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オタク美女モデル・市川紗椰「今どきの小娘が語ってるから面白いだけでは…」

 鉄道、ガンダム、相撲、ハンバーグ……ハーフならではの美貌と抜群のスタイルを持ちながら、様々な分野でオタクぶりを発揮し、話題を集めているモデル・市川紗椰。5月13日に、小西康陽氏プロデュースによる「夜が明けたら」でCDデビューを果たす。「今どきの恰好をしている小娘が語っているから面白がられてるだけ…」と謙遜する彼女に、凝り性のきっかけとなった音楽の話から今の現状に対する考察まで、様々な話を聞いた。

“オタク”の捉えられ方もずいぶん変わった

――モデルとしては10年以上のキャリアをお持ちの市川さんですが、近頃はそのオタクぶりでも注目を集めていますね。バラエティ番組にも多く出演されていますが、周囲の反応の変化はありましたか?
市川昔からよく知って下さっているスタッフさんは「何を今さら」という感じみたいです。「モデルの現場でも趣味の話しかしてないよね」って(笑)。ファッション誌の“モデルのプライベート紹介”みたいなコーナーでも、鉄道や相撲やアニメなどの話ばかりしていましたから。

──なるほど、幅広い層に知られるようになったのが最近というだけなんですね。それにしてもルックスとのギャップが大きい。オタクぶりを隠そうとしたことはないんですか?
市川高校時代に趣味の話をバーッとしたら引かれたことがあったので、それ以来封印してました。本当に仲の良い友だちにしか話はしていなかったですね。その流れで、モデルの仕事をするようになった当初もあまり趣味性は出してなかったんです。一度、ちょっとだけ出そうとしたんですけど、「あ、モデルの世界ではこういうのは求められてないんだ」という空気を察しまして…。でも今思うと、自分が気にしすぎていただけだと思うんですけど。あとは時代の風潮もありますよね。私が高校生だった10数年前と比べると、“オタク”という言葉のとらえられ方もずいぶん変わりましたから。ある日どうでもよくなって開き直ってみたら、わりとみなさん面白がってくれて。逆に今は趣味の押し売りみたいになってしまっているので、多少セーブしたほうがいいかもしれません。

──いやいや、もったいないですよ。趣味が多彩なだけでなく、その掘り下げ度の深さも信頼される理由ですし。自己分析してご自身が前のめりになるものの傾向ってありますか?
市川データ量が決まっていて、それを制覇することができることですね。モノを集めるのも好きなんですけど、むしろ“データ収集癖”のほうが自分は強いと思います。たとえば相撲だったら、力士ごとに出身地や在籍する部屋から、どの決まり手が何割かといったデータセットがありますよね。そのひとつのデータ量は上限があるから、コンプリートすることが可能なんです。そうしたデータをいくつも集めてファイリングするのが好きなので、それができるものですね。趣味の一つであるハンバーグも、デミグラ部門ではとか、牛100%系といったふうにジャンル分けしてファイリングできるという共通点があります。ハンバーグに関してはもとから好物っていうのもあったんですけど(笑)。

──語り出したら止まらなそうですね(笑)。趣味の話ができる仕事が増えた今の状況をどう感じていますか?
市川逆にみんなこんな話を聞いてて楽しいのかなって疑問なんですけど。たぶんみなさんの中に「オタク」のイメージがあって、そのイメージとは違う今どきの格好をしている小娘が語ってるから面白いだけなんだろうな、と思って。でも、だからこそ同じ内容をおじさんが語ってても興味深く聞いてもらえるくらい深めないとダメだと思ってて……頑張ります。何でも中途半端になってしまっている気がするので。

浅川マキさんのモノクロ感がすごくしっくりきた

──今回、CDデビューに至った経緯も、やはり市川さんがディープな音楽マニアであるところから始まってるんでしょうか?
市川一番最初に好きになったのが音楽だったんですけど、昔からの仕事仲間もだいたい音楽が好きで、そんな人たちと「何か面白いことしない?」というところから始まったんです。みんな音楽が好きだし、こんな時代だからドカッと売れなくてもかっこいいもの、好きなものを作ろうよと。

──浅川マキさんのカバーというのもちょっと驚きの選曲でした。
市川提案して下さったのはプロデュースを務めて下さった小西康陽さんだったんですが、盲点だったところをつかれたんですよ。みんなカラーで考えていたところに、浅川さんのモノクロ感がすごいしっくりきたんです。

――伝説的な女性シンガーですが、市川さんの世代ではあまり馴染みがない存在なのでは?
市川私も高校生の時に『浅川マキの世界』をジャケ買いした時から大好きなシンガーの一人だったんです。当時は中古レコード屋さんを巡るのが日課で。思春期だったから感受性もやたら激しかったんでしょうね。浅川さんのちょっと陰な世界観にすっかりハマってしまって、聴いているとどこか新しい場所に連れていってくれるような気分に浸れたんです。誰が聴いても無条件にカッコいいと思える女性だと思うんですよね。

──味のある独特な歌い回しでも知られるシンガーですからね。
市川浅川さんは音階にない音を歌われる方なんですよ。味わい深い歌い方で、技術がある人だからこそできる歌い方だし、本人が作詞・作曲をやっているからこそ許されるラフさ。私にその味、世界観をうまく表現できるかは不安でしたね。実際にあの世界を自分が表現できているかどうかは聴いていただいた方に判断を委ねるしかないんですが。

──ご自身ではいかがですか?
市川SEに入っている電車の走行音は市川プロデュースなので、そこでだいぶ自分らしくできたかなと思います。自分が録音したものの中でもいくつか気に入っている走行音があるんですけど、曲の雰囲気から北陸方面のちょっとグレーな空の寂しげな情景がイメージできる走行音をセレクトしました。あとはもう、小西さんをはじめ参加して下さったミュージシャンの方々のおかげで良い作品になっていると思います。とにかく音楽を愛する一流の方々と同じ空間にいられるだけで、本当に幸せなお仕事でした。

「タモリ電車クラブ」の会員証は“家宝”

――同時発売の写真集も同じタイトルになってるんですね。
市川CDと写真集のスタッフがかぶっていて、CDをレコーディングし終わったあとに撮影したので、どこか世界観、雰囲気が似たものになったんですよ。じゃあ写真集のタイトルもそうしようと。自分の体型が崩れる前に写真に抑えとこうというのがテーマなんです(笑)。8年前に出したときとは違う、成長した自分がうつってたらいいなって。8年前はモデルとして服とかメイクを見せていくというのがあったと思うんですけど、今はパーソナルな部分も見せられる…というか見せすぎてるんですけど(笑)、モデルというより市川紗椰というひとりの人間がわかる写真集になったのかなと思います。

──鉄道の趣味といえば、『タモリ倶楽部』の「タモリ電車クラブ」についに会員入りされましたね。鉄道ファンとしては最高峰の称号なのでは?
市川(会員証は)家宝ですね。撮影がすごく楽しいんですよ…なかなか行けないような場所に連れて行ってくれるので。鉄道が好きでしょうがない人ばかりなので、待ち時間もずっとその話ばかりしていて、純粋にその場にいるだけで楽しいです。

──あのタモリさんも認めさせた豊富な知識の賜物だと思います。今後はさらに趣味性を活かした活動が増えそうですが、興味のある仕事はありますか?
市川昨年から雑誌『旅と鉄道』で連載を持たせていただいてるんですが、文章を書いている時が一番充実しているように感じますね。とびきり文章の才能があるわけではないんですけど、達成感があって楽しいんです。もともと小さい頃から文芸新聞を作ったりしていたこともあって、漠然と文章を書く仕事に就きたいという夢を持っていたんですよ。どの仕事よりも苦しくて、書いてる時は「なんでこんなの受けちゃったんだろう」ともがきまくるんですが、その分だけ完成した時の達成感は大きいです。

──趣味分野の魅力を伝導できるのも執筆の魅力なのでしょうか?
市川だいぶ趣味に偏りはありますけど(笑)。そもそも私は生産型というより消費型の人間だと思うんですね。自分で何かを作るというよりは、人が作ったものを「これが好き!」って言いふらすだけというか。ただ今のところは受け身で仕事をいただいているだけですが、もう少し自分のほうから発信するようなこともできればと思っています。そのためにはもっと、知識も付けなければいけないんですけど……頑張ります!

──仕事もどんどん増えていますが、プライベートでのオタク活動に支障はないですか?
市川いえ、仕事の内容が変わっただけで、時間の使い方は昔とそんなに変化はない気がしますね。多少疲れても、女の子がいっぱい出てくるような萌え系のアニメを「可愛い〜」って言いながら見ていれば、翌日はしっかり癒されてるので大丈夫です(笑)。

(文/児玉澄子 写真/片山よしお)

市川紗椰 動画インタビュー

■「夜が明けたら」概要
「夜が明けたら」
1389円(税抜)
(TRJC-1041)
2015年5月13日発売

・収録曲
<01>夜が明けたら
<Bonus track>
01.ratatat
02.ぼっち営業
03.春
04.イルパラッツォ様
05.喝
06.リアルぼっち
07.metropolis
08.通り雨
09.闊歩
10.二日酔

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