新人発掘からデビューまで 江戸川大学の音楽プロデュース実学プロジェクト『ガールズバンド&ソロオーディション』
大学の本気度がうかがえる破格の予算をかけたイベント
審査員には小倉氏や同大学准教授の八木京子氏のほか、音楽プロデューサーのYANAGIMAN氏、アイビーレコード 代表取締役の酒井喜貴氏ら、さらにゲスト審査員としてTOKYO MXの音楽番組『ミュージック・モア』MCを務めるクリス松村が参加した。審査員の顔ぶれや会場規模を見てもわかるとおり、いち大学が実施する新人アーティスト発掘オーディションとしては、破格の予算をかけた動きであり、そこに注力する大学の本気度がうかがえる。
グランプリを受賞した“ネクステージアーティスト”2組
Charonda noise
加藤芙侑さん(G)、川上りょうさん(B)、近藤栞さん(Dr)
すごく楽しかったです。バンドを組んで1年3ヶ月くらい。コピーもやりながら、オリジナルは3曲あります。これまで大会には4回出ていて、オーディションは初めてです。今高校2年生。卒業してからのことはまだフワフワしているんですけど、音楽関係の仕事につけたらいいなと思っています。バンドで高校生活を最後まで楽しみたいです。
加藤芙侑さん(G)、川上りょうさん(B)、近藤栞さん(Dr)
すごく楽しかったです。バンドを組んで1年3ヶ月くらい。コピーもやりながら、オリジナルは3曲あります。これまで大会には4回出ていて、オーディションは初めてです。今高校2年生。卒業してからのことはまだフワフワしているんですけど、音楽関係の仕事につけたらいいなと思っています。バンドで高校生活を最後まで楽しみたいです。
佐藤ひまりさん
うれしい反面、僅差でのグランプリだったことが悔しいです。自分のできとしては、だいぶ緊張したので7割くらい。これまでにプロダクションオーディションは受けていますが、音楽は初めて。将来的には音楽で生きていきたくて、デビューをめざしています。将来の目標は、すれ違った人が私を見てわかるくらいの人物になることです。
うれしい反面、僅差でのグランプリだったことが悔しいです。自分のできとしては、だいぶ緊張したので7割くらい。これまでにプロダクションオーディションは受けていますが、音楽は初めて。将来的には音楽で生きていきたくて、デビューをめざしています。将来の目標は、すれ違った人が私を見てわかるくらいの人物になることです。
企画、プロデュース、協賛交渉、プロモーション、オーディション進行、イベント運営、広報まで、すべての実務を音楽ビジネスコースの学生たちが担い、イベントを制作。実際のオーディションを通した各分野のスタッフの仕事を体験させていく。小倉氏は「学生の実学として始めるのと同時に、オーディションをやるからにはそこで終わりではなく、そこからがスタート」と力を込める。
オーディションは“スタート” 実学と共にスター輩出をめざす
そして、小倉氏の胸中には、ブームのサイクルがあるガールズバンドのスターを生み出したいという想いがある。そんな小倉氏がオーディションを“スタート”と位置づけるのは、来年4月に大学敷地内にライブハウスを竣工予定であり、さらに来秋には音楽レーベルの立ち上げをめざしているからだ。
オーディションで発掘した才能を自前のライブハウスで育てながらファンを醸成していき、自前のレーベルからデビューさせる。もちろん、ライブハウスとレーベルの運営およびプロデュースやプロモーションも学生が手がけていき、大学として音楽ビジネスに踏み込んでいくことになる。
最先端技術を有するテクノロジー系の大学ベンチャー企業などはよく聞くが、音楽系はあまり耳にしない。経営社会学科 学科長の中口哲治氏は「学生たちの実務教育と共にビジネスにもなっていきます。学内の先端ビジネス研究所(来春設立予定)が中心になって産学連携のビジネスモデルを模索しますが、そのなかの音楽研究ユニットが中心になってオペレーションを担っていきます」と語る。
大学のブランディングへ音楽をめざす人に来てほしい
同大学がここまで音楽に力を入れる背景について、小倉氏は「それなりのコストがかかりますが、すべて大学の予算です。なぜそれが認められるかというと、こうした独自の取り組みが、大学としての宣伝・広報につながるからです。実際、ここ5年は定員オーバーする受験生が来ていて、経営社会学科は江戸川大学をリードする学科になっています。音楽をめざす人が入学してくれる大学にしたいんです」と熱く語る。
バンドオーディションを実施している大学はほかにもあるが、そこからデビューまでのプロデュースを、大学自前のハコとレーベルで学生たちが実学を兼ねて手がけていく産学連携の取り組みは、同大学独自のものであり、大学のブランディングのひとつとなっていくことだろう。
一方で、スターを生み出すのと同時にスタッフ側も育てていくことは、音楽シーンにとっても意義のあること。まさにいまスタートしたばかりの本取り組みが大きく成長していき、シーン活性化の一翼を担っていくことを期待したい。
(文:編集部・武井保之)