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産学連携で目指す、リアルを超えた遠隔ライブVR配信

 発達したネット社会のテクノロジーとインフラを駆使して、リアル以上のエンタテインメント体験を可能にする遠隔ライブVR配信プラットフォーム「LiVRation」(ライブレーション)。そのデモンストレーションでは、ユーザーの新たなライブの楽しみ方が提示された。

ユーザー嗜好性の高いライブの楽しみ方を実現

会場内に設置された8台の360度カメラのうち、客席最前列からの視点。中央左の半透明の緑のボールは、ステージ後方のカメラ。カーソルを使って視点切り替えができる。ライトグリーンの棒が伸びる円が音源(ギター、ボーカル、ドラムの3つが映っている)。ボーカルにカーソルをあわせると、その音源の出力を調整できる。スクリーンには、ユーザーのツイッターからの投稿も弾幕として流れている

会場内に設置された8台の360度カメラのうち、客席最前列からの視点。中央左の半透明の緑のボールは、ステージ後方のカメラ。カーソルを使って視点切り替えができる。ライトグリーンの棒が伸びる円が音源(ギター、ボーカル、ドラムの3つが映っている)。ボーカルにカーソルをあわせると、その音源の出力を調整できる。スクリーンには、ユーザーのツイッターからの投稿も弾幕として流れている

 同デモンストレーションを実施したのは、産学連携のコンソーシアム・Software Defined Media。「オブジェクト志向のデジタルメディアを用いて、ソフトウェア制御された映像音響空間をネット環境を前提として設計する」ことをテーマに14年に設立され、東京大学や慶應義塾大学、ヤマハ、ドルビー、NTT、KDDI、パナソニック、バンダイナムコ、イオンシネマなどが参加。オープンリソースとしてのアプリケーションの開発を進めている。

 この日公開された「LiVRation」とは、VR配信によってユーザーが遠隔地でライブイベントを楽しむ、既存のライブ配信をより拡張するプラットフォーム。ライブ会場に設置された8台の全周カメラからの4K360度映像が7ストリーム、歌手や楽器ごとのマイクのほか会場内の環境音を収録するマイクからの音声が8ストリームでライブ配信され、ユーザーはVRヘッドマウントディスプレイを装着して、360度視点とハイレゾマルチオーディオで再現された音響により、立体的な臨場感のあるライブを楽しむことができる。

 特徴的なのは、ライブ会場内のカメラ位置を切り替えることで、客席最前列から2階席、さらにはステージ上のアーティストの後方や、ライブ会場を見下ろす天井視点など、リアルではありえない場所でもライブを体感可能なこと。加えて、オブジェクトオーディオ技術の活用により、音声データに位置情報が追加されることで、それぞれの視点(カメラ位置)での音響が再現され、そこから頭を動かすとその動きと一致した立体的な音響が届くほか、ボーカルだけやドラムだけといった特定の音声のみの再生や出力調整も可能になる。

 また、ライブハウスやホール、ドームといった会場ごとの音響の再現も実現する。さまざまなライブ会場内の好きな場所に移動しながら、曲によってバンドメンバーの特定の音をズームアップして聴くというような、嗜好性の高い、リアルを超えたライブの楽しみ方を実現している。

 コンソーシアムに参加する東京大学の江崎浩教授は「ライブ会場そのものをオンラインでつなげることで、物理的な制約を取り払って、だれもがライブに参加することができます。さらにユーザーそれぞれが自律的に自分のライブ空間を作って楽しむことができるんです」とまさにライブ体験が拡張されることを説明する。

まずは音楽からスタート 興味のある会社の参加を募る

 今回のデモでは、前述の設定で収録された仮谷せいらのライブのパッケージを体験したが、映像や音声のストリーム数などさまざまな機能のカスタマイズが可能。ただし、ライブビューイングのような別会場でのライブ中継を行うには、現時点では大容量データを扱うための専用回線などインフラの整備が必要になる。

 ユーザーが自宅などそれぞれ好きな場所で楽しむことができるようになるのは、5Gが商用サービスとしてスタートしてからのことになるようだ。現状では具体的なサービス化は未定だが、まずはパッケージとして新たなライブの楽しみ方を提供してくことになるとみられる。

 一方、「LiVRation」の活用シーンとしては、音楽ライブやイベントなどのエンタテインメントだけでなく、スポーツ、医療、車の自動運転など幅広い応用も期待される。デモを行ったアルファコード社CEO兼COOの水野拓宏氏は、コンソーシアムとしてオープンに活用していくとし、「興味を持っていただいた会社に参加していただいて、新しいビジネスを作っていきたい」と語った。

提供元: コンフィデンス

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