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単なるギャル括りでは計れない? みちょぱ&ゆきぽよ、“令和ギャル”二大巨頭の異なる戦略
おバカで明るくて破天荒…90年代に興ったギャルムーブメント
“ギャル”という言葉自体ができたのは1972年。ジーンズブランド『ラングラー』が『Gals』という女性用ジーンズが販売されてから広がり始め、1973年に生まれた渋谷PARCO、1979年誕生の『SHIBUYA-109』などのニューファッションに身を包んだ女性が当時“ギャル”と呼ばれた。さらに専門雑誌も生まれたことで、“ギャル”はひとつのカルチャーに。 “ニューファッションの最先端のオシャレをする女性”から、ひとつのジャンルとして独立した。
この後、ギャル雑誌モデルがタレントとしてテレビ出演するようになる。まずは着用した服やアクセサリーが瞬く間に売れるなどの『100億円ギャル』こと益若つばさを筆頭に、安西ひろこ、木下優樹菜、若槻千夏、小森純、鈴木奈々など、次々にギャルタレントがヒットしていった。
彼女たち“ギャルタレント”に共通していえるのは、若さや可愛さが“売り”であり、“常識知らずでちょっとおバカ”。怖いもの知らずの素人っぽさも売りになっており、それゆえの破天荒発言が魅力とされてきた。
体を張って汚れ役もいとわない、”ギャル武士道”を体現するゆきぽよ
スタジオトークも得意だが、実はひとりでロケもこなせる実力の持ち主でもある。『相席食堂』(朝日放送テレビ)に出演した際は、ロケの王者ともいえる千鳥からも「ゆきぽよのロケ好き」「テンポ良いし、みんなに好かれる」と称賛され、無茶振りも笑顔でこなした。体を張る仕事も多く、『アイ・アム・冒険少年』(TBS)では、無人島から脱出するハードな企画にも挑戦。ギャルの禁忌・すっぴんも披露した。
「ゆきぽよさんは、『人前ではブーツが脱げないほど足がくさい』などの人間らしい、自然体な姿も臆さずぶっちゃけています。これは父親からの影響がありそうで、過去のインタビュー(『KKベストセラーズ』/2019年)では、父から「自分が思っているほど、周りは自分のことに対して何も思ってない」と教えられたとのこと。そんな父からは一度も怒られたことがないらしく、親の愛情にも恵まれている。周りの目を気にしない、愛情、この二点があるゆえに芯がブレず、写真集やグラビアで美しいヒップを披露することも『私がやりたかった、それが何か?』と気にしないでいられるのではと考えられます」(衣輪氏)
ぶっちゃけぶり、破天荒ぶり、体を張ってよごれをやっても気にしないその感覚を見ると、90年代後半から続く本来の“ギャルタレント”っぽさをある意味で、武士道のように受け継いでいるのが、ゆきぽよと言えないだろうか。
「無理はしない」「NGも言う」“新世代ギャル”を高らかに宣言したみちょぱ
頭の回転が早く、大御所にも物怖じせずストレートな物言いを得意とする。そうした部分ではゆきぽよと酷似しているが、仕事に対するスタンスはやや異なる。先日、『日刊SPA!』が行ったインタビューで、みちょぱは「体張る系とかグラビアとかNGにしている仕事も結構多い」と発言。つまり独自のスタンスを確立しており、さらに同インタビューでは「同世代の女性タレントが多いから比べれることも多いけど、(藤田)ニコルにはニコルの良さがあるし、私は私の良さがあると思うので、他人はあまり意識してない」とも話している。
「みちょぱさんは『無理をしない』『なんとかなるさ』感が強い。『テレビに出たい!ってガツガツした気持ちはない』とも語っていますが、彼女は“第七世代”と呼ばれる芸人たち同様、ネット番組やYouTubeなどのテレビ以外のメディアになじみも深く、そのため、テレビ出演を“絶対視”していません。前出の『アメトーーク!』では、アンガールズ田中卓志らがみちょぱにセクハラ発言をしてもそれを上手にスルーする面も賛美されていましたが、その様は、21歳ながら“高級クラブのママ”的なまったり緩い空気感を持っているようにも見えます」(衣輪氏)
“静のみちょぱ”、“動のゆきぽよ” 人柄の良さや実力で独自のスタイルを確立
雑誌のギャル企画を担当したこともある衣輪氏は「二人の違いについてギャルたちにアンケートを取ると、ゆきぽよは全体的にギャル色が強く、みちょぱはおとなしめとの回答が。ギャルに憧れてギャルになったゆきぽよと、渋谷で遊んだりモデルをしているうちにギャルになったみちょぱの経歴とも一致し、興味深かったですね」と調査結果を語る。
新型コロナの影響で、大勢のタレントが参加する番組が減ったため、ますますタレントの椅子の取り合いが厳しくなっている。前述の二人はもちろん、藤田ニコルやフワちゃんなど、自分の意見、またはその世代を代表するような意見を、キャラにあった等身大の言葉で言えるタレントが求められる時代のようだ。ギャル人気は今後も続きそうだが、めまぐるしく動き続ける世の中と芸能界。既に全く新しい”第三のギャル”がブレイクのタイミングを図っているかもしれない。
(文/西島亨)