温かみや包容力といったものが万人から求められるポップ・ソングの根底に流れているということは、時代や国を問わず、ポピュラー音楽が形を成す前からの常識と言っていい。ただ、昨今の閉塞した社会情勢や東日本大震災後の不安を抱えた世情を思えば、この2010年代ほどその機能が切実に求められる時代というのもそうそうないのではないか。そんな時節だからこそ、華やかな別世界や明るい希望のようなものを見せてくれるK-POPや女性アイドル・グループがシンボリックな存在になりうるのは当然だろう。そして、それらが現実からの(言葉は悪いが)逃避をポジティブに促すものだとしたら、ナオト・インティライミに代表される昨今の男性シンガーが描き出すものも、それらと近い関係にある。 つまり、ふと現実を顧みた時のリスナーをより身近なファンタジーで包み込んでくれるものなのだ。本格ブレイクのきっかけをうかがっていたナオトが「君に逢いたかった」(2012年2月8日発売)、「愛してた」(12年3月28日発売)という素朴なラブソングによって一気に突き抜けたのも、そうした歌が無意識に待たれていたことの証拠に他ならない。そこで広くシーンを見渡してみると、同様な温かみを備えた男性シンガーたちが、ゆっくりと着実に支持を広げていることに気づかされもする。

この記事の画像

  • ナオト・インティライミ
  • ナオト・インティライミの性世代別アーティスト認知度
  • RAKE

求人特集

求人検索

メニューを閉じる

 を検索