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『ハサウェイ・ノア専用νガンダム』に宿るアムロ・レイの魂 モデラーが紡ぐ同機誕生の背景
巨大な三角に見えたクスィーガンダムをスタイリッシュにしたい
ル・クルーゼ正直、原作を知らないし、クスィーとペーネロペーのデザインも好きではなかったので、あまり期待していませんでした。ところが、見終わる後には過去最高のガンダム作品に。初めて同じ映画を劇場で2回見ちゃいました(笑)。
――それはすごいハマりようですね。具体的にどんなところがすごかったですか?
ル・クルーゼ冒頭の市街地戦でのリアルなモビルスーツ同士の戦闘描写で戦争の怖さを感じました。また、ハサウェイや、ギギ、ケネス、レーン、ガウマンなどのキャラクターも魅力的。最後のクスィー VS. ペーネロペーの迫力ある戦闘シーンは鳥肌モノでした!
――確かに迫力のシーンに目がいきがちですが、登場人物の心の機微が細かく描かれていましたね。SNSで話題になった『ハサウェイ・ノア専用「試作ミノフスキークラフト装備型νガンダム」』も映画をきっかけにイメージがわいたのですか?
ル・クルーゼそうですね。映画で見たクスィーのカッコ良さに一目惚れをしたのですが、ツイッターには次々とかっこいいクスィーがアップされておりました。なので、そのなかでも目立たせるためにどうすればいいかと考え、自分の作風でもある、設定通りではない人とは違うオリジナルクスィーをミキシングで作ろうと決めました。
――なるほど、そのアイデアとしてνガンダムとのミキシングを考えられたわけですね?
ル・クルーゼそうですね。クスィーはかっこいいのですが、全体的にスタイルが悪く、巨大な三角にしか見えなかったので、スマートでスタイリッシュにしたいなと思いました。しかし私は元キットを改造してスタイル変更する技術がないので、手っ取り早く同じ系統のνガンダムにクスィーのパーツを着せて、強化アーマーのようにした方が違和感ない理想的なスタイルになるなと閃きました。
回収されたνガンダムに宿るアムロの意志から物語をイメージ
ル・クルーゼ実はこの作品の前に、シャアの意志のみを受け継いだハサウェイ専用機「サザビー typeペーネロペー(通称サザペー)」を制作していたので、今度はアムロの意志のみを継いだ機体にしてみました。
――なるほど、シャアとアムロ、それぞれの意志を反映したモビルスーツをサザビー、νガンダムという搭乗機で表現されたわけですね。本機制作の背景に、どのような物語をイメージされたのですか?
ル・クルーゼアクシズショックでアムロが行方不明になり、宇宙空間に漂っていたνガンダムの機体のみが回収。ハサウェイは、(連邦軍の味方である)チェーンを撃墜してしまったことに対し、アムロに負い目を感じ、苦悩します。そんな時、ブライトに勧められてハサウェイは正式に連邦軍に入隊。回収されたνガンダムを専用機とし「アムロの再来」と呼ばれるほどのエースパイロットに急成長を遂げます。なぜならそのコクピットにはアムロの魂が宿っていたから…みたいな物語を妄想しました(笑)。
――アムロの意志が生きるνガンダムは強いですね。本作制作時に大変だったのはどんなところですか?
ル・クルーゼ何より苦労したのが、クスィーとνガンダムが同じ1/144スケールなのにサイズが全然違うところ(笑)。組んだ時に違和感なくできるか心配でしたが、幸いアーマーとしてならワンサイズ大きくてもそれらしく見えたので結果オーライでした。あと、苦労ではありませんが、私は筋彫りやプラ板工作ができないので、デカールワークは特にこだわって、自分の個性を出しました。
――確かに迫力が増し、デカールによってスタイリッシュな印象になりました。完成作を発表されると、多くの人からたくさんのいいねや、コメントが寄せられましたが、これらはどう受け止めていますか?
ル・クルーゼ妄想を爆発させ、ありそうだけどなかったという隙間をつき、劇中にも出てきそうな違和感ない機体を作ることを信条としているので、サザペーも含めて、自分史上最高に頑張った2体に達成感を感じました。
――こういったSNSを通じてのコミュニケーションも、ガンプラモデラーの一つの交流の在り方になっていますね。
ル・クルーゼSNSが普及した現代ではガンプラを通じて同じ趣味嗜好をもつ全国各地のモデラーさん達と出会い、仲良くなることが出来、ひとりで楽しむ趣味から、皆で一緒に楽しむモノに変化してきました。ガンプラやってて良かったなと思います。