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韓国映画特集『2014年上半期の韓国映画シーンと制作現場のウラ事情!社会学的に切り込む』

今や映画ファン層全体から熱い視線を集める韓国映画。この夏〜秋も多くの話題作が日本公開されるなか、韓国映画界の2014年上半期の動向を掘り下げる。『怪しい彼女』のファン・ドンヒョク監督に韓国映画界の裏側と監督業の実態を聞いた。さらに日本映画大学のハン・トンヒョン准教授に、韓国社会と今の韓国映画の傾向、それを生む社会学的な背景を語ってもらった。韓国映画と韓国社会にエンターテインメントの側面から切り込む。

[監督2]◆映画界が活力を取り戻している 挑戦できる環境

――日本では、映画監督は映画のほかにCMやミュージックビデオなどを撮ったり、テレビドラマの演出をしたりする人も多いのですが、韓国ではそういうことはなさそうですよね。しかも、多作ではない監督もたくさんいるようです。韓国の監督というのは、どういう存在なのでしょうか。
ドンヒョク韓国の場合は、テレビドラマの演出と映画の演出はきっちりわかれています。というのも、ドラマはテレビ局の社員が演出を行うことが多いんですね。だから、テレビの人が映画の演出をすることはないし、映画の人がテレビの演出をすることも難しいんです。ただ韓国でも、映画だけで食べていくのは大変で、私も最初の商業映画である『マイ・ファーザー』から次の『トガニ』にこぎつけるまでに4年かかっています。

 映画もヒットが出ればいいんですけど、それがない監督はほんとうに厳しい状況です。日本のようにほかの映像作品に関わることができるならば、韓国の監督もやりたいのではないかと思うんですけど、なかなかそういう機会がないですね。韓国では、映画監督になるのは狭き門で、なってからもそれだけで生活していくのはさらに大変なことです。それでもなりたいと思う人がたくさんいるのは、社会のなかで尊敬される対象でもあるし、作った映画は多くの人から評価されるという意味で、ロマンがあるからではないかと思います。

――でも、実際のところ、何年も映画が撮れないとなると大変ですよね。
ドンヒョク私の場合も、1作目の『マイ・ファーザー』は興行的にあまりうまくいきませんでした。それが終わったあと、すぐに次の作品の依頼がきたので、それにとりかかりましたが、出資が集まらず、脚本の準備中にその企画が流れてしまいました。その次もうまくいかず、『トガニ』の制作が始まるまでにふたつの作品の準備をしていたものの、頓挫してしまったんです。

 そのせいで、2年半あまりを非常に厳しい状況のなかで過ごしましたが、『トガニ』が興行的に成功し、また次の作品にとりかかることができました。それ以前と違うのは、その『トガニ』で興行的成功を収めたという事実があることです。韓国では、作品を成功させれば、映画監督はある程度の余裕が持てるということはありますね。

――最近の韓国映画界の状況をどうご覧になっていますか?
ドンヒョク5年前に比べるとよくなっていますね。ここ2年くらいは、全体の観客数も多くなりました。映画が韓国の人々の娯楽のひとつとして大きな位置を占めるようになりつつあります。たくさんの方が映画館に足を運ぶようになり、興行がうまくいく作品が増えると、出資も集まりやすくなり、我々もいろいろな作品を作りやすい環境になります。

 映画界に活気がない時期は企画段階で否定的な意見が出やすく、一方、興行がうまくいっているときには、肯定的なマインドでさまざまな企画に挑戦できます。今韓国の映画界が活力を取り戻していることは、監督として非常にうれしいことです。

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<<目次リンク>>
・特集本文 [1] [2] [3]
・ファン・ドンヒョク監督インタビュー [1] [2] [3]
・ハン・トンヒョン准教授 対談  [1] [2] [3]
・レビュー&予告編 [1]

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