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つながり合ったいま、ソーシャル社会に必要なのは「哲学」だ


Facebookが一般に公開されたのは2006年のこと。時を同じくしてTwitterが登場し、世界中の人々はSNSを介して爆発的な勢いでつながってきた。これほど不特定多数の異なる価値観を持った人々がつながり合えたという事実は、人類の歴史を見ても特筆すべき出来事と言えるだろう。人々がつながり合えば、時間や空間の制限を超えて人はもっと自由になれる――インターネットが一般にも浸透し始めた当初、そんな期待を抱いた人は少なくなかったはずだ。しかしどうだろう。現実には、つながったことでそれぞれの人の持つ意見や正義がぶつかり合い、むしろ不自由さや窮屈さを感じはしないだろうか。今後インターネットが本当の意味で「公共」の場として機能するために、今こそ必要なものとは何か? オランダの市民社会セクターに精通する長坂寿久氏は、キーワードは「哲学」だと語る。

これからはコミュニティの時代が来る
オランダに学ぶ「市民社会力」

長坂寿久(ながさか・としひさ)一般財団法人国際貿易投資研究所客員研究員、逗子フェアトレードタウンの会代表理事。神奈川県逗子市生まれ。明治大学政経学部卒、現日本貿易振興機構入構、シドニー、ニューヨーク、アムステルダム駐在。1999年拓殖大学国際開発学部(現国際学部)教授、国際関係論(NPO・NGO論)、2013年退任。公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン理事、認定NPO法人ACE(児童労働問題)評議員等。神奈川県ボランタリー活動推進基金審査会(会長)、日本フェアトレード・フォーラム認定委員長、等。映画評論家。オランダ関係では、アムステルダム市国際交流表彰(1997年)、蘭日賞(2009年)受賞。主な著書に、『新市民革命入門――社会と関わり「くに」を変えるための公共哲学』(2016年)、『NGO・NPOと「企業協働力」──CSR経営論の本質』(2011年)、『NGO発、「市民社会力」──新しい世界モデルへ』(2007年)、『日本のフェアトレード──世界を変える希望の貿易』(編著、2008)、『世界と日本のフェアトレード市場』(編著、2009年)、『オランダを知るための60章』(2007年)、『映画で読む21世紀』(2002年)[以上明石書店]、その他『オランダモデル』(日本経済新聞社、2000年)、『ユーロ・ビッグバンと日本のゆくえ』(集英社、2000年)『ベビーブーマー』(サイマル出版会、1988年)等多数

長坂寿久(以下、長坂) 私がなぜ、3年半の駐在が終わってからもオランダに通い続けているのか。それは、いつも新しく学ぶところがあるからなんです。

例えばオランダは先進国の中でも、市民がグループをつくって活動するという意味での「市民社会セクター」が最も大きい国。これは、いろいろな国際比較データからも明らかになっています。「市民社会力」が強い国のシステムがどういうものなのか。そこにすごく興味があります。

武田隆(以下、武田) その市民社会セクターは、どのような役割を果たしているのでしょうか。

長坂 例えば社会構造が変化するなかで、何か課題が現れたとします。それによって困っている人たちに、最も早く手を差し伸べられるのが隣近所にいる人々、つまり市民なんです。政府や企業が対応することも可能ですが、それにはある程度時間がかかる。そのため、最初に課題に対して話し合い、解決に取り組むのが市民社会セクターになるんです。

そうした、非政府の団体や非営利の団体が、NGO(Non Governmental Organization)やNPO(Non Profit Organization)と呼ばれています。OECDでは、CSO(Civil Society Organization)と呼びます。

武田 しかし、前にも少しお話が出たように(第1回を参照)、「公共」の概念が根付いていない日本では、NPOやNGOに対する偏見がありますよね。反社会的な団体なのではないか、政府から助成金をもらうためにつくられたのではないか、などという誤解があるように思えます。いっそCSOと呼んだほうがいいかもしれませんね(笑)。...

提供元:ダイヤモンド・オンライン

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