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いじめ受ける子は「“逃げる”選択肢が浮かばない」マンガ原作者の想い、原因に貧困、格差、教室カーストも影響?

「いつまで耐えれば…」苛烈ないじめを受けている高校生の少年が、日々の痛みや強いストレスに耐えきれず、いじめっ子に強要されるがまま校舎の屋上から飛び降りてしまう。しかし死を覚悟した瞬間、少年にある特殊な“能力”が宿り…。マンガ『いじめられっ子に花束を』(LINEマンガ)で描かれるのは、理不尽な暴力に立ち向かう「学園ケンカ」ストーリーだ。いじめをテーマにした痛快なバトルアクションが見どころだが、同時に家庭の貧困や格差社会、教室カーストなどさまざまな社会問題もリアルに盛り込まれている。原作を手がけた捨勇(すていさむ)さんに、作品に込めた想いを聞いた。
■『いじめられっ子に花束を』(外部サイト)
原作:捨勇/作画:エスプレッソ佐藤
「いつまで耐えれば僕は…」 私立の進学校へ入学した山田一は、貧乏な出自から校内でいじめの的となっていた。ある日、苛烈ないじめのストレスに耐えきれなくなった一は、強要されるがままに校舎屋上から飛んでしまう。 落ちながら死を覚悟したそのとき、彼の身にある能力が宿る…。いじめられっ子が手にしたその力は、はたして反撃の狼煙となるのか。 理不尽な暴力に立ち向かう、学園ケンカドラマ。

◇『LINEマンガ』にて毎週水曜更新で連載中。
漫画の1話目はコチラから(外部サイト)

いじめ受けるつらい人生、怯える日々に「どんな人間に育つのか」

 舞台は私立の進学校。「親の権力」が生徒のステイタスに大きくかかわるなか、いじめられっ子の主人公・山田一は、なぜかうっかり受験に合格して入学できた貧困学生だ。学費は奨学金で、学力は勉強漬けでようやくギリギリのライン。母子家庭で育つが、議員秘書を務めていた父親が自殺してしまったという暗い過去を持つ。一方、いじめの主犯格である平戸優は、学力優秀でスポーツ万能なイケメン。祖父は学校の理事長で父親は政治家というエリート一家だ。
――クラスの誰も歯向かえない平戸くんの理不尽な暴力に、“弱い立場”である山田くんが特殊能力を手にしたことで、反撃できるのか。成り上がりバトル物語が縦スクロールのwebtoon形式で描かれます。冒頭から過激な描写がハラハラさせられます。

捨勇さんwebtoon作品のなかでも「いじめ」は注目される題材ですので、連載を目指すにあたって挑戦してみようと思いました。

――いじめられっ子の山田くんの心境を読むと、本心は暴力での反撃を望んでいるわけではなく、日々を平和に過ごしたいと思っている様子です。弱者が強者をやっつける、いわゆる“ヒーロー物語”とは一線を画す作品です。

捨勇さん彼のような人生を過ごした場合、いったいどういう人間に育つのか。出来る限りリアルに描くことで、読者が感情移入しやすいよう気を付けました。山田一という人物を通して、物語の世界に入り込んでいただけたら幸いです。

――一方の平戸くんは、常識が通用せず、親の権力で思うままにふるまうわかりやすい“悪役”キャラです。ぶっとんだ性格ですが、じつは現実にいそうな雰囲気も漂って不気味な存在です。

捨勇さん「学園もの」というリアリティラインのなかで、どれだけ強く、凶悪で、気持ち悪い存在が描けるかどうか。さらにその上で、キャラクターとしてどれだけ好かれることができるか、というところに挑戦しました。私以上に、読者のみなさんに愛着を持っていただけたら嬉しいです。

“特殊能力”で強者に反撃、いじめが「今現在の脅威」から「過去のトラウマ」に

――いじめの強いストレスで思考が停止した山田くんは、いじめっ子に強要されるがまま校舎の屋上から飛び降りてしまいます。とてもリアリティのある生々しいシーンでした。

捨勇さんいじめの描写については、基本的に想像だけで書いています。「いじめ」という行動そのものは、猿などの動物社会でも発生するくらいに原始的な行いだと思いますので、おそらく全人類が、そもそもいじめをしてしまう心というものをどこかに持っているのではないでしょうか。

――山田くんはどんなにひどいいじめを受けても、やり返したり退学したりすることなく学校へ通います。いじめに加担するクラスメイトの、「根性があるんだか、ないんだか」というシーンが印象的でした。

捨勇さんいじめに限らず労働などでも、人は“強いストレス”を受け続けると正常な判断ができなくなるものです。それで、“逃げる”という選択肢が浮かばなくなっている人というのは、現実にもたくさんいるのではないでしょうか。山田もその一人というイメージです。

――クラスメイトも教員も、いじめを知りつつ隠ぺいします。孤独な存在である山田くんは、それだけ追い詰められているということですね。

捨勇さん周囲に味方を作るためには、多少の運か、ある程度のコミュニケーション能力が必要だと思っています。山田は運の悪さもさることながら、コミュニケーション能力を伸ばす機会を得られなかった少年なので、自然と味方はいないという設定になったんです。

――山田は特殊能力を得て、ついに平戸に反撃できたにもかかわらず、“仕返し”を恐れて自殺まで考えます。いじめの深い傷は決して癒えることはないというメッセージもうかがえました。これから山田は、どんなふうに強くなっていくのでしょうか。

捨勇さん心根、価値基準が小市民なところは変わらないようにしたいと思っています。いじめが「今現在の脅威」から、「過去のトラウマ」になることで、山田の行動が大きく変わっていくと思います。
■「日本いのちの電話連盟」
ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時〜午後10時)
フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時〜午後9時/毎月10日・午前8時〜翌日午前8時)
■『いじめられっ子に花束を』(外部サイト)
原作:捨勇/作画:エスプレッソ佐藤
「いつまで耐えれば僕は…」 私立の進学校へ入学した山田一は、貧乏な出自から校内でいじめの的となっていた。ある日、苛烈ないじめのストレスに耐えきれなくなった一は、強要されるがままに校舎屋上から飛んでしまう。 落ちながら死を覚悟したそのとき、彼の身にある能力が宿る…。いじめられっ子が手にしたその力は、はたして反撃の狼煙となるのか。 理不尽な暴力に立ち向かう、学園ケンカドラマ。

◇『LINEマンガ』にて毎週水曜更新で連載中。
漫画の1話目はコチラから(外部サイト)

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