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閉塞感漂う日本を温かく包み込む男性シンガー 〜「温かみ/包容力」のある楽曲で広い世代に訴求〜

 温かみや包容力といったものが万人から求められるポップ・ソングの根底に流れているということは、時代や国を問わず、ポピュラー音楽が形を成す前からの常識と言っていい。ただ、昨今の閉塞した社会情勢や東日本大震災後の不安を抱えた世情を思えば、この2010年代ほどその機能が切実に求められる時代というのもそうそうないのではないか。そんな時節だからこそ、華やかな別世界や明るい希望のようなものを見せてくれるK-POPや女性アイドル・グループがシンボリックな存在になりうるのは当然だろう。そして、それらが現実からの(言葉は悪いが)逃避をポジティブに促すものだとしたら、ナオト・インティライミに代表される昨今の男性シンガーが描き出すものも、それらと近い関係にある。

ナオト・インティライミ

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 つまり、ふと現実を顧みた時のリスナーをより身近なファンタジーで包み込んでくれるものなのだ。本格ブレイクのきっかけをうかがっていたナオトが「君に逢いたかった」(2012年2月8日発売)、「愛してた」(12年3月28日発売)という素朴なラブソングによって一気に突き抜けたのも、そうした歌が無意識に待たれていたことの証拠に他ならない。そこで広くシーンを見渡してみると、同様な温かみを備えた男性シンガーたちが、ゆっくりと着実に支持を広げていることに気づかされもする。

 まず気になるのが、昔気質で優しい男の眼差しを歌い上げるRake(レイク)だ。もともと美声には定評があったが、11年3月に3rdシングルとしてCD化された「100万回の「I love you」」は、前年に配信リリースされた時点から“告うた”として話題を呼んでいたことに加え、奇しくもCD発表の直後に起こった震災によって、普遍的な幸せを綴った歌世界に新たな意味合いが加味され、結果的には29週にわたってチャートインするロング・ヒット。5月23日に発売した最新シングル「素晴らしき世界/大切な人」もスケールの大きな歌唱が映える好調な仕上がりだ。

 同様に期待できるシンガー・ソングライターとしては、09年にデビューしたSunya(スンヤ)が挙げられる。まだTOP100入りしたことはないものの、3月28日に発売した「キミのとなりで... feat. 中村舞子」の配信人気を受け、6月27日にアルバム『DRAMA』を発表したばかり。実直に歌い上げられる世界は一見類型的に捉えられるかもしれないが、だからこそ誰の耳にでも届く普遍的な何かを獲得しているとも言える。

■どの時代も変わらない歌の魅力で広い層に訴求

 もちろん温かみや包容力といった言葉から連想される音楽は、グッとくる泣き歌やスロウなラブソングばかりではない。ここで注目したいのは17歳までウクレレ演奏家として活動し、昨年5月にデビューした平井大だ。彼の持ち味はアコースティックなハワイ音楽にレゲエやヒップホップの軽快なリズムをブレンドした柔軟なスタイルで、5月16日に発売されたアルバム『ALOHA』は最高19位(5/28付)、累積1.1万枚と健闘している。陽性の存在感はナオトにも通じるもので、文字通りの温もりをポップに届けてくれる逸材であると言える。

 こうした状況に、80年代末に訪れたバンド・ブームのカウンターとして、バブル崩壊後の風景を反映した男性シンガー・ソングライター・ブームが訪れた頃の光景と近いものを感じるという人もいるかもしれない。ある種の癒しにも似た機能を求めるリスナーというと、比較的高い年齢層を見積もってしまいがちではあるが、こうした流れが、数年前の着うたヒットの延長線上にあり、JAY’EDの「ずっと一緒」やTEEの「ベイビー・アイラブユー」あたりから連綿と続く系譜だと解釈すれば、その支持層は予想以上に幅広いのではないか。ナオトも「今のキミを忘れない」の着うたヒットが現在の姿への下地になっていたことを思えば、いつの時代もこうしたヒットの原動力にあるのは歌そのものの魅力なのだ。(オリジナルコンフィデンスより)

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