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木村拓哉が思う『HERO』リアル&非リアルの共存 久利生は「恋愛感度低すぎ」

 2001年1月にスタートし社会現象を巻き起こした大ヒットドラマ『HERO』。その最新映画が昨年のドラマシーズン2に続いていよいよ公開される。老若男女から愛され、国民的人気となったシリーズを牽引してきた主演の木村拓哉が、これまでほとんど描かれてこなかった男としての久利生公平について、「恋愛感度が低すぎ」としながら、その恋愛観や男女関係をしっかりと語ってくれた。

男としての久利生公平を語る木村拓哉「北川景子なみの女性が横にいたりとかしたら…」

男としての久利生公平を語る木村拓哉「北川景子なみの女性が横にいたりとかしたら…」

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◆“男と女”以上の刺激し合える存在

――完成した映画をご覧になって、なにか発見はありましたか。
木村 やっぱり、どう転んでも、あくまでも愛すべき群像劇でした。あと、あらためて、久利生にとって雨宮という存在は、男と女ではあるんだけど、どこかそれ以上の刺激し合えるものがあるんじゃないかなと。

――久利生と雨宮ならではの関係性というものがやっぱりあるのかなって。
木村 『HERO』には、どこかリアルさを突き詰めていきたいというところがあった上で、「用意、スタート!」の本番が始まるんですよ。今回で言えば「治外法権」に向き合ったときに、どう話をもっていくか。どう対処するか。どう悩むか。いかに本気に、リアルにやっていくかは、僕らも現場でいろいろ考えながら演じています。でも、久利生と雨宮の、その男女の関係においては、まったくもってリアルじゃない。逆に、そのリアルじゃない部分で遊べているというか。

――リアルと、リアルじゃない部分の共存が、『HERO』の魅力だと思います。久利生と雨宮の関係は、その最たるものなのかもしれない。
木村 恋愛というものが、彼らのなかの優先順位において、どれぐらいの位置にあるのかっていうのが本当に描かれていない話なので。だって普通、北川景子なみの女性が横にいたりとかしたら……。

――大変ですよね。
木村 うん、恋愛感情を持って当たり前だと思うんだけど、それもないし。だから、相当感度の鈍い男なんじゃないかな。

――恋愛感度が。
木村 恋愛感度低すぎでしょ。

――あれって、オレは恋愛には距離を置いてる的なポーズじゃないんですね。
木村 (鈍い)フリではないんじゃないですか。だって、もしそれを演じているのだとしたら、演じているという部分をちゃんと観てくれる人たちに伝えるべきじゃないですか。久利生は演じてはいないんじゃないかな。天然で(恋愛感度が)低いんじゃないですかね。

◆久利生公平に向き合い、演じるということ

――ただ、検事としては相変わらず、感度が良くて。今回の大使館絡みの事件でも、やはりそうでした。
木村 そこに存在したのがたまたま大使館、っていう。“たまたま”と正面切って言えるのが、この作品のスタンスだと思います。大使館には踏み込まない、という約束事で、国と国とのバランスが保てているわけじゃないですか。でも、そのバランスも、久利生的には無視している。「なんで?」っていう尺度で、彼は突っ込んでいく。久利生じゃなかったら、たぶん許されていないんじゃないですかね。いままで彼がずーっと培ってきたエピソードがあるから、「ですよね」になれる。急に、ダメージのデニムをはいた検察官が大使館のベル鳴らして、という話だと、たぶん無理があると思うんですけど。いままでみなさんがこの作品とコミュニケーションをとってくれているから、成立する話になっているんじゃないかな。

――その変わらない久利生を演じることは、木村さんにとってはどういうことなんでしょうか。
木村 久利生公平のキャラクターがすごくしっかりしているので、ヘンな話、助かるというか。そのキャラクターと向き合う作業のときに、あまり悩む必要がないんです。自分も、観てくださった人たちと同じ時間、久利生と付き合ってきたので、「ここでどうする?」って言われると、「アイツだったらこうするでしょ」って答えられる。本当に、彼の“方程式”が変わっていないので。“久利生方程式”があるんですよ。向き合う相手が、中学生であろうと、「治外法権」であろうと、この方程式に当てはめれば全部、答えは出てくる。そこは不変。ただ、そこにまだはまってないのが、さっきから話に出ている、女性という存在(笑)。

――そこの計算式は見つからない。
木村 どうなんですかね。計算式が変わった瞬間に、すんなりいけばいいんですけど。たぶん円周率並なんじゃないですか。どこまでいくの? っていう。

――割りきれないじゃないですか(笑)
木村 うん。じゃあもう、面倒くさいから「π」で表現しちゃおうよ、みたいな。そういうことになりかねないんじゃないのかなと。
(文:相田冬二)

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