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大阪府の辺境で連綿と続く大いなる信仰を見る〜水間寺〜


一向宗寺院の寺内町として発達した大阪府貝塚市。この貝塚市街から東へ行った盆地に寺内町よりも古くから伽藍を広げるのが“水間観音”の名で知られる水間寺です。行基によって天平16(744)年に開創されました。鎌倉期に七堂伽藍が整いますが、天正13(1585)年の豊臣秀吉による紀州攻めの兵火に遭い焼失。現在の諸堂は江戸期以降のものです。今回はこの水間寺を貝塚と水間を結ぶ水間鉄道などとともにご紹介します。

水間鉄道に乗って

写真:小谷 結城

まずは貝塚駅から水間鉄道で水間観音駅へ参りましょう。大阪府下にあって線路は単線、かつワンマン運転を行う電車に乗車することになり、意外な出合いを感じることでしょう。車窓からは両側から民家が迫るスリリングな光景も味わえ、近郊都市の様相から田園がちらほらと見えてくる景色の変化もあります。

歴史ある独特な駅舎・水間観音駅

写真:小谷 結城

さて、到着した水間鉄道終点の水間観音駅。水間寺の玄関口として建てられた鉄筋コンクリート造の駅舎は独特で、寺社の望楼に左右対称のアールデコ調の構造を組み合わせたものです。竣工は大正15(1926)年。デザインは、参詣者を送り出す役割と当時の建築界の流れを折衷した結果なのでしょう。貴重な建築物として評価されており、国登録有形文化財になっています。こちらもじっくり鑑賞してみましょう。

水間寺の本堂と三重塔

写真:小谷 結城

水間観音駅から水間寺までは400メートルほど。左右に森が迫ってくると思えば、突如として右方に水間寺の大伽藍の口が開かれています。水間寺は行基開創の古刹ではありますが、天正13(1585)年、豊臣秀吉の根来攻めの際、根来側についたために焼き討ちに遭い、灰燼に帰してしまいました。
その後復興するも、天明4(1784)年に火災により再び全焼。現在の本堂は岸和田藩主・岡部長愼(ながちか)の寄進により、文政10(1827)年に再建されたものです。本瓦葺きの重層入母屋造りで、軒下の繁垂木や組物が重厚感をより高めています。
また、隣には三重塔です。開基当時は多宝塔でしたが、本堂同様、天正の兵乱に焼失したので万治年間(1658〜1661)に改めて三層の塔を建てました。現在の塔は、この三層の塔を天保5(1834)年に再建したもので、明治期以前に建てられた大阪府内唯一の三重塔です。三重塔の第一層の蟇股に彫られた十二支の彫刻が見どころとなっています。

写真:小谷 結城

本堂に入り、手を合わせましょう。ここに聖武天皇の病気を治したとされる本尊の聖観世音菩薩像が秘仏として安置されています。豪壮でありながら厳かな空気が立ち込める堂内からは、古くから信仰されてきた重みが伝わってきます。本堂に廻らされた縁の上には、様々な絵馬が掲げられています。泉州地域で講が結成されて周辺地域で深く信仰されたことが窺えます。
昭和7(1932)年に大阪時々新報、京都日日新聞、神戸新聞を母体とした三都合同新聞社が人気のある寺々を選出して構成した新西国三十三観音霊場の第4番札所に選出されています。現在も参詣者は途切れることなく訪れており、連綿と信仰され続ける歴史に尊さを覚えることでしょう。

国宝の孝恩寺観音堂

写真:小谷 結城

水間寺に訪れたのなら足を延ばして孝恩寺まで行ってみましょう。孝恩寺は水間寺より東へ600メートルほど行った場所にあります。神亀3(726)年に聖武天皇の勅願を受け、行基によって建立されたと伝わる古刹です。
知られるのは観音堂。鎌倉後期に再建されたもので、大阪府下最古級の木造建築物として国宝に指定されています。本瓦葺きの寄棟造り。組物は出組、よく見れば凝った装飾の施されている蟇股も控えめ。建物は装飾の少ない簡素なもので、釘を使用せず建てられたことから別名「釘無堂」とも呼ばれます。
宝物館には平安時代中期の本尊阿弥陀如来をはじめとする仏像群19体と板絵1枚が安置されており、いずれも重要文化財に指定された必見の代物です。ただし、こちらの拝観は事前に水間寺へ申し込みを入れましょう。

水間寺・孝恩寺の基本情報

水間寺
住所:大阪府貝塚市水間638
電話番号:0724-46-1355
アクセス:水間鉄道「水間」駅から徒歩約5分
開館時間:9:00〜16:00
孝恩寺
住所:大阪府貝塚市木積798
電話番号:072-446-2360
アクセス: 水間鉄道「水間」駅から徒歩約15分
開館時間:拝観自由。ただし、宝物館は要事前申込み
2017年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
水間寺
http://www.mizumadera.or.jp
孝恩寺(貝塚市HP)
http://www.city.kaizuka.lg.jp/kanko/rekishi/koonzi.html

【トラベルjpナビゲーター】
小谷 結城

提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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