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つるの剛士『初のカバーベストが到着!歌手としての自分のスタイルとは!?』

今年に入ってから『関ジャニの仕分け∞』(テレビ朝日系)のカラオケ対決で大勝利し、5年ぶりに出演した『歌がうまい王座決定戦チャンピオン大会』(フジテレビ系)では見事に優勝。聴き手の心に真っすぐ届くハスキーボイスに最注目が集まるなか、3枚のカバーアルバムをコンパイルした初のカバーベストをリリース。幅広いフィールドで活躍するつるのが“いち歌手”として、名曲をカバーする意義を聞いた。

カバーする上で意識しているのは、若い人に名曲を受け継いでいくこと

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――まず、カバーベストを出そうと思ったきっかけから聞かせてください。
つるの剛士いちばん最初のカバーアルバム『つるのうた』をリリースさせて頂いてからもう4年くらい経っているんですけど、今年に入ってから、番組でまたカバー曲を歌わせてもらう機会を頂いたので、今までのアルバムを聴いたことがない人にも聴いて欲しいなという思いがあって、ベストという形でリリースさせてもらうことになりました。

――3枚のアルバムからの選曲は?
つるの各アルバムごとに推し曲があったんですけど、この4年間で、いろんな感想をもらっていて。「この曲が好きです」っていう、みなさんのお声をまとめさせてもらいましたね。最近、カラオケに行くと、履歴を見る癖がついちゃって。例えば、「最後の雨」とかは、僕のバージョンで歌ってくださる方も意外に多かったんですね。そういうお客さん目線で選んでますね。結果的に、78分26秒入ってるんですけど……。

――CDの容量のいっぱいじゃないですか!?
つるのそうなんですよ。文明の利器ギリギリまで入れさせてもらいました(笑)。今回、新録を入れたんですけど、最後にレコーディングした「糸」は、78分26秒のなかに収まるようにアレンジしてもらって。もうこれ以上は入りませんというところまで、がっちり、まるまる入れましたね。

――(笑)1枚目のカバーアルバムからは3曲入ってますが、例えば、カバー企画を始めるきっかけともなった『M』を改めて聴き直してどんなことを感じました?
つるの『M』は番組やライブで何度も歌ってきているので、やっぱり経験が増えた分、進化もしてるんですよね。でも、当時はもう真っすぐに歌うっていう気持ちしかなくて。たぶん、いま同じように歌えと言われても歌えないと思うんですよ。技術とは関係ないところでの姿勢とかパッションとか初期衝動とか……。昔の自分の歌に教えられたような気がしましたね。ほんとにね、技術じゃないところがいっぱいあるんですよ。ひたすら真っすぐに歌うっていう気持ちは忘れちゃいけないし、ずっと持ち続けないといけないなって思いますね。

――2枚目からも3曲、選ばれています。
つるの名曲ばかりですよね。例えば、この間、街を歩いているときに、お婆ちゃんから「つるのくんの『ラヴ・イズ・オーヴァー』歌ってるよ」って声をかけてもらって。僕の歌ではないんですけど(笑)、やっぱり嬉しかったですね。あと、『未来予想図U』は、若い子がカラオケで歌ってくれてるみたいで。僕、なるべく若い子に聴いて欲しいなって思うんですよね。僕より年上の方は、原曲を知ってるじゃないですか。だから、僕がカバーする上でいつも意識しているのは、若い人に名曲を受け継いでいくっていうことなんですよね。だから、例えば女性が主人公のラブソングを歌うときは、自分の高校生の頃の恋愛を思い出しながら歌っていて。気分は西野カナさんみたいな感じで(笑)、歌ってることが多いですね。

これからも自分のスタイルを貫き通そうと思っています

  • つるのうたベスト【CDのみ】

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――(笑)そして、3枚目からは最多の6曲が収録されていて。
つるの3枚目にもなると、ツアーもやらせてもらって、お客さんの前で歌う経験値も増えてきて。ストレートなところは全く変わってないんですけど、そこにプラスして、歌手としての経験値を乗せたっていうアルバムだったんですよね。ただ、その間にオリジナルアルバムも出してるので、改めて、カバーの大変さを実感させてもらった1枚でもあったんですね。なにも分かってないまま歌っていたときとは違って、もう1回、襟を正して名曲に向き合おうっていうチャレンジ精神の強い1枚だった。僕的にはいちばん好きなアルバムだし、1枚目や2枚目から進化した部分も聴いて欲しいなと思っていて。

――高橋真梨子さんの「for you...」のカバーが素晴らしかったです。ファンキーなアレンジも心地よくて。
つるの先日、高橋真梨子さんから直筆のお手紙を頂いたんですよ。「歌ってくれてありがとう。機会があったら、どこかで一緒に歌いましょう」って書いてあって。すごく嬉しかったですね。でも、思い返してみるとほぼ男性の曲がないな……。

――そうなんですよ。そこも聴きたかった点なんですね。今回、15曲中、男性アーティストの曲は3曲のみです。
つるのキーの問題もあるんですけど、やっぱり、女性の曲を男性が歌ったどうなるのかな?っていう興味が大きいかな。

――例えば、「パパ」は完全に女性目線の曲ですよね。娘から父親への手紙のようになっていて。
つるの実は個人的にいちばん入れたい曲だったんですよ。仲間内で、「パパがいい」って言ってくれるパパが多くて。奥居香さんがコーラスで参加してくれてるんですが、自分で聴いても、毎回、泣けるんですよね(笑)。あと、結婚式でも1回だけ歌ったことがあって。奥さんが自分の父親を思って泣くのかな?と思いきや、旦那さんが号泣してて(笑)。不思議な現象が起きたんですが、男心にグッとくるような曲だと思います。

――さらに、今年のテレビ番組でカバーして好評だった3曲が、新録として追加レコーディングされてます。
つるのいつの間にか、みんなが僕に挑んでくるみたいな立ち位置になっていて(笑)。僕はそんな柄じゃないんですけど、まぁ、ほかのアーティストの方と自分の歌の違いがなんとなくわかってきて。僕はもうこれでいいんだなっていう自信を持って、これからも自分のスタイルを貫き通そうと思っています。

――その“自分のスタイル”というのは?
つるのいい意味で無知っていうことですね。歌に関しての情報がないからこそ、ストレートに歌える。ボイトレに行ったこともないし、カラオケに通って練習するタイプでもないので、ほんとに聴いたまま、感じたままに歌えるのが自分の強みだと思っています。ひと言でいうと、技術じゃないところで、ストレートに歌う人っていう感じかな。最近は自分で作曲して、自分で作詞して、自分で歌うアーティストが多いけど、昭和の時代は、歌い手さんと、作詞家さん、作曲家さんがはっきりわかれたと思うんです。最近、いわゆる歌手がいないので、自分がそういう人になってもいいのかなって思っていて。昔ながらのというか、作家さんに作ってもらった曲を“歌手”として歌いたいなっていう欲求があるし、これからも初心を忘れずに、ストレートに歌い続けていきたいと思いますね。
(文:永堀アツオ)

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