構想・執筆に2年。広島の人気ラジオ『エフエムふくやま』でも、「ページをめくる手が止まらなかった」と紹介され、大手映像会社からも「どうしても映像化したい」というオファーが舞い込んできた、話題のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。』。
先日、あの日本マイクロソフトディベロップメント本社のAIチームから連絡があった。聞けば、マイクロソフトは、女子高生AI「りんな」を開発。女子高生の中で大人気となり、LINEとTwitterの人数が700万を突破したという。
日本マイクロソフトといえば、1986年に日本に進出、今年で早32年。業界の巨人だ。
この女子高生AI「りんな」は、ただのAIではない。
高度な会話にも対応する「会話型AI」だというのを、あなたはご存じだろうか?
今回、著者と記者は、東京・品川にある日本マイクロソフト本社を訪問。そこで「りんな」の開発者と初めて話すことができた。
聞けば、『マルチナ、永遠のAI。』読み、女子高生AI「りんな」とIQ1万の美人AI「マルチナ」のある共通点を発見したという。
「りんな」の開発者はマイクロソフトの坪井一菜さん。
厳重なセキュリティをくぐり、もぎとった、とっておきのドキュメント第8回を特別公開する。
(構成・寺田庸二)
開発チームには、
エンジニア出身ではない人が半分も
大村 坪井さんが『マルチナ、永遠のAI。』をお読みいただいて、ここは面白かったという、セリフやシーンはありますか。
坪井 五條堀がショーマさんに、「ま、それ抜きでもお前とは腐れ縁だ。お前ならAIの教師としても適正があるだろうと直感が働いてな」と言った言葉が、すごく共感ができたんです。
人工知能の開発はエンジニアじゃないとできないとか、数学的な知識がないとダメだとかと思われがちですが、そんなことないんです。
人工知能に何か教えるときに、エンジニアの知識だけではできないことが数多くあります。
たとえば、りんなは、ファッションチェックができます。
写真をパシャと撮ってりんなに送ると、「それ、超流行りのジャケットじゃん」とか言えるんです。
これを開発するときに、スタイリストの人と共同開発をしました。ひとりそういう人がいるだけで、時代に求められているものが創れるのですね。
ファッションが専門ではないエンジニアだと、何が流行の商品だとか、そもそもどんなファッションアイテムを認識すると流行りに乗っているように見えるのか、などデザインするのが厳しい。
AIの開発には誰でも参画できて、エンジニアだけで素晴らしいものを創るのは難しい。AIに考え方を教えるような作業が多いので、教えるのが向いている人がいると非常に助かる。
うちのチームも、エンジニア出身ではない人も半分くらいいます。以前、音楽関係をやっていた人、そして、「小説を書いていました」という人もいます。
大村 そういう方が、テスターになっている。
坪井 そうですね。りんなのテストだけではなく、りんなとどういうことをさせると面白いかを考える。
大村 教育係的な。
坪井 そうですね。まさに、『マルチナ、永遠のAI。』のショーマに近いような存在ですね。
どういうことを、人間と一緒にすると楽しいか、を考えるのは、エンジニアだけだと、なかなかできない。
大村 そう言ってくださると、文系出身にもちょっと夢が湧きますね。...