がんばってきたのになぜか虚しい。2万人をみてきた組織開発コンサルタントで『組織の違和感』の著者である勅使川原真衣氏が、実際に職場に分け入って考えた、組織変革のコツを伝えます。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)(初出時より一部表現をブラッシュアップいたしました。2026年9月7日8:00 書籍編集局)
慣れ親しんだ職場での違和感
仕事で経験を積んだにもかかわらず、なぜか「自分の居場所がない」と感じることはないでしょうか。
部下に任せることを求められ、自分で手を動かす機会も減っていくと、
「もう自分は必要とされていないのではないか」
「これまでやってきたことは、何だったのだろう」
そんな考えが頭をもたげ、孤独感を覚える人もいるでしょう。
慣れ親しんだはずの職場で、一体何が起きているのでしょうか。
成果を出してきた人ほど感じる「壁」
可能性として考えられるのは、あなた個人の問題というよりも、会社の中での「組み合わせ」が変わったことかもしれない、ということです。
若い頃は、がむしゃらな頑張りが評価につながりやすいものです。
自分で動き、誰よりも時間をかけて詳しくなる。そうやって個人の力を発揮することで、会社の中での役割がはっきりします。
ところが、年齢や役職が上がるにつれて、求められるものは変わります。
自分が成果を出すだけではなく、部下に任せる。チーム全体を見る。経験を積ませる。
場合によっては、自分が前に出ないことも求められます。
ここで、これまでの「できる自分」と、今求められている役割の間にズレが生まれるのです。
たとえば、現場で高い成果を出してきた人ほど、部下に任せることに難しさを感じることがあります。
自分でやったほうが早い、以前はこうだった、失敗させたくない。そう思って任せきれないこともあるかもしれません。
しかし、それを続ければ、周囲からは「部下を信頼していない上司」に見えるかもしれない。
本人は、これまで通り会社の役に立とうとしているだけなのに、以前は強みだったものが、別の場面では噛み合わなくなる。
ここに「居場所がない」という感覚の正体の一つがあります。
ベテランこそ柔軟さを発揮する
もちろん、会社側にも責任があることはあります。
「ベテランなんだからわかるだろう」と、役割を曖昧にしたままにする。管理職になった後の期待値と職務要件をきちんと伝えない。
その状態で「もっと若手に任せて」とだけ言われても、人は自分の立ち位置を見失ってしまうものです。
だからこそ、キャリアの後半で違和感を覚えたら、「自分はもうダメなのか」と考える前に、今の環境やメンバーの組み合わせで、自分にどんな役割(「機能」)を担うのがよいか、を見直してみてください。
今まで積み重ねてきたものは決して無駄ではありません。
それを、適切な場で発揮するのです。
たとえば、最前線で成果を競うことから、若手が力を発揮できる環境を整える役割へ。
自分で答えを出す人から、経験をもとに問いを投げかける人へ。
「居場所がない」という違和感は、柔軟に自分と環境の相性を調整するチャンスでもあります。
そう考えると、「居場所」は会社から与えられるものではなく、今の自分に合う形でつくり直せるものだと見えてくるでしょう。