• ホーム
  • 芸能
  • ピエール瀧、“専業俳優”には出せない存在感で独自のポジション確立 そのバックボーンとは?

ピエール瀧、“専業俳優”には出せない存在感で独自のポジション確立 そのバックボーンとは?

  • テクノバンド・電気グルーヴのパフォーマー・ピエール瀧。独特の存在感放つ俳優として地位を確立(C)ORICON NewS inc.

    テクノバンド・電気グルーヴのパフォーマー・ピエール瀧。独特の存在感放つ俳優として地位を確立(C)ORICON NewS inc.

 テクノバンド・電気グルーヴのパフォーマーとして、音楽ファンから絶大な支持をうけるミュージシャン・ピエール瀧。他方、俳優としても専業俳優には出せない独特の存在感放つバイプレーヤーのひとりとして確固たる地位を築いている。注目の秋ドラマ『陸王』(TBS系)では、ライバル会社の営業部長という敵役を演じ、映画『アウトレイジ 最終章』でも変質的なヤクザを好演。近年の大作、ヒット作になくてはならない逸材と言っても過言ではない。

“飛び道具”的な役割を超越! 必ず結果を残す俳優に

 ピエール瀧は、テクノバンド・電気グルーヴのメンバーで、ボーカル&サンプリングを担当。また、作詞の多くを石野卓球とともに手掛けているほか、ミュージックビデオのディレクター、ステージ上でのパフォーマーとしても活躍している。とりわけユニークなのが「楽器の弾けないミュージシャン」を公言し、ライブ会場ではろくろを回して陶芸作品を作るなど、独自の世界観と破天荒なキャラでファンを魅了している。まさに、「ピエール瀧がいなければ『電気グルーヴ』は成立しない」と言われるほど、コンセプト面での重要な位置を占めている

 一方で、2001年の「電気グルーヴ」一時活動休止と前後して俳優活動を本格化。2005年に公開された映画『ローレライ』『ALWAYS 三丁目の夕日』での高評価をターニングポイントに、大河ドラマ、朝ドラと立て続けにドラマに出演。また、映画『凶悪』(2013年)、『くじけないで』(同年)では報知映画賞助演男優賞を受賞。『そして父になる』(同年)と合わせての3作品で、ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。2015年のドラマ『64(ロクヨン)』(NHK)では主演を演じ、同作が文化庁芸術祭大賞を受賞。そうした活躍を背景に、2016年には実に7本の映画に出演した。
 「気のいいお父さん、または狂気をはらんだ敵役など、どんな役でも必ず結果を残す瀧さんを見て、キャスティングにおける“飛び道具”的な役割を超えています。バイプレーヤーたちが主役級を演じる流れを作ったのは、瀧さんの活躍も大きい」とメディア評論家の衣輪晋一氏は力説する。

“パフォーマー”としての感性を演技に昇華

 では、その演技の源泉となっているものは何か?「ピエール瀧さんは『電気グルーヴ』のパフォーマーとして高い評価を得ていますが、その経験が瀧さんの演技力に強く生かされているように思います」と衣輪氏。社会現象にまでなった『あまちゃん』では、ヒロインたちが通う寿司屋『無頼鮨』の大将・梅頭を演じたが、その際、瀧は「動きのレクチャーは受けたのですが、梅頭は基本“動く背景”なので、お寿司屋さんに見えればいいという感覚でやっていました」と語っている。その点について衣輪氏は「この“動く背景”というのが、まさに『電気グルーヴ』で見せる彼のパフォーマンスそのもの」と分析。また、瀧がベルギーの人形アニメ『パニック・イン・ザ・ヴィレッジ』の日本語吹き替えを担当した際、一人で45役を演じるなど、これもまた、声優というよりはパフォーマーの仕事のようだったと話す。

 パフォーマーとしての感性を宿した演技の評価は業界内でも高い。2014年のドラマ『55歳からのハローライフ』(NHK総合)で共演したリリー・フランキーは、同年に出演した『あさイチ』(同)で、長年ピエール瀧を可愛がっていることを告白。ピエール瀧を「ギザカワユス」と評し、SNSでも話題となった。また、映画『寄生獣 完結編』(2015年)では、パラサイトに寄生された重要な敵役である三木を演じたが、寄生された人間独特の不気味な笑みの芝居について、深津絵里は舞台挨拶で「衝撃的」とその怖さを強調。山崎貴監督も「『ニヤニヤしてくれ』とオーダーしたが、その怖さは予想以上」と絶賛し、阿部サダヲにいたっては「バラエティ番組のADが無理に笑っている笑顔みたいで怖い」と太鼓判。まさに、瀧が持つ二面性を端的に現したエピソードと言えるだろう。

“ギャグ”と“恐怖“の二面性を巧みに表現する稀有な俳優

 「『寄生獣』や『アウトレイジ』で特に顕著に表れているが、あの怖さと不気味さを伴う独特の存在感は、リリーさんも愛した瀧さんの感覚の鋭さ、ユニークさに由来しているのではないか」と衣輪氏は語る。「リリーさんと同じく“サブカル系”の人気漫画家・相原コージ氏は、かつて著作で『ホラーとギャグは紙一重。薄暗い森でゾンビに出くわすと(まんま過ぎて)笑ってしまうかもしれないが、太川陽介さんが『Lui-Lui(ルイ-ルイ)』を歌いながら飛び出してきたら、そっちの方が恐怖だ』と語っていましたが、瀧さんはこの“絶妙”さを肌感で理解している人で、ギャグと恐怖の狭間のお芝居をされているようにも感じます」。

 さらに、演技の際のセリフの乗せ方も特徴的だ。独特のメロディアスな声調はミュージシャンならではであり、2013年に公開された映画『アナと雪の女王』のオラフ役では、まさかの可愛いキャラを演じただけでなく、歌唱まで披露。SNS上で「めちゃ癒された」「ピエール瀧のオラフはオリジナルを超えている」などと絶賛を浴びた。このように、ピエール瀧の芝居の特長は、演技の“振り幅”にある。前出の衣輪氏は「今年の1月に『バイプレイヤーズ 〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜』(テレビ東京系)が好評を博しましたが、振り幅のある“個性的”な演技を見せるバイプレーヤーにお茶の間の注目が集まっています。そうしたムーブメントにも、瀧氏はうまくマッチしています」と説明する。

嫌われる役柄を“イメージ低下”を恐れずに好演! 結果、さらなる支持率の上昇に

 現在、日曜劇場『陸王』(TBS系)にも出演中の瀧。宮沢(役所広司)が社長を務める老舗足袋業者と怪我をした陸上選手・茂木(竹内涼真)らが再起を懸けて足袋型マラソンシューズ「陸王」の開発に挑むヒューマンドラマで、瀧が演じるのは、“敵役”であるライバル会社の支店営業部長・小原。キーパーソンとなる茂木を演じる共演の竹内涼真は、囲みインタビューで「将来的に、ピエール瀧さんの演じる小原のような役を演じたい」と告白。「嫌われる役柄も作品では大切。だがその役柄を、イメージ低下を怖がらず演じるのは難しい」と、瀧が見せる演技への憧憬を示している。

 このように、“表現者”として高く評価されるピエール瀧。「それは、瀧さんが“ギャグ”と“恐怖“とうい二面性を視聴者に感じさせる芝居をする唯一無二の稀有な存在だから」と改めて強調する衣輪氏。「瀧さんの硬軟織り交ぜた演技は、“色物”と見られかねないミュージシャン俳優たちの世間の評価を覆しました。瀧さんの活躍は、他ジャンルから俳優を目指す人にとってひとつの指針となるはずです」(衣輪氏)

オリコンニュース公式SNS

Facebook、Twitterからもオリコンニュースの最新情報を受け取ることができます!