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小田和正、若者にも浸透! 世代を繋ぐ共感ソングとは

 1970年にオフコースとしてデビューし、46年間にわたって第一線で活躍してきた小田和正。彼のキャリアの中で、バンドでもソロでも多くのヒット曲を生み出し、それらは長きにわたって日本人に愛されてきた。世代を超えて広がり続ける小田和正の世界。ORICON STYLEでは10代〜60代の男女3300人を対象にアンケート調査を行い、その魅力を探った。

KAT-TUNやスキマスイッチらを通して若い世代にも楽曲が浸透

  • 小田和正のベストアルバム『あの日 あの時』

    小田和正のベストアルバム『あの日 あの時』

 まず、人々が初めて小田和正を知ったきっかけの楽曲とは何だろうか? 上位3曲は「ラブ・ストーリーは突然に」「さよなら」「言葉にできない」といういずれ劣らぬ大ヒット曲だが、このなかで「ラブ・ストーリーは突然に」のみがソロとしてリリースした作品であることから読み取れるのは、同曲で小田を知った人たちは、オフコースを知らなかった世代、あるいはオフコースに小田和正が在籍していたことを知らなかった世代という可能性が高い。オフコースの解散は89年、そこから導き出されるのは30代よりも下ということだ。さらに彼の支持層は10代、20代にも広がる。

 そのことがわかるのが、【初めて小田和正を知ったきっかけの楽曲は?】という質問に対する「僕らの街で」という回答。小田作品に詳しい人ならわかることだが、CD収録されていない曲で、2006年にKAT-TUNの3thシングルとして提供されたもの。すなわち、「KAT-TUNの『僕らの街で』を作ってくださった」(東京都/20代/女性)と彼らを介して小田和正に出会った人もいるということであり、このほかにも、「もともと好きなスキマスイッチの大橋卓弥さんが『たしかなこと』をカバーしたのをきっかけに小田さんも聴くようになりました」(愛知県/20代/女性)、「ゆずとコラボしていた曲を聴いて」(東京都/20代/女性)、「HYDEさんが好きというのを聞いて、楽曲を意識して聴くようになってから」(大阪府/30代/女性)と若い世代に支持を集める様々なアーティストとの共演やカバーされていることをきっかけに、本来小田とは接点のなかった層にまで彼の音楽が浸透しているケースは少なくない。

全世代からの高い支持率が他のアーティストを圧倒

  • 共感できる曲 BEST 5

    共感できる曲 BEST 5

 また、普段あまりメディア出演しない小田和正だが、唯一毎年欠かさず小田が出演するコラボレーションライブ番組『クリスマスの約束』(TBS系)がある。2001年より毎年12月25日(クリスマス)前後に放送され、深夜帯にもかかわらず常に高視聴率をマーク。中居正広(SMAP)やスキマスイッチ、いきものがかりといったゲストを迎え、世代を越えたアーティストとの共演や様々なアーティストのカバーを歌唱する。「番組のイメージが強く、冬になるとしんみりと聴きたくなる」(神奈川県/30代/女性)、「クリスマスの約束が好きで、その時期になると、聴きたくなります」(千葉県/30代/女性)と、時に家族で、時に恋人同士でと、まさに世代を超えてのクリスマスの恒例となっているようだ。

 小田和正の凄さは、そうした幅広い世代の心を強烈に引きつけてやまないことだろう。オフコース以降に彼のことを知った人々の多くは、彼の曲を「両親(あるいは兄・姉)」「CM」「ドラマ」を通して耳にしたというものだ。聴いている世代の若さから考えるなら、本来はほかの“流行り”のサウンドに嗜好が動いていきそうなものだが、彼らはそのまま小田和正の作品を聴き続けている。歌詞、メロディ、歌声と聴く上での3要素が網羅されているコメントではあるが、これらが10代〜60代までの幅広い世代に共通して認められているところにこそ、冒頭に記したような小田和正が長期間第一線を走り続けてきた大きな要因があると言えるだろう。

若い世代にとって指針となる存在

  • 共感できる理由は?

    共感できる理由は?

 では、それぞれの世代が、彼の曲からどんなことを感じ取っているのだろうか。「今を精一杯生きることが大切さ」(福島県/10代/女性)、「前をむいて感謝の気持ちを忘れないということ」(大阪府/20代/女性)などの発言からは、10代・20代に「生きることの指針」を示してくれる存在なのかもしれない。年齢が離れていることも含めて、小田和正を若い世代にとっての「人生の師」のようだ。そして、30代ではここに「愛」にまつわる表現が追加される。「純粋な気持ち、切ない気持ちを教わった」(香川県/30代/女性)と「人生の機微」を感じ、自身の恋愛体験を歌に投影しているようだ。40代以上となると、大半がオフコースの音楽に接してきた世代と言える。そういう意味では、小田和正の歌は自分たちの青春そのものであり、思い出そのもの。「学生時代の思い出がよみがえります」(東京都/40代/女性)、「青春の道しるべ」(福岡県/50代/男性)と楽曲が人生の1シーンと重なり、悩んだ時のヒントになっていたりもする。

 アーティストには最もよく聴かれた時期というものが存在する。それゆえ、どうしてもある世代のファンのボリュームが膨らむ傾向にもある。だが、70年代から現在まで、様々なアプローチを取りながらも、変わることのない「人生のテーマ」を歌い続けてきた小田和正には幅広い世代のファンがいる。10代〜60代にも「共感」と「感動」を与える彼の音楽は無二のものであり、永遠に輝き続けるものでもある。小田の歌は「人生」そのものなのだ。

(文:田井裕規)

小田和正の楽曲から教わったことは?

◆「素直に伝えることの大切さ」(長野県/10代/女性)
◆「日々ある日常が本当は当たり前ではなく特別なことであること」(兵庫県/10代/女性)
◆「何事も諦めてはいけないと思うようになった」(神奈川県/20代/女性)
◆「今この時を必死に生きようと教わりました」(広島県/20代/女性)
◆「人に対する思いやり優しさ」(愛知県/20代/女性)
◆「人と人の関係の切なさを教わったように思います」(東京都/30代/女性)
◆「どんなときも前向きに進んでいけば、いいことがあるということ」(東京都/30代/男性)
◆「ありのままの自分を大事にして、素直に自然に生きる。命を大事にすること」(大阪府/40代/女性)
◆「その時の心情を素直に認めることで物事を受け容れる強さを学んだ」(東京都/40代/女性)
◆「どんな時でも、人を想う気持ちに素直になって良いということ」(福岡県/50代/男性)
◆「普段は当たり前のように思っている出会いの不思議さや喜びを感じられるようになった」(石川県/50代/女性)
◆「肩の力をぬいて生きて行っても良いということ」(京都府/60代/女性)
◆「純粋さをいつまでも、忘れないでいたい、曲を聴くと優しい清らかな気持ちになれる」(東京都/60代/女性)

小田和正の楽曲をどういうときに聴きたいですか?

◆「穏やかな気持ちになりたいとき」(京都府/10代/男性)
◆「ちょっと元気がなくて静かにひとりでいるときに、パワーを貰ったり切ない気持ちに浸れるために聴きたい」(佐賀県/10代/女性)
◆「悲しい出来事や、つまづいた時に楽曲を聴いて勇気をもらいポジティブに考えたいです」(佐賀県/20代/女性)
◆「落ち込んだときに、沈んだ心に寄り添っいながら、そっと背中を押してほしくて聴きたくなる」(佐賀県/20代/女性)
◆「いろんなことに疲れ切った時に、ゆったりと聴きたい」(千葉県/30代/女性)
◆「くじけそうになったとき、悲しいとき、勇気が欲しいとき」(佐賀県/30代/女性)
◆「ドライブ中などに聴くと心地よいので、自動車の中で聴きたい」(岡山県/40代/女性)
◆「辛い気持ちの時は悲しい曲、嬉しい気持ちの時は明るい曲、どんな気持ちの時にも、ぴったりの曲がある」(兵庫県/40代/女性)
◆「ひとり静かに自分の部屋で、今まで過ごしてきた道を振り返る」(兵庫県/50代/女性)
◆「ひとりで部屋でゆっくりと歌詞をかみしめて、聴きたい」(埼玉県/50代/女性)
◆「星空の下、その反対で都会の喧騒の中、どちらでもマッチする」(京都府/60代/男性)
◆「精神的に癒されたいとき」(京都府/60代/男性)
小田和正オフィシャルサイト(外部サイト)
【調査概要】
調査時期:2016年3月28日(月)〜4月4日(木)
調査対象:合計3300名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ(外部サイト)】会員10代〜50代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査

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