• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
ORICON NEWS

指原莉乃、「おばさんポジション」で新境地 中居をはじめ先人たちから吸収したMC術の強度

  • 指原莉乃 (C)ORICON NewS inc.

    指原莉乃 (C)ORICON NewS inc.

 10月から新番組『超無敵クラス』(日本テレビ系)、『100%! アピ〜ルちゃん』(MBS・TBS系)がスタートするなど、MCとして引っ張りだこの指原莉乃。これまでは年上共演者のなかで“若者代表”としての意見を番組で述べることが多かったが、『超無敵クラス』では10代の女子高生とトークを。あえて「もうJKについていけない」という立場をとり、年上の共演者と同じ側に立ちながらも、場面が切り替わると若年層とも積極的に会話を展開。いわば、若年層との“橋渡し役”だ。円滑に番組を進めるためにキャラを演じる展開は、中居正広もよく行っていた手法。同じアイドル出身でMCを極めた2人。その共通点とは?

『超無敵クラス』で見せた“おばさんポジション”で新境地

 『超無敵クラス』は、総フォロワー数1000万人を超える令和最強の10代の女子高生たちと芸能人が世の中のあれこれを発表し合うトークバラエティー。MCは芸人のかまいたちと指原莉乃だが、山内健司はひな壇側に。これまで何度か特番で放送されていたものがレギュラー化された。

 10月19日の放送では最初のトピックスで、「今のJKはふくらはぎに命をかけている」という話題に。かまいたち山内は「まったく意味がわからない。どうでもよくない?」とコメント。指原も「ふくらはぎ、気にしたこと一度もない」と同調し、ふくらはぎが第二の顔と主張するJKに「えっ!?」と驚がく。その後、矛先は指原に向き、JKたちから「ふくらはぎを見せて!」という流れに。戸惑いながらも指原らしいノリの良さで披露していた。

 そんな『超無敵クラス』の特番時代、指原のYouTubeには特番収録時の裏側で、かまいたちとどんな会話が交わされたかが収められており、山内は「この番組に出ている子は若いから、悪いけどさっしーがおばちゃんに見える」とポロリ。それに対し指原は「(これまで)おじさんとしかテレビに出てないじゃないですか、私。若い子役しかやったことないから、オバさん役どうしようと思って(笑)」とリアルな思いを吐露していた。

 だが昇格してからの放送を見ると、その心配をよそに、先述の例のように見事に“橋渡し役”としてトークをつないでいる。JKからは想像もつかない話題が出てくるので、半分は本当に驚いているのかもしれないが、「指原が分からないポジションにいる」という同番組の作りは、これまでの指原のMCスタイルとは異なる新鮮さが感じられる。

周囲のことをよく観察しているからこそつらぬける“分かっていないキャラ”

 「MCが要点を分かっていない立場でトークを進めるのは、基本中の基本の技術」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。「とくに明石家さんまさんや中居正広さんは分かりやすいですね。『恋のから騒ぎ』(フジテレビ系)では、さんまさんが“バカな男のフリ”をして素人女性の恋愛ネタを聞き出し、爆笑の展開に。さんまさん自体がきっかけとなって笑いが起こるのではなく、さんまさんへの素人女性のコメントや反論がきっかけで笑いが起こっていました。中居さんも視聴者が思わず信じてしまうほどの“鈍感キャラ”を貫くときがある。『中井正広のブラックバラエティ』では、その立ち回りを指摘されたことがあります」(同氏)

 それは2012年、『中居正広のブラックバラエティ』(日テレ系)にKinKi Kidsの堂本剛が出演した時のこと。家庭を持つためにしっかりとした家族像を思い描きながらも、「自分の妻や子どもたちはいや応なしに世間から好奇の目にさらされ、知らないところで家族に迷惑をかけてしまうのではないか」などの不安を堂本は吐露。そんな中、中居は堂本の話を茶化したり、恋愛や結婚についてなぜ女性はこの行動をとるのか「分からない」という立場をつらぬいていた。

 ここで堂本が中居にこう発言。「中居さんは、昔っからもう神経質ですから。だからそういう細かいことも全部気にしている人なんですね。僕に今こうおっしゃってますけども。だから、今日も僕がこういう話をしやすいために、あえてこのキャラをやってくださってます」。たまらず中居は「バラすなよ!」というニュアンスでギロリと眼光を向け(もちろんそれも冗談で、笑いに変えるかたちで)トークを展開していた。
 
 明石家さんまを始め、MCは細かいこともすべて把握したうえで、気にすることができている。だからこそ、“分からないポジション”で立ち振る舞えるし、視聴者とコメントをする人の“橋渡し”の役割も果たせている。指原が今、MCで見せているトーク展開も過去の大先輩たちと類似性があるのではないか。

どう対応するか…「想定できる先輩がたくさんいるのはすごいことだと思う」

 MCとしてのキャラクターは、周囲の共演者たちが一緒に作ってくれるものでもある。新番組『超無敵クラス』では、かまいたちが。『100%! アピ〜ルちゃん』では麒麟・川島明が指原とともにMCを務めるが、どちらも能力の高さがたびたび話題になるMC陣。それぞれ手法は違っているが、それがさらに指原に新たなカラーを付与するのだ。指原自身も環境の大切さを痛感しているようで、過去のORICONNEWSのインタビューではこのような発言をしている。

 「MCをさせていただくことが増えて、脳内で「この人だったらどうするだろう」と想定できる先輩がたくさんいるのは、すごいことだなと思います。(フットボールアワー)後藤(輝基)さんや、坂上(忍)さん、今田(耕司)さん、中居(正広)さんなど、いろんな人がパッと浮かぶのは、仕事に恵まれて、いろんな吸収をさせてもらっているからだと感じます。ただ、MCはあまり得意じゃないと思っているので、ひな壇の皆さんやゲストの方に支えていただきながら頑張っている状況」(2021年4月掲載)

 非常に謙虚だが、前出の衣輪氏は「そもそも指原さんの俯瞰力、能力の高さがなければ成り立たない状態」と解説する。「今年7月に放送された『極楽とんぼのタイムリミット』(AmemaTV)で、加藤浩次さんは指原さんについて、『さっしーは短いセンテンスでスパッと入れていくのが本当にうまい』と称賛。藤森慎吾さんも『共演したら驚愕します』と応じ、西野未姫さんも『指原さんは、“使われるだろうな”ってコメントを一言で言うようにしているそうです』と話しています」

 「実際、2017年の『有吉反省会』(日テレ系)では、野口五郎さんが『指原の発言はネットニュースになるので怖い(共演したくない)』と裏付けるような発言を。また同年のAmemaTV『テレビじゃ教えてくれない! 業界裏教科書』では陣内智則さんが『指原は頭が良い。立ち振る舞いというか、立ち回り方が何通りもあるというか、こっちに行った方が良いという臭覚がすごいですよ。あと、ほかの女性タレントを凌駕する危機管理能力の高さ。最悪なことを絶対免れることを彼女は瞬時に考えている』と分析。2016年には当時首相だった安倍晋三氏が『ワイドナショー』(フジ系)に出演。『指原さんは政治家に向いている。ざっくばらん、言いたい放題言っているようで、決してこれを超えてはいけないってところは超えない』と安倍さんお墨付きでした」(衣輪氏)

 女性でMCがバリバリできる、しかも若手のタレントはそういない。おばさんポジションを手に入れ、この先の10年20年、彼女がどんなMCになっていくか。男性ばかりのMC業界に、彼女が風穴を開ける未来を期待したい。

(文/中野ナガ)

あなたにおすすめの記事

 を検索