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ガンプラの転売に一矢「入手困難…なら作ってしまおう」、発想の転換で生み出した「擬似Hi-νガンダム」に賞賛の声

海外からの反響に驚き「ガンプラは言葉の壁を越える」

――SNSに「シナンジュスタインからガンダムを作る。完成しました」というコメントとともに投稿された作品『MSN06S Psycommu Testtype』が、多数のいいねを集めました。この反応をどのように受け止めていますか?
U-TA特に派手な作品でもないので、反響は想像以上でした。改造のアイデアをマネしたい、という声も素直にうれしいです。また海外からの反響もあり、ガンプラは言葉の壁を越えたコミュニケーションツールでもあると実感しています。

――本機のベースにされたシナンジュスタインは、ガンダム的なデザインで試作され、その後開発されたユニコーンガンダムの試験機という位置づけでもあるモビルスーツです。この機体をベースに“ガンダム”を作ろうと思われた理由を教えてください。
U-TA『RG Hi-νガンダム』のキットがなかなか手に入らなかったので、入手しやすいキットから「擬似Hi-νガンダム」を作ろうと思ったのがきっかけです。WEBコンペに参加するため制作期間は約3カ月で作り上げました。
 使用したキットは、『1/144 HGUC シナンジュスタイン(ナラティブVer.)』『1/144 HGUC ナラティブガンダムA装備』『1/144 EG νガンダム』『1/144 HGIBOグレイズ』、その他 ビルダーズパーツHD・WAVE / KOTOBUKIYA製パーツなどです。

――発想の転換が素晴らしいですね。設定としては、背景にどのような物語があるとイメージされたのですか?
U-TAif設定ですが、シナンジュスタインの構想がユニコーン計画以前から存在しているAE社の「サイコフレーム汎用素体」だったらと仮定し、ロングレンジフィンファンネルやHi-νのプロトタイプを「プレゼンする資料」のために設計されたMSというイメージです。
 といいつつ恥ずかしい話なんですが、実はアニメ本編をほとんど見ていないため、劇中の活躍や背景などの知識がなく、大まかな認識で「ありそうなバリエーション機」を妄想しました。シナンジュスタインのスタイリングがほぼHi-νなのでいけるだろうという、強引な考えで。もちろん、世界観を逸脱しないようある程度の劇中設定などは調べたりしました。

面やエッジの処理など“プラモ感”が薄れる仕様「思春期に触れた雑誌に影響」

――重厚でありながら、身動きの取れる装備、黄色がアクセントになったカラーリングはどのように決められたのですか?
U-TA装備に関しては前述した、「ニュータイプ仕様のプロトタイプ」ということを強調するため、ファンネルやロングレンジフィンファンネルのみとし、Hi-νやFFνにも通ずるよう大型の背負いものを配する構成にしました。カラーリングは使いたい塗料がイエロー系だったので、それを軸に配色しました。

――本作を作る際に一番こだわった点、一番苦労した点をそれぞれ教えてください。
U-TA荒いところもありますが、コンペにエントリーする作品ということで、元キットを活かしつつ、面やエッジの処理など“プラモ感”が薄れるよう手を入れました。また、流用パーツが違和感なく馴染むようディテール追加などの工作をしました。オリジナルデザインのデカールをUVプリントで自作したのですが、扱いが難しく予備がなくなるギリギリまで貼り直しをしました。

――「面やエッジの処理など「プラモ感」が薄れるよう」という、仕事の丁寧さは、本作だけではなく、U-TAさんの作品全般に言えるように思えます。「派手な作品でもない」とご自身もおっしゃる通り、派手なウェザリングやミキシングを施しているわけではないのですが、作品から凄さを感じられます。
U-TAありがとうございます。私は、ガンプラをキャラクターモデルではなく“プロダクトデザイン”の延長としてとらえており、派手なポージングではなく素立ちの佇まいを意識して作っています。思春期に『モデルグラフィックス』で触れた東海村源八氏などの作例に大いに影響を受けていると思います。『モデルグラフィックス』の作例特有の世界観(=オリジナルマーキングを多様したり、アンオフィシャルながらも説得力のあるif設定など)が、当時の中二心に深く刻まれています。
 私は基本的にパチ組みをしないので、カラースキームやミキシング、自作デカールなど、どこかに「自分らしさ」を入れるようにしています。

――本作制作のきっかけが『RG Hi-νガンダム』が手に入らなかったこととおっしゃっていました。昨今のガンプラ人気や、転売ヤーの暗躍などさまざまな要因から、人気のキットが品薄になり、欲しいモデラーに届かない現状をどのように思われますか?
U-TA私自身も昨今のブームのタイミングでガンプラを買うようになったので、その一端を担いでいる側ではありますが…。買えないものは仕方ないので、「買えればラッキー」くらいの心持ちでいます。最近は再販品の充実など、店頭の様子も昨年と比べて変わってきたように感じますので、コロナ禍以前の様に気軽に買えるようになることを期待しています。

――それでは、最後にU-TAさんにとって「ガンプラ」とは?
U-TA初めは「ちょっと息抜き」程度に作り始めましたが、気づいたらその奥深さにハマっていました。趣味の自己満足という範囲ですが、おざなりにするとそれ相応に、手をかければかけた分だけ完成度が高まる、自分の気持ちが表れる分身のような存在です。

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