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TUBE・春畑道哉が30年以上活動を続けられた秘訣を語る

長年の経験から誰かのカバーをやっても、TUBEぽくなってしまう

――その30年以上の中で、ずっとギターを弾き続けているわけですが、自分を惹きつけて止まないギターの魅力は?
春畑道哉 僕にとっては、自分自身と言うか。歌を歌うわけではないけど、ギターに歌わせるような感覚かな。自分の気持ちを一番表現しやすいのが、ギターという楽器です。

――いま現在、TUBEとソロのバランスは、どのように?
春畑道哉 まずはTUBEの活動が基本。TUBEがお休みになりそうだと思ったら、じゃあソロやります! って手を挙げるみたいな。ソロは、やはりTUBEではできないことを意識します。今回のアルバムでやっているような、打ち込みをTUBEでやるのはあり得ないです。だから、生のバンドとは真逆にあるものを考えますね。とは言えTUBEは、平均年齢50歳の4人で長年やって来た経験があるので、どんな曲をやっても誰かのカバーをやっていても、どうしてもTUBEぽくなってしまうというのはあります。良くも悪くもですが。

――それがTUBEの味なんでしょうね。
春畑道哉 だから、新鮮なものにするにはどうしたらいいか常に考えています。昨年のアルバムは鳥山雄司さんにプロデュースをお願いして、どうしたらより新しいサウンドが見つかるか考えてもらったし。もちろんソロでやったことが、バンドに反映されることもあります。実際にソロ用に作った曲をプロデューサーの提案で、歌詞を付けてTUBE用に作り直したら、自分ではまったく気づいてなかったけど、やってみたらすごく良かったということもあります。

――春畑さんのギターからは、プロの意識とギターを始めたときの衝撃=少年の心の両方を感じます。今も少年の心を持ち続ける秘訣は?
春畑道哉 いろんな音楽が好きで、全部自分に採り入れたいし吸収したいと思っているからかな? 最近では、ジェイク・シマブクロさんの演奏を見て、とても刺激を受けました。あんなに小さくて弦が4本しかないウクレレ一つで、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」を再現してしまうなんて、すごいですよね。布袋寅泰さんのライブを見たときは、「BAD FEELING」のギターの切れ味がすごくて。布袋さんがどこのコンプレッサーを使ってるか調べて、同じものを買ったことがあります(笑)。

バンド離れのいま、少しでもギター人口を増やしたい

――今後、コラボしてみたい人とかはいますか?
春畑道哉 今まであまりそういう経験がないのですが……B’zの松本さんのレーベルから声をかけていただいて、アルバムを出したときに、一緒に弾いたことがあります。松本さんは、昔から好きなギタリストのひとりです。根底にハードロックがあって、泣きのギターソロがあってという、往年のギターが僕も好きなので。スティーヴィー・レイヴォーンがお互い好きだという共通項もありますし、そういう部分でもシンパシーはあります。あと、MIYAVIくんは面白いですよね。踊るし打楽器のように弾くし、あのパフォーマンスは最高です!

――その他の方でいますか?
春畑道哉 仲が良いのは、L’Arc〜en〜Cielのkenくんかな。プレイスタイルも出す音も僕とは真逆なのに、使ってるエフェクターやギターが同じフェンダーだというのが面白いと思って、フェンダーの方に紹介していただいたんです。ゴルフに行ったり、機材話をしたり。あと最近は、どうやったら若い子たちがもっとギターに興味を持つようになるか、そのために僕らは何をしたらいいかという話です。バンド離れじゃないけど、昔よりギターが売れてないと聞くし。それを変えるためには、僕たちがもっとギターを弾きたいと思うような曲を作らなくちゃいけないんじゃないかって。

――実際にどんなところで、バンド離れを感じていますか?
春畑道哉 楽器メーカーの方と話をすると、50代の方が買うことが多いみたいです。いまの10代や20代は、コンピュータが当たり前にある世代だし、打ち込みで何でもできてしまう。だからギター1本でと考える人は、減っているみたいですね。機材の普及に伴って音楽の作り方の幅が広がったし、実際にその楽器が弾けなくても音を出せるわけで。誰でも気軽に技術がなくても作れるのは、いいことだと思うんですけど……。

――そこにストップをかけるために、何か具体的にやってることは?
春畑道哉 セミナーや講演会で、ギターやアレンジの楽しさを伝えていく活動を、今後はやって行きたいと思っています。実は先日、そのための第一歩のようなことをやったのですが、これを繰り返していけば、少しでもギター人口を増やしていく手伝いができるんじゃないかと思いました。

――ギタリストとして今後の目標は?
春畑道哉 やはりいろんな人に興味を持ってもらって、ギターを弾きたいと思ってもらえる演奏をすること。ギターインストって、非常にマニアックな音楽ジャンルという印象もあるけど、歌詞がないからこそできることもあって。いろんな可能性があると思っています。

――実際にギターインストを生で聴いてもらうことも重要ですね。その一貫として、ソロツアーもあるとのことですが。
春畑道哉 4年ぶりのソロツアーがもうすぐ始まります。このアルバムを軸に、30年やって来た曲をバランスよく配置して、感謝の気持ちも込めて演奏したいと思います。良い時間をみんなと過ごせるようにと思っています。

(文:榑林史章)

春畑道哉 オフィシャルサイト(外部サイト)

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