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振付師TAKAHIROが明かす欅坂46の“ガチ”クリエイション

 世界約30ヶ国300公演以上、6度のワールドツアーを成功させ、アンジェリーナ・ジョリー監督映画では俳優としてハリウッドデビューするなど、多岐にわたる活動をしているMIYAVI。米・アポロシアターが主催のコンテスト番組『SHOW TIME AT THE APOLLO』で歴代最多の9大会連続優勝記録を持ち、欅坂46のコリオグラファーとしても注目されるTAKAHIRO。海外経験を通して自身に与えた影響など、2人に語り合ってもらった。

海外での活動を通して“日本人としての表現”を追求

――今日が初対面だとか。
TAKAHIRO はい。もちろんMIYAVIさんのことは知っていました。ギターのことは知識が浅いのですが、一発で「おお!」と感嘆させられるパワーがすごいな、と。
MIYAVI 嬉しいですね。ダンスの世界も同じだと思いますが、興味があってもなくても、世代、国境を超えて人の心を躍らせることがミッションだと思っています。

――お2人とも海外のトップクリエイターと仕事をしていますが、日本との違いを感じることは?
MIYAVI あくまでも自分の主観ですが、海外では、クリエイション、創作活動と日々の暮らしの距離感が近いと感じます。たとえばブルースやHIP HOPなんかにしても、結局悲しい出来事や虐げられた経験があって、言葉にならない思いを音楽で表現している。根本のクリエイションに対する考え方が「おまえは何が言いたいんだ?何をやりたいんだ?」ということに基づいている気がしますね。
TAKAHIRO オーディションなどで感じるのは、アメリカが“何ができるのかShow me(見せて)”で、日本は“何をやってきたのかTell me(伝えて)”という違いですね。向こうは今の自分をしっかり見てくれるし、日本の方はこれまでの積み重ねを重んじてくれるというか。一長一短があると思います。

――海外での活動が表現スタイルに影響を与えたところはありますか?
MIYAVI もちろん。ロックもHIP HOPも西洋のカルチャーだし、ギターもその一部。世界中に素晴らしいギタリスト、アーティストが大勢いるなかで、「アジア人である自分がどうこの楽器を使って表現していくべきか?」。その点に対峙するようになったきっかけは、海外でライブを始めたことが大きいですね。日本の三味線であるギターにインスパイアされ、見せ方、弾き方も変化して。海外に拠点を置いたことで逆に日本らしさを意識するようになったところもあります。そもそも気負わずとも血の中には確実に入ってますからね。
TAKAHIRO 僕も同じような経験をしています。米ニューヨーク・アポロシアターの『SHOW TIME AT THE APOLLO』という大会でチャンスを掴んだのですが、出演者を決めるオーディションでは、審査員に「HIP HOPの要素が足りなすぎる」と酷評されたんです。けれど、その中にいたジャッジの1人が「でも、君のダンスはオリジナルでおもしろい。それを残しながらHIP HOPの要素を足せば、初戦に出させてあげるよ」と言ってくれて。本番のステージでは、当時流行っていたHIP HOPの曲を使って、そのなかに空手みたいな動きをしたり、マイケル・ジャクソンへのリスペクトが感じられる振り付けを入れました。自分らしさだけでなく見てくれる人を意識するという、当たり前の大切さをそこで学びました。
MIYAVI おもしろいですね。すごくその感覚、わかる気がします。実は、最初に自分のことを“サムライギタリスト”と呼んだのは、ロック・ステディ・クルーのMr.Freezeなんですよ。彼らがラスベガスのクラブでやっていたイベントに飛び入りした時に“サムライギタリスト”と紹介してくれて。たとえ粗削りであっても、オリジナリティがあれば評価してくれるというか。アメリカは、多様性に対するキャパシティはすごくあると思います。

――日本人であるということ自体、大きなアイデンティティですからね。
MIYAVI そうですね。骨格や筋肉の付き方も西洋人とは違うし、最終的には自分が持っているものをどう活かすか?ということに尽きるので。
TAKAHIRO 日本の舞踏には「いちばん強い筋肉は骨、それを活かした動きをする」という考え方があるんです。それも筋力で苦戦しがちな日本人だからこその発想ですよね。
MIYAVI 音楽でいうとグルーヴもそうですね。僕もグルーヴは大事にするよう心がけていますが、日本人が持っている一番の武器は、居合いのような“一瞬にかける熱量”だと思うんです。カウントなしでバーン!と入ったときに発する一音の熱量は、世界中どこに行っても誰にも負けない自信があります。

――日本人であることの強味を表現に取り入れている、と。
MIYAVI 僕は音楽で「カリフォルニアロール」を作ろうしているんです。すし職人に言わせると「あれは寿司ではない」のかもしれないけれど、カリフォルニアロールが果たした功績はすごく大きいと思うんですよ。生の魚に抵抗がある西洋人に寿司を無理矢理食べさせたって長期的に見れば意味なくて、結局「食べたい」と思わせるのが大事なので。その架け橋になるようなものを僕は作りたい。

海外で活動すればするほど、日本の音楽の“ヤバさ”に気付く

――TAKAHIROさんは欅坂46の振り付けを担当していますが、現在の日本のエンタテインメントシーンに対してはどのように感じていますか?
TAKAHIRO 日々力強く進化していると思います。欅坂46に関して言えば、クリエイションが“ガチ”ですね。「どうかわいく見せるか?」よりもまず、「どれだけ楽曲の世界観を伝えられるか」を重視しているグループです。私自身も彼女たちのそのスタンスに感銘を受けています。
MIYAVI 日本の音楽はおもしろいと思いますよ。海外で活動すればするほど、「この国はヤバイな」って。その良さにどう気付くか?ですよね。
TAKAHIRO 僕は今、日本がメインなので、海外で得た経験やエッセンスをクリエイションに反映させています。

――MIYAVIさんの新作には三浦大知さん、SKY-HIさんなど才能あるアーティストが参加。彼らの存在を海外のリスナーに伝えたいという意識もありますか?
MIYAVI いや、ぶっちゃけそこまでは考えてないです。それに、正直まだまだだと思うんですよね、自分たちの世代は。日本のカルチャーに興味がある人は楽しんでくれているし、それは本当にありがたいですが、そうじゃない人、日本の音楽に興味がない人にどう響かせるか?が大事なので。
TAKAHIRO なるほど。
MIYAVI もっと言うと、現在、音楽のライバルはスマートフォンですからね。エンタテインメントのチャンネルが増え続けるなかで、人の心を躍らせて、ワクワクさせるような音楽をどう届けていくか?っていう。そう考えると、まだまだ足りないですよね。以前は日本にもクオリティの高い音楽がしっかり届いている時代があったと思うんだけど、今はどちらかというとオーディエンス寄りな気がします。シーン全体的に、短絡的に結果を求める傾向があると思っていて。作り手であるアーティスト、伝える側のメディアも含めて、責任とプライドを持って継続していくことが大事だと思います。
TAKAHIRO オーディエンスを意識することも必要ですが、それによって伝えたいこと、表現したいことをブラさずに芯を持つことも大切だと思います。自分自身や制作チームが信じたものを高め切ったときに初めて、作品が想像の域を少し超えて、たくさんの人に「すごい!」と感じてもらえると思うので。ダンスの業界はまだまだ未成熟だし、プレーヤーが座れる席も少ないと感じていて。ダンスを通して新しいエンタテインメントを提示して、それを観た人がまた新しいものを生み出していくような状況を作りたいですね。
MIYAVI “人の心を躍らせてなんぼ”というのはロックもダンスも同じだし、“どんなメッセージを伝えたいのか、何のためにやってるのか”が大事なのも変わらない。TAKAHIROさんと話していて、同じような道を通って、同じように感じてるんだなとわかり、嬉しく思いました。

(文:森朋之/写真:鈴木かずなり)

提供元: コンフィデンス

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