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エンタメには“中二病”的要素が必要不可欠? プラス視点から考察
「中二病」の定義とは?
SEKAI NO OWARIの最新アルバム『Tree』は、3/2付までで累積40.9万枚を売り上げている(オリコン調べ/写真は通常盤ジャケット写真)
いくつかパターンを挙げてみると、「誰も知らない○○にハマっている私、イケてる」など人と違う趣味を持つ自分をカッコいいと思いこんだり、「社会のルールになんて縛られない」と悪い自分を演じてみたり、「俺は闇の世界の人間で、陰謀を企む悪の組織と闘っている」など自分の置かれている立場を妄想で設定して振る舞ったりと、様々。周囲を上から見て、優越感に浸ることで、自己の存在価値を見出す。「中二病」という言葉は後付けであり、その“症状”自体は昔からあるものだ。
そもそも「中二病」という言葉は、伊集院光のラジオ番組『伊集院光のUP’S 深夜の馬鹿力』(現『JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力』)で使われたのが始まりと言われている。1999年1月、伊集院が「自分は中二病です」と発言し、「かかったかな?と思ったら中二病」というコーナーをスタート。中学2年生の頃にありがちな恥ずかしい“症状”を伊集院が診断するというもので、当初は周囲から揶揄されるものというよりは、自らを戒める自虐的な意味が大きかった。それが2000年代半ば頃からネットで使われ、拡散されていくうちに、だんだんと意味が変化。今のような“中二病は恥ずかしいもの”という認識に変わっていった。
中二病=少年のようなピュアな心の持ち主?
2013年7月発売のLinked Horizonのシングル「自由への進撃(紅蓮の弓矢/自由の翼/もしこの壁の中が一軒の家だとしたら)」は累積26.1万枚を売り上げている
また、「中二病」を語るときに必ず名前が挙がるSEKAI NO OWARIは、現実のなかで起こる様々な事象を、“ファンタジー”というフィルターに通すことで独特の世界観を提示。徹底的に創り上げられた世界観は“遊園地”のようでもある。このほか、みうらじゅん、大槻ケンヂをはじめとする、サブカル界の重鎮たちは、大人になった今も“青春を謳歌”。その豊かな発想力から、みうらは「マイブーム」「ゆるキャラ」等のブームを生み出し、大槻は多くの作家やアーティストらに影響を与えている。
『進撃の巨人』OPテーマで『NHK紅白歌合戦』に出場したLinked HorizonのRevoが“中二病は褒め言葉”と言ったことは有名だが、こうして見ていくと、「中二病」的要素はクリエイターの創作の原動力になっていることが窺える。多くの情報が溢れている今だからこそ、「中二病」ならではの想像力は、他との差別化を図る上での武器となる。エンタメには「中二病」が必要不可欠なのだ。