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酒に酔った母親の元彼からひどい仕打ちを受けた子ども時代を振り返り…「家族にはなれなかった」女性の後悔
「家にいる時は常に緊張状態、安らぐことはできなかった」
「毒親にスポットを当てた漫画を描きたいと思ったのが、一つのきっかけです。大人になった今、幼少期の事を色々俯瞰して見た時に、母の元彼自身が抱えていた孤独や生い立ち、何を抱えていて何が彼をそうさせたのかを考えたことがあって。
私が知っている事実を元に、当時の自分が感じていた事や今の思いを噛み砕いて漫画にしました。正直漫画を描くことに関しては素人で教えてくれる先生がいるわけでもありません。拙い技術で完全に手探りですが登場人物それぞれに味方ができるように描きたかった。誰の肩を持つのか、または誰も悪くないと思うのか。この漫画がどう伝わるのかは読んでくれた方の自由です」
――漫画のラストで、お母さまの元彼である“ぴんちゃん”の幸せを願う記述があったのが印象的でした。いま振り返ってみると“彼”はどのような存在でしたか?
「ピンちゃんのイメージは“不器用”で“陰湿”。例えば漫画にも描いているのですが、私の靴を隠されたりした時は衝撃的でしたね、『なんでそんなことをするんだろう?』の連続でした。彼との生活が苦痛だったのは事実です、でも“悪人”では無かった、母が時々ヒステリックに私を殴ったりした時は決まってピンちゃんは止めに入ってくれました。感覚的には“理不尽な生活指導の先生”でしょうか…。
最終的にはお酒に依存し母を殴ってしまったり、何年間も仕事せずに飲み歩いてたり、到底許せない部分はたくさんありますが恨んではいません」
――弟・妹たちがいて、長女として家族を支えていた側面もあったのではと思います。ママの彼氏と同居をしていた子どもの頃、にしむらさんが一番つらかったことは何ですか?
「家に帰るのが一番つらかったです。学校から帰ればすでに酒に酔ったぴんちゃんが居ましたから。彼はお酒に酔うと感情の起伏が全く読めなくなる人でした、さっきまで笑っていたのに突然怒鳴られる。家にいる時は常に彼に対してビクビクしていて緊張状態、全く安らぐ事はできませんでした。
それでも家には兄弟達が居るから、私がいない間に兄弟達に何かあったらと思うと真っ直ぐ家に帰らざるをえませんでした」
唯一の肉親ではあったけど、絶対的な味方ではなかった”母”
「母は、彼の性格に難があるのは知ってましたが、度々ご飯を作ってもらえないことがあったり、物を隠されたり、携帯の中身を好きな男の子とのメールのやりとり含め隅々までチェックされたり、そういった事が日常的に行われてる事は知りませんでした。知ったら彼に怒ったでしょうね。告げ口したことで母がいない時に彼に何されるかわからなかったので言わなかったんです。
当時の母は私達にとって絶対的存在でした。唯一の肉親なので恐らく他のご家庭から見たら異常を感じるほど私達は母に依存してました。母が右と言えば右、左と言えば左。彼女の意見に意を唱えるなんて言語道断。盲目的に母を信じていました。そんな母がどんな親で、これまでどんなことがあって、大人になった私が母という存在に対してどのような結論を出して、今どのような関係なのかを、少しずつ整理しながら“最強の母が毒親になった日”として描き始めました」
――妹さん・弟さんと話すとき、当時を振り返ることはありますか? 皆さんはどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。
「ママの彼氏に対しては、全員同じ気持ちなんじゃないでしょうか。母と彼が別れた後に“そんなこともあったね”って時々思い出話として話題に登る事もありましたがピンちゃんに対する愚痴は少なかったです。もう過ぎたこと、仕方なかった事として全員上手く自分の心に折り合いをつけていると思います」
――「最強の母親が毒親になった日」など、エピソード描かれています。SNSで漫画エピソードを発信していくことで、今後どのようなことを伝えていきたいですか?
「最初の回答と重複してしまいますが、これからも手探りです。私の漫画を読んだ方に“何が伝わるのか”は正直わかりません。ただ、登場人物全員それぞれに味方ができるように描きたい、“誰が悪いのか”“何がいけなかったのか”“自分だったらどうしていたか”、私の漫画を読んでくれた人の中に少しでも考えてくれる人がいればそれでいいと思っています。そのような描き方をする事で私自身が批判を浴びたり、沢山の方からお叱りを受ける日も今後必ず来ると思います、返信できる事は少ないかもしれませんが全てに目を通し真摯に受け止める覚悟を持って今後も発信を続けていく所存です」
にしむらあおい Instagram
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