ORICON NEWS
TikTok“無言配信”第一人者 夏絵ココが歌手デビュー「0から1を作る快感」
デビュー曲で初作詞「やっぱり自分で書きたい!」
私にとって、音楽も“間”だと感じる部分があって。私の中でもう一つ大事にしているのが、受動的であることと能動的であることがどっちもある、ということなんです。音楽は聴く人が能動的に「これはどういう意味なんだろう」と楽しむところもあるし、受け入れさえすれば音楽が自分を楽しませてくれる部分もあると思うんです。今この世にあるものの中では、音楽が人にも伝わりやすくて爆発力も兼ね備えていて、すごく魅力を感じていました。
――楽曲制作にはどのような形で関わったのですか?
「こんな曲にしたいな」から始まり、作詞やタイトルにも携わらせてもらっています。曲については「ぽよんぽよん」や「ピコピコ」、「キラキラキラ」とか、宇宙を連想させるような音を入れたくて、それに合うような音楽がいいなと思っていたところからスタートして、行きついたのがこの曲調になっています。
作詞は初めてだったんですけど、めちゃくちゃ楽しくて。ワンフレーズ思い浮かぶと一気にワッと言葉が出てきて、そこから自分の好きな言葉に変えてみたり、表現を変えたりして模索していきました。もともと一つの言葉から連想して考えていくことがすごく好きなので、歌詞を作るときにはそこが発揮されたのかなと思っています。
いや、めちゃくちゃ苦手なんですよ(笑)。素人だし、変なものができたらイヤだなという気持ちが強くて、だったら作詞家の方に頼んでみようかなと思っていたんですけど、曲を聴いたら「待って! やっぱり自分で書きたい!」と思って、お願いして書かせていただきました。
――タイトルの「Virtual mod Real」もご自身で考えられたそうですが、どういった意味が込められているのでしょうか。
「MOD」という関数がありまして、「a MOD b」という式はaをbで割った余剰(余り)を表しているらしいんですよ。それを知ったときに絶対にタイトル入れたいと思って、「バーチャルとリアルの余剰が、私にとってのこの世である」という意味を込めてつけました。
TikTokでは「みんなでパチパチしてほしいです」
色合いやCGについてのイメージをお伝えして、クリエイターのみなさんがどうやって広げてくれるかを楽しみにしていたんです。だから、私の言葉が具現化される過程を見られたのがすごくうれしかったです。それが私とクリエイターのみなさんとの「思考実験」の結果でもあるので。
――お気に入りのシーンはありますか?
めちゃくちゃあるんですけど、お部屋の中にいる私とパソコンの中にいる電子バージョンの夏絵ココが一緒にいる感じとか、次元の“間”を行き交っているシーンがすごく気に入っていて。あと、一瞬だけ何人いるかわからないくらい夏絵ココがいっぱいいるシーンがあるんですよ。そういうちょっと不気味な部分をファンの方は気に入ってくれていると思うので、私が好き勝手にしているなと思ってくれるんじゃないかな。
――TikTokではダンスチャレンジが盛り上がりますが、「Virtual mod Real」にもポイントとなるダンスがあるのでしょうか?
サビのところで目をパチパチとしているように手を動かす振りと、まつ毛がくるんくるんとしているのを表すような“開眼ダンス”があって、そこはポイントかなと思っています。みんなでパチパチしてほしいですね。
そうですね。みんなどんな発表なのか予想してくれているんですけど、まだ1個も当たりを見つけていないので面白いなと思っています。まさか夏絵ココが歌を出したり、アーティストデビューするというイメージがないんだなとわかって、予想を裏切れるのがすごく楽しみです。みんなを見ているのが楽しいから、もう少しこの時間が続いてほしいくらい(笑)。
――音楽はこの先も続けていきたいと思われますか?
はい。今回制作してみて、0から1を音楽で作る快感がすごく大きかったので、もっとやりたいなと思っています。1曲作ったらアイデアもどんどん出てきて、例えば私の配信ではいろんなタイプのキャラクターが出てくるので、キャラソンとかもいいよねと思ったり、すごく幅広くやりたいです。
――今後挑戦したいことはありますか?
いっぱいいっぱいあります。0から1を生み出す楽しさを1回味わっちゃうとそれを何回もやりたくなって、それこそ音楽に限らず、絵本なのか絵なのかはわからないですけど、自分の伝えたいことを作るということは今後もずっとやっていきたいと思っています。
でも、それを出したときにみんなの反応があることのほうがうれしいので。いいも悪いも反応があればいいんですけど、何もないときが一番つらいですね。
――反応があることが夏絵さんの活動の原動力になっているんですね。
そうですね。作品を世に出さないなら趣味ですけど、世に出す限りは誰かに反応してもらってこそ、その作品がやっと1になるという感覚があって。反応がないと0から0.5くらいでふわふわと浮いている感じがして、ちょっと気持ち悪いんですよね。
そうですね。無言配信をする中で、“カチッ”と何かがハマった気がしたんですよね。あそこが多分、最初の0から1だったんだと思うんです。
――配信を通して今後やってみたいことはありますか?
夏絵ココとして考えていることはまだいろいろあって、それこそ寝たり、起きて手を振ったりを繰り返す「眠り配信」みたいなことをやってみたことがあるんです。『眠り姫』が好きなので、多分みんなも好きじゃない?というラフな考えでやってみたらそれも好評だったので、眠りや人間のふとした日常を大きく解釈してテーマにしてみたいです。あとは、例えば本物のエッフェル塔を背景にして無言配信ができたら、いろんなものを飛び越えた感じがして楽しいと思います。
――今後も無言配信は続けていかれるのですね。
もちろんです! 無言配信が夏絵ココの根源なので、それはずっと続けていきたいと思っています。
インタビュー・文/東海林その子
撮影/田中達晃(Pash)
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