「最大限=est」の輝き SixTONESが起こした奇跡はエンターテインメントの制限をも超えた!?

 『on eST』──それは「最上級のステージ」。コロナ禍という戦後最大の災厄の中、それでもファンの前に立てる喜びを噛み締めつつ、自分たちにできる「最大限=est」のパフォーマンスを届けたSixTONESの横浜アリーナ公演がDVD&Blu-rayとして映像化される。force、powerful、moving、どれを取っても「est」である彼らの放つ輝きは、いかなる制約をもはねのける存在感だった。マスク着用+歓声禁止という環境のなか、松村北斗が「ある意味、覚悟が必要だった」と語るオープニングのシルエットの演出、田中樹から発せられた「心の中で叫んで!」という掛け声…。限界=厳戒の中、模索したこの“有観客ライブ”で、彼ら、そして我々は一体、何を見ることができるか。

静寂の中からシルエットで登場! そして“奇跡”が降臨した

『on eST』(通常盤)

『on eST』(通常盤)

 今年1月のファーストアルバム『1ST』のリリースと共に始まった全国アリーナツアー『on eST(オン エスト)』。そのツアーの中から、6月に行われた横浜アリーナ公演が『on eST』には収められている。会場ごとの動員上限、そして歓声禁止という中、ファンたちは歓声の代わりにペンライトを振り、コール&レスポンスに代えて手拍子を届けた。聞こえないはずなのに、ファンの歓声が聞こえるような気がする…。それほどまでのお互いの心が通じ合ったこのライブは、その空気感と熱量までも画面越しに伝わってくるはずだ。

 最初に映される横浜アリーナ内の光景。カラフルなペンライトの光は舞っているものの、その場は静まり返り、いかにも厳戒態勢。異世界のような違和感も覚えさせる。その摩訶不思議な空間を重低音が覆い、次にスクリーンに『on eST』の文字が。“狂おしい”ほどの静寂とファンの“愛”が溢れた中での開幕。静かに走り出した曲はこの場に最も適した楽曲『Mad Love』だった!

 6人のシルエットだけのパフォーマンス、あやしい吐息、不意に耳元で放たれたような吐息。グルーヴィーでアンビエントなミュージックに合わせ、顔を寄せ合うように近づくジェシーと田中樹。6人の鼻筋や唇、まつ毛の先まで、シルエットで繊細に映し出される演出には驚かされるばかりだった。

 同作の通常盤に付いている「DOCUMENT“on eST”」で、松村北斗はこの演出意図を「ある種、心のなかに覚悟がないとできなかったと思うんですよ。オープニングで最初出てきたら、一秒でも早く会ってあげたい想いもあったけど、(今回の演出は)会いに来て、目の前で動いているんだけど、いないかもしれない。そこの覚悟。だから映像にせずに毎回動いていて、“気持ち”を根源にパフォーマンスができた。曲で始めたのは、SixTONESの覚悟だった」と語っている。

 そんなSixTONESならではの“曲の世界観”を体現したパフォーマンスが、本ライブの主軸に。勇壮な舞とともに、この世の始まりを告げるかのような、時に静かな地響きのような、時に魔術のような、そして時にファンファーレのような彼らの歌声が世界を満たしていく。『Dance All Night』とやや暗めのリストで進んでいくが、松村北斗が肩をはだけウインクをして魅せる『Telephone 1ST ver.』『S.I.X』あたりから爆発。そしてギラギラ&オラオラの境地『Special Order』に流れ込んでいく。

SixTONESの真骨頂『Special Order』は、ステージならではのアレンジが

 「フォウ!!」。ジェシーが雄叫びを上げる。同時に動き始めるメンバー。圧倒的センター、SixTONESの帝王。いや、あえてここは「ジェシー様」と呼ばせてもらおう。ジェシー様のゴリゴリのドスの利いた「LALALA」から他5人もガッチガチのパフォーマンスと歌を轟かせていく。

 まず高地優吾(高ははしご高)の優しい癒やしボイスのソロ、即座に斬り込むようなシャウト。森本慎太郎の鼓膜をなでるような高音がつなぎ、再びジェシー様へ。真紅の炎を思わせる圧倒的声量と煽りが曲の世界観を高めていく。さらに田中樹の喉を潰すような低音のラップと、まるで真逆の高音の空気を震わす美声、優しい声の京本大我から松村北斗へとハシゴする“きょもほく”に、田中樹のラップ「BANG BANG BANG」の隣で自分の頭を撃ち抜くパフォーマンスで細かいところまで演出する森本慎太郎。まさにSixTONESの真骨頂と呼べる楽曲、パフォーマンスだ。

 バラエティ番組でのSixTONESとパフォーマンスをするSixTONESのイメージが驚くほど違うのはよく知られている。だがまた、ステージでの『Special Order』ではオリジナル音源ともまったく違う歌声が彼らの肉体から喉から舌から発せられる。生の迫力、生の魅惑、生々しく、その魅力はあまりに憎々しい。有観客だからこそ魅せられた彼らの境地は是非、映像で確認してもらいたい。

 このほかYouTubeでもアップされMVが大反響を読んだ『Strawberry Breakfast』。最後の『Imitation Rain』⇒『ST』⇒『Lifetime』の流れは、デビュー曲の「イミレ」から、激しいロックの「ST」で一気にボルテージをあげ、最後バラードの「Lifetime」で歌をしっかりと聞かせるという構成だった。この『Strawberry Breakfast』と『Lifetime』は初回盤にMVがついているので注目だ。

珠玉のユニット曲たちが、SixTONESの硬度をダイヤモンド以上に高めていく

 この粒ぞろいの宝石の原石たちは6人で1つだが、それぞれのユニット曲もまた、カラフルで輝かしい。まず、地元が同じ高地優吾と森本慎太郎による『My Hometown』。ビジョンには彼らの地元・横浜のスポットが映し出され、横浜アリーナとの一体感を上げる。もう説明は不要だろう。ここにあるのは“癒やし”だ。ガチガチゴリゴリオラオラのSixTONESステージにあって、この場はオアシス。2人の癒やしの歌声からは優しい潮風が、明るい太陽が、郷愁が、軽い足取りで歩く旧友たちの笑顔が感じられる。セクシーなパーマ姿の森本慎太郎の笑み。曲終わりにダブルピースでおどけてみせる高地優吾の瞳の輝き。途中、何度も感動で背筋が震えたのは筆者だけだろうか。

 ほか忘れてはならない『ってあなた』。愛を唄い上げる「きょもほく」こと京本大我と松村北斗の高音(京本)低音(松村)のハモりは、SixTONESの中でも特別中の特別だ。激しいパフォーマンスが中心=「動」のSixTONESにおいて、この楽曲は「静」。「静」でありながら力強く、力強いのになぜか儚くもろい。理不尽や矛盾を抱えた「きょもほく」の歌声は、王道であり、なおかつ異質であるから我々の心に残り付けるのだろう

 ジェシーと田中樹による『EXTRA VIP』もまた2人の良さが存分に発揮される名曲だ。田中樹のラップにはある独特な特徴がある。ラップは基本的にビートを刻むものなのだが、彼はそこにメロディーを加えるのだ。端的に換言すれば、刻んでいるのにメロディアスなのである。その田中のメロディアスラップにジェシーの打って変わってのセクシーボイス。原曲と聴き比べると分かるがジェシーのこのステージでのアレンジがかなりエグいことになっている。これは是非、実際に観て確認してもらいたい。

声を発せずともペンライトの光が6人との心をつなぐ

 この『EXTRA VIP』で目を見張ったのは、観客のペンライトが2人のメンバ―カラー、青(田中)と赤(ジェシー)にキレイに色分けされた演出。このようにジャニーズのライブでは、ペンライトの文化がある。ここまでは他のグループと同じだが、SixTONESのファンに至っては、そのペンライトの打点が高い。簡単に言うと、ファンたちがペンライトを振る熱量が異様に高いのだ。特に『Special Order』や『EXTRA VIP』、『RAM-PAM-PAM』では、メジャーリーガーも真っ青。大谷翔平選手をも超える(?)打率の高さが感じられる。

 おそらく、ファンもコロナ後、延期になりながらも初の有観客ライブを心待ちにしていたのだろう。ファンのペンライトはいつもより多く動いている印象を受け、さらにはそれが、SixTONESの輝きを反射し、反映し、そしてボルテージを高めていた。

 そんな中、アンコールで披露されたのが『この星のHIKARI』だ。この曲はライブではファンとの掛け合いの曲として親しまれている。最後のサビはファンに歌唱を求めるパートもある。この通常のやり取りはこのコロナ禍でかなわない。そこで田中樹が切り出した言葉が「じゃあ、みんなの心の中で歌って」だった。ファンたちのレスポンスは当然ペンライト。     

 映像を見ていると、ふと聞こえてくる。そのペンライトから、赤から、ピンクから、白から、黄色から、緑から、青から、横浜アリーナを埋め尽くす大歓声が。物理的な制限があるからこそ、感性で、心で、それが感じられる。声がなくとも心で通じ合える。かえってメンバーとファンとの心の距離は近かったのではないだろうか。さまざまな想いを交錯させられたのではないだろうか。

 そんなミラクルを起こせたこと、無歓声のライブを成立させたこと、そしてそれを感じられる奇跡があなたの“手の中”にあること。この作品はコロナ禍であえぐ現在のエンタメシーンにおいて、未来への希望が込められた原石の輝きに違いない。エンタメはすべての壁を超える。QED。『on eST』はそれを証明したと言えるだろう。

(文/衣輪晋一)
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