本が中心で、雑誌はプロモーションメディアというモデルになっている。それなら電子書籍サイトはプロモーションという位置づけで、たとえば紙の雑誌の1ヶ月遅れで作品をWEBに掲載したりできるのでは? と考えて提案したのがこの雑誌で、そのスキームは各出版社に話していました。そこでコンテンツを集める下地ができていたので、有料コンテンツの提携もご承諾いただくことができたんです」(ドワンゴ ニコニコ事業本部企画開発部部長 伴龍一郎氏、以下同)

 同ストアの大きな特徴は、“ニコニコポイント”で決済する独自の課金システム。iOSアプリ版では、仮想通貨“ニコ書券”による決済という画期的なシステムを発案・採用した。

「アップル社の課金システムは、利益の30%を徴収される上に、円とドルの相場によって価格が変わるなど、細かい料金設定が難しい。ニコ書券ならその影響がなく、1 円単位で価格設定ができると喜ばれています」

 取扱書籍にコミックやライトノベルが目立つのは、「10代、20代が多いニコニコユーザーと親和性があるから」。もちろん、ニコニコブランドの代名詞であるコメント機能も踏襲される。

 「『ニコニコ動画』のように、コメントと一緒に楽しんでいただくには、まだ試行錯誤が必要。しかしゆくゆくは、読者が感情を共有して、一緒に読んでいると感じられる場にしていきたい」

■「量より質」、ニコニコらしくコアな作品も支持

 電子書籍ストアはコンテンツ数に注目されがちだが、伴氏は「量より質」と断言。ボーカロイドや歌い手など、独自路線のクリエイターを輩出してきたニコニコブランドらしい意向だ。

 「数は他社と比べても意味がないですから。もともと“ニコニコ”で人気が出るものはコアな作品が多いので、メジャーな作品を扱いつつも、コアなファンがつくような作品を支援したい。いずれはビジネス書などにも対応したいですが、まずはニコニコ発のクリエイティブを推していきたいです」

 コンテンツビジネスにおいては、WEBで利益を上げることはまだ難しい時代。それゆえ、電子書籍に優良コンテンツのプロモーションの場としての可能性を見出している。

 「ボーカロイドの曲がアニメになったり、ニコニコ静画に投稿された漫画『戦勇。』が『ジャンプSQ』で連載されて、来年1月からテレビ東京でアニメ化されたり…そんな昨今の流れは、クリエイターをちゃんとご飯が食べられる世界に送りたいという我々の願いと一致するものです。もちろん、電子書籍も出版社やクリエイターに利益を還元するつもりで運営しますが、それが我々のプロモーションによって、紙の媒体が売れるという形でも構わないと思っています」

 課金サービスがスタートしたとはいえ、すぐに収益につなげるのは難しいかもしれない。まずはニコニコユーザーと相性の良さそうな作品を見極めつつ、コンテンツの認知を広める場として活用するのがよさそうだ。(オリジナル コンフィデンスより)



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