歴女ブームを牽引し、最近では歌手活動も展開するなど、多方面で活躍の場を増やしている女優・杏（26）。6月9日には初のエッセイ『杏のふむふむ』（筑摩書房）で作家デビューも果たすとあって、多彩ぶりはますます際立つばかりだ。杏はいかにしてさまざまなステップに向かうのか？ 「出会い」をテーマにした同書を通じて、彼女の“原動力”を聞いた。

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　幼少期に始まり、パリでのモデル修業時代、舞台やテレビ、私生活などでの「出会い」を切り取り、等身大の姿を書き綴った今回のエッセイ。今まで歩んできた杏の人生の縮図がぎっしりと詰まっている。

　「改めて、出会いに恵まれたなって感じました。過去の自分に対話するように書いた部分がありましたね」と充実感ばかり溢れる。一つひとつの出会いを紐解くと、普通の26歳では経験しがたい体験ばかりが溢れ、書き切れないほどのエピソードがあったとか。「不思議な出会いだなって思うことがたくさんあるんです。例えば、パリで初めて会った女性と5時間話して、泊まりがけで一緒に地方に行ったり、大親友のように過ごしたこともありますね」。

　杏いわく、人見知りをあまりしない性格だという。ゆえに「躊躇なく出会いに飛び込んでいったから、多くの人や出来事に出会えたのかなって思う。そういった気持ちを忘れずに大切にしたい」と、モットーのように語る。

　単身パリに渡ってモデルの勉強をし、パリコレなどで活躍する一流モデルの地位も確立した杏。普通の人にはまずない行動力だが、彼女をそうさせる原動力は一体どこにあるのだろうか。そんな疑問をぶつけてみると、謙遜しながらも自身をこう分析した。

　「私、『気になる』ということに突っ込んでいくところがあるんです。無鉄砲なところもある。一つひとつの出会いに対して、自分から掴みに行ったこともありますし、『知りたい』という動機が原動力かなって思う。つまり『今やりたい』の積み重ねなんです。あと“これでいい”より、“これがいい”と思うようにしてる。納得できるものを作るように大事にしてますね」。

　そんな杏のターニングポイントは数知れず。「広く、深く」を今後の展望に掲げ、ある使命感も秘めている。「温故知新じゃないですけど、古き良きものも大切にして、再発見していく世代なのかなって思っているんです。私たちの年代って昭和の最後の世代ですし、時間の流れを見つめながら、後に託して生きていかないとって思うんです」。26歳とは思えない落ち着きと言動。杏に触れ合えば触れ合うほど、思わず“ふむふむ”とうなずいてしまう。