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ORICON NEWS
反原発・反安倍政権の制服向上委員会、アイドルの主張どこまで許される?
正統派アイドルグループから政治的思想の強いグループに変化した制服向上委員会
そもそもこの制服向上委員会(現在は略してSKiともいう)の名は、現在30代半ば以上の男性なら、少しは聞き覚えがあるかもしれない。デビューは1992年の“アイドル冬の時代”のど真ん中。当時は、お嬢様女子高生風の制服をトレードマークに活躍する正統派アイドルグループで、メンバーの中心的存在だった南国系美少女の吉成圭子が、一部でカリスマ的人気を博していた。メンバーチェンジを繰り返しながら、大手レコード会社に所属したが、1995年にインディーズレーベル「アイドル・ジャパン・レコード」を設立。2006年には“卒業”という形でグループの活動を終了。その後、2010年に“地デジ放送反対”の曲「TVにさようなら」を発表して再始動する。その後も、2011年には脱原発ソング「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」を、2012年には民主党政権批判の「野田・悪魔・TPP」を発表。「Ohズサンナ」という曲では、「諸悪の根源、自民党」とまで歌っている……となると、これは立派な左派アイドル・脱原発アイドルといっていいだろうが、メンバーは10代のごく普通の少女たち。果たして彼女たちは、本当に政治的思想を持ち合わせているのだろうか?
グループの背後には、プロデューサー的な形で、1970年代前半に活躍した伝説的な反体制ロックバンド・頭脳警察のパンタの存在がある(頭脳警察は制服向上委員会と同じ事務所に所属)。また、憲法第9条をテーマにした曲では、同じく反体制のフォーク歌手・中川五郎とユニットを組んでいる。曲の内容もさることながら、このあたりに、彼女たちが左派アイドルとされる由縁もありそうだが、各イベントでもそれなりの渦を巻き起こしているようだ。
ロックではなくアイドルが“反体制”を歌うことに違和感も
そもそも反体制的な主張は、ロック系ミュージシャンの“お箱”でもあり、当たり前のことでもある。脱(反)原発ソングにしても、THE BLUE HEARTSの「チェルノブイリ」や、RCサクセションの故忌野清志郎さんの一連の曲を筆頭に、佐野元春、加藤登紀子、Dragon Ash、海外では、アリス・クーパー、スティング、ブルース・スプリングスティーン等々、錚々たるメンツが発表している。2011年には、斉藤和義の「ずっとウソだった」が話題にもなった。ただ、ロックミュージシャンではなく、いわゆる“アイドル”が、こうした体制批判、反体制的主張をすること自体に、強烈な違和感や“そぐわなさ”を感じるのも否めない。前述した爆笑問題の発言ではないが、何か“やらされてる感”すら見て取れるのは、“アイドル”である彼女たちの“本音”が見えないことと関係しているだろうし、ある種、アイドルが抱える“宿命”なのかもしれない。
一方、選挙権が満18歳以上に引き下げられることも決定し、なにかと言論弾圧問題が叫ばれる昨今、“アイドル”にはこれまでのように、単純な可愛さやファンタジー的な曲ばかりを求めるのではなく、制服向上委員会の少女たちが発するような“主張”にも、ある程度、耳を傾ける必要が出てきたということではないか。時代の要請なのか、“アイドル”としての新しいバリエーションのひとつにすぎないのか。それは、今後の彼女たちの活動によって、自ずと答えが出てくるだろう。
(文:五目舎)