ORICON NEWS
“救えなかった仲間”を想い自問自答する『ダルク』スタッフ、「刑罰で薬物依存症は治らない」
まず理解すべきは「薬物依存症は決して完治しない病気」であること
そもそも田代容疑者がスタッフをしていた『ダルク』とは、薬物(覚せい剤、アルコール、シンナー、精神安定剤、睡眠薬、などの様々な薬)をやめたくてもやめられなくなる薬物依存症に陥った人達が回復を目指す民間のリハビリ施設のこと。『ダルク』では、“薬物依存は決して完治しない病気”という認識の元、リハビリのプログラムを日々行っているのだそう。
『岐阜ダルク』のスタッフ・山田氏もまた、覚せい剤で3度の逮捕歴を持ち、現在も施設で薬物依存症と向き合う一人。元々山田氏は、役所に勤め家庭も持っていたのだが、36歳の時に知り合いに覚せい剤を勧められ、『今日だけ』の軽い気持ちで手を出してしまったという。
「最初は執行猶予がつきましたが、『やめよう、やめよう』と思っていながらも再び覚せい剤に手を出し2度目の逮捕となりました。家庭は崩壊し、職も失う地獄を見ながら、その後も覚せい剤で3度目の逮捕…。もはや自分だけではヤメられないことに気づき『ダルク』に連絡しました」(山田氏)
『岐阜ダルク』は、田代容疑者がスタッフをしていた施設とは異なるため、「田代さんがどのような仕事やプログラムに関わっていたかは詳しくしりませんが」と前置きしつつ、山田氏は「『ダルク』の基本方針は一貫していて、12のステップに基づいたプログラムによって新しい生き方の方向付けをし、各地の自助グループとの関係を繋げていくこと」だと強調した。
“過去の自分”を捨てる覚悟が無ければ過ちを繰り返す
そのため、『ダルク』では薬物依存症の改善を“回復”と呼ぶ。その点について「薬物依存症には完治がないから」と話す山田氏の言葉は重い。では、『ダルク』のプログラムを実践することで薬物依存症から回復できる割合はどれ位なのかと聞くと、「プログラムを続けられる人とそうでない人で明確に分かれる」とのこと。実は『ダルク』を途中でやめてしまう人や逃げてしまう人は多く、そういった人からは高い確率で刑務所や留置所から手紙が届くのだそう。
実際、本日配信された『AERA dot.』の記事に、田代容疑者を支援してきた月刊誌『創』の篠田博之編集長の「(田代容疑者は)最近は自分で、タレントとして仕事をとるようになった。ダルクに来る日もめっきり減っていたそうです。周囲も大丈夫なのかと気にかけていたら、今回の逮捕だった」というコメントが掲載された。田代容疑者にとっては生活するためのやむを得ぬ選択であったかもしれない。しかし、山田氏が語った“プログラムを続ける覚悟”の重要性を、不幸な形で裏付ける結果となってしまった。
薬物依存症の行きつく先はみな同じ「刑務所か病院か死か」
こうした共通の意識や連帯感を持って立ち向かわなければならないほど、薬物の恐怖は増しているという。山田氏は薬と距離を取るために「SNSは見ない」と話す。それは「今はSNSなどで簡単に薬が手に入ってしまうから」だという。続けて、「一般人でも入手が容易な時代だし、売人は夜になればいろんな所にいる。田代さんのような有名人なら、近づいてくる売人はいくらでもいたのではないでしょうか」と、薬物の逮捕者が頻発するエンタメ業界に対して山田氏は危機感を抱いていた。
「今日だけ」の軽い気持ちで人生の多くを失った山田氏。同じ思いはして欲しくないと前を見据えて語った。「薬物依存症の人がよく言うのが、『行きつく先はみな同じ』という言葉です。それは、“刑務所”か“病院”か“死”の3つだということです。だからこそ、“最初の1回”をなんとしても避けてほしい。自分も興味本位の1回で人生の全てが変わりましたから…」
そして最後に、田代容疑者に対して山田氏はメッセージを発した。「まだ今回の容疑がどうなるか分かりませんが、田代さんも刑罰では薬物依存症が治らないことはよく分かっていると思います。次に出所した際はもう一度、一緒にプログラムをやりましょう」
取材協力:『岐阜ダルク』山田興久
■INFORMATION■
◆チャリティーコンサート開催
『岐阜ダルク』主催でプロの音楽家の方々を招いてコンサートを開催。
・日時:2019年11月24日(日) 12:30開場 13:00開演
・場所:カトリック岐阜教会(岐阜市青柳町3-23)
・入場料:1000円(当日券もあります)
プロの音楽家の方々と『岐阜ダルク』の仲間との歌のセッションも実施。
収益は『岐阜ダルク』の活動費に使われます。
◆詳細はコチラ→http://www.gifu-darc.org/
◆チャリティーコンサート開催
『岐阜ダルク』主催でプロの音楽家の方々を招いてコンサートを開催。
・日時:2019年11月24日(日) 12:30開場 13:00開演
・場所:カトリック岐阜教会(岐阜市青柳町3-23)
・入場料:1000円(当日券もあります)
プロの音楽家の方々と『岐阜ダルク』の仲間との歌のセッションも実施。
収益は『岐阜ダルク』の活動費に使われます。
◆詳細はコチラ→http://www.gifu-darc.org/