『花晴れ』宇多田の恋愛ソング、挿入の絶妙な間が話題
切ない恋の三角関係を見守る 宇多田のイメージソング「初恋」
『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』は『花より男子』の10年後が舞台。落ち目になった英徳学園を舞台に人に言えない“ヒミツ”を抱えたキャラクターたちが巻き起こす「自分らしく生きる」ことがテーマの痛快青春ラブストーリー。社長令嬢だったが、会社が倒産して生活が一変。貧乏な暮らしを強いられているヒロインの江戸川音(杉咲花)、道明寺司に憧れ“C5”を結成した晴(平野紫耀)、音の許嫁でライバル校・桃乃園学院の生徒会長、天馬(中川大志)との切ない恋の三角関係を描いている。
「オリコンドラマバリュー」の18年4月期ドラマの5月15日〜5月21日放送分の調査では、第5話が85Ptを獲得。初回の満足度は48Ptだったが、2話目以降、61Pt(2話)→76Pt(3話)→83Pt(4話)→85Pt(5話)と話数を重ねるごとに、右肩上がりで推移。個性豊かな登場キャラの魅力が視聴者に浸透している一方、注目は「流れるタイミングが良すぎて、切ない気持ちがさらに掻き立てられる」(20代女性/埼玉県)という宇多田が手がけた「初恋」だ。
ポップカルチャー研究者の柿谷浩一氏は、「天馬に惹かれる音”つまり“晴の苦しみ”と結びつくような形で、「初恋」が視聴者に記憶されているのは興味深い。「初恋」が単に“物語の盛り上がり”を演出するだけでなく、王道のラブストーリー展開として、いずれ“何らかの形で負けるであろう”天馬の未来を描いているように感じ取られているようです」と言う。TBSの瀬戸口克陽プロデューサーは、切ない恋の三角関係を「見守っていただけないか」と宇多田に楽曲をオファー。原作を読んだ宇多田が「今の私にもグッとくる場面が多かった」とドラマの世界観を意識して制作し、その世界観が視聴者にも届いているようだ。
ラブストーリーを盛り上げる 音楽効果とは
「毎回ドラマでは、「初恋」が流れる直前の“音楽のない静寂”のなか、「英徳に庶民はいらない/1話」「何もしてあげられないのが辛い/3話」「ほっとけるわけないだろう/4話」「好きだ/6話」など、物語を左右する印象的な台詞を言います。人はあるひと言がきっかけになって、感情が溢れたり、本音を語れたりすることがあります。そうした一語や溢れ出る感情を、「初恋」がより効果的に見せている。この流れは、前作からより一層アップデートされた感があります」
さらに、柿谷氏は「前述の台詞後、次の台詞を待たずして“突然”「初恋」が流れるのも同ドラマの特徴」と分析。通常ラブストーリーでは、突然のキスや腕の引き寄せなどの予想外なアクションが、物語を盛り上げる重要な要素となっている。同ドラマではその役目を音楽が担っており、視聴者はそうした“突然のアクション=「初恋」が流れる”のを“待つ”楽しみがある。
瀬戸口プロデューサーは「中盤からシリアスな展開になるのですが、それは『花より男子 リターンズ』の空気と近いものがあり、(『〜リターンズ』の主題歌を手がけた)宇多田さんの世界観がぴったりなのではないかと思った」と明かしていた。同曲は5月30日に配信リリースされるが、どのくらいの広がりを見せるのか、今後に注視したい。