世界的に活躍するs**t kingzのshoji、ダンサー事情を語る

日本ではギャラや細かい条件まで、自分たちで交渉しないといけない

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――振り付けをするときに気をつけることは何でしょうか?
shoji そのアーティストが積み重ねてきたもの、ファンが求めているものを基盤にしながら、そこにどれだけ自分らしさを混ぜられるかということです。その為には、過去の映像を観たりして深く研究してから、その人に合った振り付けを考えるようにしています。

――韓国アーティストの振り付けもやられていますが、韓国と日本で違いはありますか?
shoji 以前は、韓国ではみんなが真似をできるようなキャッチーさを求めて、「○○ダンス」と振り付けに名前を付けて欲しいと依頼されることが多かったです。でも最近は、ダンスが一般的になって、名前をつけなくても認識してもらえるようになりました。その逆で日本では、名前を付けられるダンスにして欲しいと依頼されるようになって……逆転現象が起こっています(笑)。

――中学でダンスが必須科目になり、EXILEらの活躍で、ダンサーを夢見る子どもが増えています。先程のお話は成功例として、実際問題ダンサーだけで食べていけるものでしょうか?
shoji 振り付けやバックダンサー、ダンスレッスンだけでなく、イベントや舞台も増えているので、生活基盤を得るチャンスも増え、ダンスだけで食べて行くことが可能です。ただ生活できるようになるまでは、大変です。音楽業界と違ってレコード会社や事務所がバックアップしてくれるわけではないので、ギャラや細かい条件まで、自分たちで交渉しないといけない。

――では、海外も同じような状況なのでしょうか?
shoji アメリカなど海外ではダンサー専門のエージェントがあって、必ずどこかのエージェントに所属して、そこが仲介して仕事を斡旋してくれるのでギャラや条件も安定しています。しかし日本では、まだエージェントが整備されていません。実際にエージェントを作ろうという動きも出て来ていますが、細かい法整備が必要なので、まだ難しいかもしれませんね。法整備がないままエージェントができてということになると、ダンサーはギャラが安いままで搾取されるということにもなりかねないので、その怖さがまだあります。ダンサーは社会的な地位がまだまだ低いので、それを今後どれだけ上げていけるかが大切だと思っています。

――そのためにも、世界で活躍する日本人ダンサーがどんどん増えて行くことが必要で、s**t kingzも海外でワークショップを開いたりパフォーマンスをしたりしている。日本人ダンサーならではの、特徴や魅力はありますか?
shoji 日本人は、テクニック的なことを突き詰めることを大切にします。例えば今回のイベントにも出演するHilty & BoschさんやSNAZZY DOGSさん、TAPDANCERIZEさん、Moreno Funk Sixersさんなどは、昔からあるオールドスクールと呼ばれるダンススタイルをやっている方たちで、そのジャンルの中でも非常にレベルが高いです。海外の方は新しいものをどんどん採り入れるので、新しさや変化の面での楽しさがありますが、日本人は、大切にしているものに対して積み重ねて来た時間や努力がなせる、職人気質のパフォーマンスが楽しめます。それは日本人の強みだし、面白みでもあると思います。

安室奈美恵らの活躍で、ダンサーに対する世の中の意識も変わった

――最近では、菅原小春さんなど若手の台頭も目立って来ていますが、個人的に注目されている方はいますか?
shoji 日本では、十数年前からキッズのダンスブームですが、90年代生まれの光る人がたくさんいます。キッズの頃から上手く、その上に表現力も手に入れたらモンスター級に恐ろしいです。そういう才能を持った人がたくさんいる世代なので、今後どんな風に進化していくかワクワクします。

――でも、どうして90年代生まれに才能を持った子が多いのですか?
shoji 90年代中盤から安室奈美恵さんやSPEEDさんなどダンス&ボーカルグループが大人気になり、彼女たちの活躍を見てダンスを始めた世代が、90年代には多いのではないでしょうか。僕たちの時代は、ダンサーの評判はあまりよくなく、公園で練習をしているだけで、不良が集まっていると通報されることもありました(笑)。でも安室さんやSPEEDさんたちのおかげでダンスの健全性が認識され、やりたいと思う子供も増え、親世代のダンスに対する感覚も変わりました。将来自分の子どもをデビューさせるためにダンスを習わせたいという人も、たくさんいらっしゃいます。ただ、将来的に日本のエンターテインメントが単一化されてしまっては、今の子どもたちが才能を開花させるチャンスが減ってしまう。そういった意味では、僕らの世代が、どれだけダンスの可能性を広げられるかも重要だと考えています。

――『DANCE DANCE ASIA』は、そういう将来につなげていくためのプロジェクトとして、重要な役割を担っているわけですね。
shoji そうですね。日本のダンサーは世界中で評価されるようになっていますが、日本国内においては、ダンサーが日の目を見たり何かを発信して行ける機会は、とても少ないのが現状です。今回のイベントは、国内の実力のあるダンサーが何組も出演しますし、今ダンス界で注目を集めている東南アジアのストリートダンサーも多数出演します。今後ダンス業界において、台風の目になっていくイベントになると思います。

――それでは最後にイベントに出演する注目のグループと楽しみ方のポイントを教えてください。
shoji それぞれの色があるので、どれも注目だと思いますが……梅棒さんは、キャッチーとコミカルさがありますね。Memorable Momentさんは関西のグループなので、東京で観られるのは希少です。s**t kingzや東京ゲゲゲイさん、Red Printさんは、アーティストの振り付けをやっているメンバーが多いので、有名アーティストの振り付けは、こういうところがベースにあって生まれているんだな、という観点で見れば、面白いと思います。

(文:榑林史章)

『DANCE DANCE ASIA -Crossing the Movements』とは

  • DANCE DANCE ASIA -Crossing the Movements

    DANCE DANCE ASIA -Crossing the Movements

ストリートダンスでアジアを繋ぐプロジェクト『DANCE DANCE ASIA -Crossing the Movements』は、日本・東南アジアで人気、実力ともにトップクラスのダンサーによる舞台作品を上演。日本を代表する話題のリーディングカンパニーだけでなく、フィリピン、ベトナム、タイから3劇団を招聘。7月開催のオーディションで選抜された日本の若手3劇団も出演。

【開催日】10月28日(水)〜11月1日(日)
【会場】世田谷パブリックシアター
【チケット】一般 S席4000円 A席3000円 通し券20000円
【出演】
10月28日(水)19時〜 タイムマシーン/Red Print/PHILIPPINE ALLSTARS(フィリピン)/Sem’udacha
10月29日(木)19時〜 SNAZZY DOGS/TAPDANCERIZE/S.I.N.E(ベトナム)/free line
10月30日(金)19時〜 s**t kingz/BIG4/THE ZOO Thailand(タイ)/Nicol,Crossence
10月31日(土)昼公演 15時〜 梅棒/Moreno Funk Sixers/S.I.N.E(ベトナム)
10月31日(土)夜公演 19時〜 BLUE TOKYO/Memorable Moment/PHILIPPINE ALLSTARS(フィリピン)
11月1日(日)16時30分〜 東京ゲゲゲイ/Hilty&Bosch/THE ZOO Thailand(タイ)

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