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77歳にして再ブレイク・こまどり姉妹インタビュー「シワがよるのも長生きさせてもらったご褒美」

恋愛よりも聴き手がどうしたら喜んでくれるか考えていた

──人気スターとして忙しい日々を送る一方で、お若い頃には恋愛をしたこともあったとは思うんですが…。今の若い歌手は、恋愛をオープンにしている方も多いですよね。
敏子 そりゃあ若い頃はありましたよ。でも、私たちの若いころはご法度だったからね。それに当時は恋愛が表沙汰になったりすると、たちまちレコードの売り上げが落ちたりしたの。だから今みたいにオープンな恋愛はできなかったのよ。舞台に出たら、見に来てくれたお客さんがどうしたら喜んでくれるのかって考えていないとダメなの。自分のことばかり言っていてはダメなの。

──ということは、いわゆる女の幸せよりも歌手であることを優先させたということですか?
栄子 そうね、仕事を取ったってことなのかしらね。
敏子 それに私たちは片方に何かあったら、相棒に迷惑をかけることになるでしょう。双子とは言え、仕事の上では相棒だからね。だから絶対に負担をかけちゃいけないって、その一心はあったわね。特に私はずいぶん若い頃に病気で倒れたり、怪我をしたりとお姉さんに苦労をかけたからね。丈夫でいないとこの世は楽しめないから。
栄子 お互いに迷惑をかけないように、っていう意識はあるわね。だから健康にも気を使うのよ。お肉でもなんでも食べて。お酒もね、今年からノンアルコールのビールを飲むようになったの。あれは美味しくていいわね。
敏子 去年まではちゃんとアルコール入りのを飲んでたけどね。それでも、氷を入れて薄めて飲んでたからそんなに体に悪くなかったのよ。

──バラエティ番組でも、コーヒーやラーメンに氷を入れて召し上がる姿を披露していました。熱い物に氷を入れるのが、こまどり流の健康法なのだとか。
敏子 何しろステージに出るまでに、ささっと食べなくちゃいけないでしょう。あったかいものをゆっくり味わう時間なんてなかったの。
栄子 それと小さい頃に貧乏であったかいものを食べたことがなかったからね。習慣って恐ろしいもので、今でも熱いものはどうも苦手なのよ。

親からもらった「人を喜ばせたい」気質

──ところでお2人は壮絶な体験を語ってもそれを決して悪口や恨み言にしないですよね。
栄子 悪口なんて出てこないわよ。人はみんな個性が違うんだから、それをどうこう言うなんておかしいじゃない。
敏子 そうよ。私たちも双子だけど、好みだって性格だってぜんぜん違うのよ。双子でこれだけ違うんだから、人様はどれだけ違うのかって話よね。

──地獄を見るような体験すらユーモアに変えてしまう明るさはどこからくるのでしょう。
敏子 それはね、親からもらったものなのよ。うちの親も明るくてね、それと人を喜ばせたいっていう気持ちのある人たちだった。貧乏で満足にご飯も食べられなかったけど、もっとお腹を空かせてる人がいたら、おにぎりでもなんでもためらいなく恵んであげてね。
栄子 そういう親の行いを見てきたから、自分たちも歌でもなんでも人を喜ばせたいって気持ちが育っていったんだと思うわね。

──歌はもちろん現役ですが、最近のバラエティでの反響はどうお感じですか?
栄子 面白いわよ。こないだ中学生くらいの男の子に「お姉さんたち、有吉さんの番組に出てましたよね。握手してください」って言われちゃってね。
敏子 その時はステージの帰りだったからお化粧もしてたけど、最近はスッピンで歩いてる時も声をかけられるのよ。「写真を撮ってください」とかね。こんなシワシワのスッピンでよかったらいくらでも写真を撮るんだけどね。そうそう、『有吉反省会』の時にあの写真を撮るところで。なんだったかしら、プリ……。

──プリクラですか? 番組で三戸ちゃんメイク&コーデで撮られてましたよね。
敏子 そうそう。あれ、びっくりしちゃった。若く写っちゃって。

──たしかに今時の技術はすごいですよね。でもお2人はプリクラじゃなくても、今も充分チャーミングです!
栄子 若い頃は肌とかスタイルとかいろいろ悩むものだけど、今はもうねえ。
敏子 私は小太りだったから、若い頃は本当に痩せたいななんて思ってたわけ。だけど33歳で末期ガンになってね。その時に病院の窓から外を見たら、ずいぶん太った女の人がお腹をユサユサさせて歩いてるわけ。それを見てつくづく羨ましいと思ったし、痩せたいだとかきれいに見られたいとか思ってた自分の浅はかさを反省したのよ。それから44年、こうして今、この世で息を吸って生きてられるだけで素晴らしいと思うの。シワがよるのも長生きさせてもらったご褒美だってね。

(文/児玉澄子 写真/草刈雅之)

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