ORICON NEWS
16年ぶり新作で初首位、後進たちに多大な影響与えたハイスタの功績とは?
インディーズシーンで独自の流通を確立、メディア露出せず口コミでファン獲得
「当時の日本のヒット曲は、メジャーアーティストやテレビ番組の主題歌や挿入歌が主流。そんななか、海外を含めてですが、マイナーレーベルのハイスタのヒットは異例でした。ハイスタの音楽は“メロコア”(メロディック・ハードコア)と呼ばれ、リズムやギターは激しいパンクロックながらメロディラインは叙情的……というジャンルですが、ハイスタは日本でメロコア・ブームを作ると同時に、グリーン・デイやオフスプリングといったアメリカの人気パンクバンドとツアーも回るなど、海外での人気も高かった。しかもその人気も、本人たちがメディアへの露出を嫌ったため、ほとんどが口コミで広がったという“本物”の人気だったのです」(エンタメ誌編集者)
『AIR JAM』を機にバンド主導によるフェスが、メジャーシーンにも“逆輸入”
「ハイスタ最大の“偉業”とも言えるのが、バンド同士の横のつながり、バンドによるバンドのためのバンド活動を日本で確立したことです。その象徴が『AIR JAM』。これは1997年にHi-STANDARDを中心に企画されましたが、パンクロックとスケボーなどのストリートカルチャーがコラボしたイベントです。3回目の2000年には、千葉マリンスタジアムで開催されるなど絶頂を極め、当時“エモ系”と呼ばれたHUSKING BEEやミクスチャー系のBACK DROP BOMB、BRAHMAN、THE MAD CUPSULE MARKET’Sといった、いわゆる“AIR JAM世代”のバンドの手によるロックフェスにまで成長しました。そして現在では、こうしたアーティスト個人やバンド主導によるフェスやイベントが、メジャーシーンに“逆輸入”されるようになったのです」(前出の編集者)
ハイスタは、この『AIR JAM 2000』を最後に活動休止してソロ活動に移行するが、2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、同年4月、復興支援として11年ぶりに『AIR JAM』が開催し、Hi-STANDARDも復活。今年の12月23日には、4年ぶりに福岡ヤフオク!ドームで『AIR JAM 2016』が開催される。
通販や音楽配信が当たり前の今、CDショップ店頭販売のみという原点回帰
結成25周年で16年半ぶりの新曲は、星野源やSEKAI NO OWARIといった現行の人気アーティストを抑えて首位を獲得。通販や音楽配信が当たり前となった今、あえて主要CDショップ店頭のみで販売(10月26日より通販解禁、DL販売開始)。しかも、事前告知“一切なし”という異例の発売方式にも彼らの“音楽”に対する向き合い方を感じる。「これだけ便利になった世の中でどこまで面白みとして発揮できるのかなというのが狙い」(横山)、「今回の作品は手に取ってもらいたいという思いが強い」(難波)という言葉通り、日本の様々な音楽シーンを変革してきたHi-STANDARD。これからも、日本の“元ロックキッズ”から“現役ロックキッズ”まで、強烈な影響を与え続けていくことだろう。