(更新:)
ORICON NEWS
サイクル早く消費される子役たち
坂上忍や濱田岳ら逸材も多いが、目まぐるしいポジション争奪戦の子役業界
その鈴木福にしても、その前に大ブレイクして一大子役ブームを巻き起こした“こども店長”加藤清史郎のポジションを奪い取ったとも言え、子役業界では常にこうしたポジション争奪戦が行なわれている。ちなみに、加藤と同時期に人気を博した子役・濱田龍臣も加藤同様、最近では「超イケメンになった」と話題になることが多いが、競争を勝ち抜いた子役が成長して、そのまま芸能界で成功する例もある。現在活躍中の若手俳優・神木隆之介や、個性派俳優として再ブレイクした柳楽優弥、濱田岳も子役出身。今やバラエティ番組では欠かすことのできない坂上忍などは、かつては(40年前)は子役の代名詞と言ってもいい存在であり、現在は子役養成所も運営している。
有名無名を問わなければ、芸能界にはかなりの数の“元・子役”がいる
芦田愛菜大ブレイク後の女性でも、本田望結、谷花音といった子役たちが芦田以上に活躍中。芦田愛菜以前では、代表的な存在として安達祐実がいたし、『教師びんびん物語』(フジテレビ系)に出演していた観月ありさも超美少女の子役であり、現在でも女優として活躍しているのは周知の通り。今や“大河”女優の井上真央にしても、『キッズウォー』(TBS系)では「ざけんなよ!」と気勢を上げていたわけで、有名無名を問わなければ、芸能界にはかなりの数の“元・子役”がいるのである。
ただ、子役時代の知名度が高ければ高いほど、本人の肩には重い十字架がのしかかる。子役自体がそもそも“期間限定商品”であり、歳を取れば“ただの人”になって、一瞬にして“あの人は今”の状態になる可能性も高いのだ。坂上忍も活動歴は非常に長いが干された時期もあり、安達祐実も子役イメージからの脱却に試行錯誤し、妙に不釣り合いなセクシーグラビアに挑戦した時代もある。『崖の上のポニョ』でブレイクした大橋のぞみも、芸能界を引退して学業に専念した。
賞味期限も短い子役業界で、大成するのはひと握り
入れ替わりが激しく、賞味期限も短い子役業界。子どもだけに成長も早く、そのぶん需要と寿命が短いのは仕方がないのかもしれないが、それにしても消費サイクルが早すぎるような気もする。しかし芸能界で生き残っていくためにも、子役時代に高い知名度を獲得したいのはうなずけるし、結果として厳しい競争になるのも無理はない。それでも先述してきたように、人気のあった子役が大成する例は、ほんのひと握りにしかすぎないのも事実なのだ。
今後は制作側にも、人気の出た子役を“使い回し”たり“使い捨て”にしたりせず、成長に見合ったポジションや作品に起用するなど、子役を育てていく視点や体制も求められてくるかもしれない。現在の子役はどこまで生き残れるのかは、芦田愛菜や鈴木福、寺田心らの活躍にかかっている。
(文:五目舎)